自動車大国ニッポンがモビリティ革命で「2周遅れ」になっている

石橋大右

2026.9.13 石橋の考え

自動車大国ニッポンがモビリティ革命で「2周遅れ」になっている

こんにちは、石橋です。
先日、知人が東南アジアに行ってきたという話を聞いて、ますます日本と世界の格差を感じてしまったことがありました。
格差を感じたのは、モビリティの問題です。
世界一の自動車産業がある自動車大国なのに、今や世界からは周回遅れどころか2周遅れ・・・この現状と打開策を考えてみました。

世界では今、移動手段の無人化がどんどん進んでいます。AIやセンサー技術の進化によって人間が乗っていなくてもクルマを動かすことができるようになっており、それをIT企業が中心となって実用化しています。
先行しているアメリカや中国ではすでに無人タクシーが商用化されており、街の中を運転手がいないタクシーが走り回っています。タクシーではなくても、テスラをはじめとする自動運転車がどんどん普及していて、これについてもアメリカと中国が先行しています。
これらの国では、クルマはもはや「運転するもの」ではなく「勝手に動くもの」です。駐車場がない職場までマイカーで出勤して、クルマは自動運転で家に戻るといった使い方も珍しくなくなっています。

先日、東南アジアに行った人の話では、まだまだ自動運転は普及していませんが、ライドシェアはすでに社会のインフラとなっています。東南アジアで勢力を誇っているのは、Grabという配車アプリです。Uberの東南アジア版といったところでしょうか。
現在地を自動取得して、行先までの料金が表示されている画面で配車をタップ。するとGrabに登録している民間のドライバーやライダーがやってきて、目的地まで運んでくれます。タクシーではないので、日本では「白タク」状態です。日本では犯罪行為になることが、世界では当たり前のように存在し、社会インフラになっています。
ぼったくりが横行している国ではいちいち交渉が必要になるため、配車アプリで呼んだ方がトラブルが少なく、また行先もすべて登録済みなので話す必要がなく、言葉の壁も関係なし。
アプリには評価機能があるので、トラブルになったら悪い評価をつけられます。悪い評価が多いと商売をしにくくなるため、サービスの質は良くなります。かくしてぼったくりタクシーは駆逐され、安心して移動できる社会になった・・・。
そんなことが、規制緩和によって実現したわけです。この時点で、日本は日本版ライドシェアというショボい制度しか導入していないので1周遅れですね。
いよいよ完全解禁か、という議論が巻き起こっているのを尻目に、先行している国ではライドシェアどころか自動運転の無人タクシーです。これで、2周遅れ。

ライドシェアの解禁にあたっては、タクシー業界の猛烈な反発がありました。自分たちの既得権益が侵されるので、当然と言えば当然の動きです。自民党に大量の政治献金をして解禁を阻止したのは、容易に想像がつきます。
日本にぼったくりタクシーはほとんどありませんが、ライドシェアが普及すれば時間帯によるタクシーの混雑緩和や、今後さらに進むと見られるドライバーの高齢化や減少にも有効な対策となります。

都会であれば、まだ他の交通があるから良いでしょう。
しかし地方に行くと、状況は一変します。クルマがなければ生活ができないところは無数にありますが、そんなところに限って高齢化が進んでいます。そして警察は免許の自主返納を推進しているので、お年寄りは買い物にも行けなくなります。
しかも、運転手不足によって地方ではバス路線がどんどん廃止になり、タクシーの台数も減る一方です。いったいどないせぇっちゅうねん。

やはりここは、2周遅れを挽回するための大胆な規制緩和が必要です。
規制といっても日本は過剰規制ですし、本当に国民の安全を守るためなのか、はたまた誰かの権益を守るためなのかよく分からない規制があまりにも多すぎます。
まずはライドシェアを解禁して、日本の構造的な問題の解決を目指してみてはどうでしょうか。「そんなことして事故が増えたらどうするんだ」という意見もあるでしょう。しかし、このまま素人ドライバーが高齢化して判断能力が鈍くなった人が道路にあふれていることのほうが、よほどリスキーではないかと思います
タクシー業界の保護といっても、そもそもライドシェアから政治が守ってあげないと維持できない業界なのだとしたら、すでにオワコンです。東南アジアの国々ではGrabがある一方でタクシーもあります。それぞれ目的が異なる交通手段として生き残る可能性を示してくれています。

もうひとつの自動運転についても、日本にはすでにカテゴリー別の設定はあります。今の自動運転はセーフティドライバーといって人が乗っている状態で自動運転をして、何か危ないことがあったら人間が止める、ということでしか認められていません。
レベル4に指定されている運転手無しの自動運転を実用化するには、まだまだハードルが立ちはだかります。
すでに先行している国では、事故も起きていますが自動運転車を走らせることでAIに学習させて安全性を高めています。日本では100%安全になってからでないと認めないというのですから、いつまでたってもデータは集まりませんし、実用化されません。
少々乱暴な言い方ですが、本当に交通手段に困っている農村部や過疎地では、そもそも事故の相手方となる人や車両が少ないわけですし、都会のど真ん中で事故を起こすよりも影響は軽微でしょう。それでいて交通手段の枯渇が深刻な問題になっているのですから、まずはこうした地域で実験的に始めてデータを蓄積していってみてはどうかと思います。
過疎地の人たちを犠牲にするというわけではなく、「背に腹は代えられない」状況になっている地域は多く、それらの地域の人たちは「まずは導入」を選ぶかもしれません。

世界で進行する、モビリティ革命。
長らく自動車大国として君臨してきた日本の地位が脅かされて、「ガソリン車が普通だった頃に有名だった国」になってしまうかもしれません。
そうなる前に、大胆な規制緩和によって自動車産業の発展と、移動手段に困っている地域の問題解決に役立てられないかと思います。

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