太陽光発電の発電量と電力需要は増えているのにかみ合っていない現状は解決できる

石橋大右

2026.1.30 石橋の考え

太陽光発電の発電量と電力需要は増えているのにかみ合っていない現状は解決できる

こんにちは、石橋です。
今回も、電力やエネルギー事情に関する問題に斬り込んでみたいと思います。

太陽光発電による発電量は、目覚ましい勢いで増え続けています。
そして、その一方で生成AIをはじめとするクラウドサービスの成長によりデータセンターがどんどん設置さて、電力需要はうなぎのぼりです。
これは両者の需給が一致しているので、万々歳と言いたいところですが、そう簡単にもいかない現状があります。最前線で何が起きているのか、そのあたりを現場に関わる立場からお伝えしたいと思います。

私が代表を務める和上ホールディングスの主力事業には、太陽光発電が含まれています。そのこともあって太陽光発電の最新事情を目の当りにしているわけですが、依然として事業としての太陽光発電所運営や、投資案件としての太陽光発電所売買は活発で、今や不動産投資と同列に扱われている有望なビジネスといえる状況です。
特に私が良い傾向だと思うのが、地方や田園地帯の遊休地を有効活用できることです。よく太陽光発電について「山林の自然を破壊している」との批判がありますが、あの手の案件には私の目から見ても疑問を感じるようなものが含まれています。私が有効だと言っているのは、すでに田畑や住宅などに使ったことがある土地での発電所運用です。人口減少や後継者の不在などで放置されて荒れ放題になっている遊休地は日本全国に無数にあります。こうした土地を有効活用して発電ができるというのは、なかなか素晴らしいスキームだと思っています。

しかしながら、こうした遊休地は大半が田舎にあります。過疎地であったり、都市部から離れたところであったり。こうした地域では人口が少なく、大規模な工場などがなければ電力需要があまりないため、発電したものの需要家がいません。そこで送電線を使って都市部に運ぶわけですが、送電にはいくつかのリスクやデメリットがあります。
まず、送電線を使って遠隔地に電力を送り届けるには、莫大な送電ロスがあります。送電ロスとは、電力を運ぶ際に一部の電力が失われてしまうことで、距離が長くなるほど送電ロスは大きくなります。
私は大阪在住ですが、関西の電力には福井県の原発から供給されているものが多く含まれています。福井県から山を通り越して関西に電力を運ぶために、山間に巨大な鉄塔が立っている風景を見たことがある方は多いのではないでしょうか。単純に考えて日本海の沿岸にある発電所から京阪神エリアに電力を運ぶのにあたって、相当な送電ロスが出ていると思います。近年ではロスが起きにくい材質への切り替えなどが進められていますが、根本的な解決にはならないでしょう。
また、長い送電網を使って電力を送り届けるには、送電網のキャパシティの問題もあります。水道管を想像してみてください。そこに流すことができる水の量は決まっているのに流そうとしている水が膨大になると、水を流す側であふれてしまいますね。そうなると、流す水を抑えるしかありません。こうした送電キャパシティの問題は、実際に起きています。地方で太陽光発電所が増えている一方で都市部での電力需要も増えている。なのに、そこに電力を送り届けるための送電網がボトルネックになってしまうわけです。何だかもったいない話ですよね。

さて、先ほど水道管の例え話を出しましたが、これにはもうひとつ意味があります。水を流せる量は決まっているのに、それを超える水を流そうとすると「流す側」で水があふれてしまうと述べました。送電網でこれが起きると、出力抑制となります。
出力抑制とは、電力の供給量が多すぎる際に電力会社が供給を止めることです。電力は需要と供給のバランスが成立していないとうまく流れないため、需要を上回る量を無理に流そうとすると大停電になってしまいます。足りなくても停電になるのですから、電力というのは扱いが難しいと感じますね。
地方で太陽光発電所が増えると、晴れた日の昼間は発電量が多くなります。しかも同じ地域では気候が同じなので一斉に発電量が増えます。すると需要を上回る供給量となる恐れがあるため、電力会社が出力抑制をします。出力抑制になると、せっかく作った電力が捨てられて、売電も止まります。太陽光発電所を運営している投資家にとっては、収入が減ります。つまり、これが頻発すると太陽光発電所に投資をする意欲が削がれてしまうことになります。

こうした問題を解決できるのが、近年投資案件として注目を浴びている系統用蓄電池です。系統用の蓄電池はとても規模が大きく、送電網に接続されていることから太陽光発電による電力を貯める能力があります。そして夜間や悪天候の日に放電をして、電力の無駄をなくします。これなら送電線のボトルネック問題が軽減され、できるだけ電力を地産地消できるようになります。ボトルネック問題に加えて送電ロスも少なくなるため、まさに一石二鳥ですね。特に北海道、東北、九州では出力抑制が頻発しているので、これらの地域で電力を無駄にせずに済むことが期待されています。

それでは、一方の電力需要の増大についてはどうでしょうか。AIを稼働させるためのデータセンターが今後増えることで電力需要が大幅に増大することは、すでに明らかになっています。そのために原発の再稼働を進めているのは政治の世界の話ですが、もちろん太陽光発電と系統用蓄電池にもできることがあります。
私が提案したいのは、こうした施設の地方移転です。そもそもデータセンターはほとんど人が勤務せず、膨大な数のサーバーを稼働させる施設なのですから、都会に立地している必要はありません。すでに全国各地で大規模なデータセンターの開発が進んでおり、こうした流れが加速すれば、太陽光発電+系統用蓄電池+データセンターによる地方創生ができるのではないでしょうか。
現在では国による規制でなくなりましたが、かつて中国は暗号資産大国でした。中国の内陸部にはたくさんの川が流れていて、そこでの水力発電が盛んです。その豊富な電力を活かして、水力発電所の近くに暗号資産のマイニングセンターを設置する事例が多く見られました。主にビットコインのマイニング施設が多く、水力発電で余った電力をビットコインの収益につなげていたのですが、なかなか良く考えられていると思ったものです。
もとから電力の大消費地である都会にデータセンターを設置すると、さらに電力需要を増大させてしまうため、電源地の負担を大きくします。そうではなく電源地と消費地を同じところにすれば、こうした問題を一挙に解決できます。
もちろん簡単なことではありませんが、こうした動きに私たち和上ホールディングスも積極的に関わっていきたいと考えています。

  • 事業内容
  • メール相談
  • 電話相談