2023.12.11
ソーラーカーポートの設置は建築確認申請が必要?確認申請が必要な条件としなかった場合に起きることをご紹介
こんにちは、『エコキュートとオール電化専門店 とくとくショップ』です。今回は、電気代高騰に悩む方が増えている中、駐車スペースを活用して発電することができると注目されているソーラーカーポートの注意点を解説します。
ソーラーカーポートは、カーポート(簡易車庫)の屋根部分に太陽光パネルを設置した車庫のことを指しています。一般的に、住宅用太陽光発電は、屋根スペースを活用して太陽光パネルを設置するというイメージが強いですが、駐車スペースを活用した太陽光発電は、大掛かりな足場なども必要とせず最短1日で発電を開始できる手軽さから、ここ数年一気に導入するご家庭が増加しています。今まで単なる駐車スペースとして利用していた場所を活用して、電気を発電することができるようになれば、日々の生活にかかる電気代が削減できるようになるため、昨今の電気代高騰のことを考えると、非常に有効な光熱費削減対策とみなされているのだと思います。
ただ、ソーラーカーポートの注意点として、屋根スペースを活用した太陽光発電とは異なり、カーポートを設置するために建築確認申請が必要だという問題があります。カーポートへの太陽光発電の設置は、その他の太陽光発電などと異なり建築基準法の対象となるので、建築基準法上のさまざまな規定を遵守しなければいけません。そこでこの記事では、ソーラーカーポートを始めとした、カーポート建設時の建築確認申請について、申請が必要となる条件などを解説します。
目次
ガレージ、カーポート、ソーラーカーポートの違い
住宅の駐車スペースにはいくつかの呼び方が存在します。例えば、カーポートやソーラーカーポート以外にも、駐車スペースのことを指してガレージと呼ぶ場合があります。どれも車を停めるためのスペースとして用意される場所なのですが、これらは呼び方が異なるだけで全て同じものなのでしょうか?
実は、ガレージとカーポートには明確な違いが存在していますので、以下でその違いを簡単に解説します。
ガレージとは
ガレージは、インターネット辞書で「おもに自動車などを収納するための建物、または建物の一画に設けられたスペース」と解説されています。
もう少しわかりやすく言うと、周囲が壁などで囲まれた車庫のことをガレージと言います。カーポートとの違いは、「周囲が壁などで囲まれている」という点がポイントとなります。ガレージには、シャッターや扉が取り付けられていて、車庫スペースの四方を完全に囲み、一つの部屋のようになります。
ガレージは、雨風の侵入を完全に防げるような構造をしていて、車を停めるだけでなく、さまざまな物品を保管する倉庫のように用いることができる点が特徴です。下で紹介するカーポートと比較すると、外部からの侵入を防げるなど、セキュリティ面が高くなることがメリットです。
カーポートとは
次にカーポートです。カーポートは、「屋根を設けただけの簡易な車庫」と解説される場合が多く、雨や日照から車を保護する目的で設置されます。
ガレージとは異なり、柱と屋根だけで構成された駐車スペースがカーポートで、壁などはありません。カーポートは、上屋根と軽量鉄骨の柱だけという簡単な作りの物が多く、建物に設けられたガレージとは区別されます。なお、カーポートの形状は製品によってさまざまで、柱の本数も2~4本以上など、さまざまです。
カーポートは、上屋根と柱だけで構成されているなど、非常に簡易的な構造になっているため、建築確認などは不要と考える方が少なくありません。しかし、設置するカーポートの規模によっては建築確認申請が必要となりますので、どういったケースで建築確認申請をしなければならないか、事前に確認しておく必要があります。
ソーラーカーポートとは
最後は、ソーラーカーポートです。これはそこまで複雑なものではなく、先ほどご紹介したカーポートの屋根にソラーパネルを設置した物を指しています。
カーポートとの違いは、駐車場の駐車スペースを確保したまま、駐車場の上部空間を利用した太陽光発電が実現するという点です。なお、ソーラーカーポートは、太陽光パネルを搭載するために設計された「太陽光発電一体型」とカーポートの上に太陽光パネルを搭載する「太陽光発電搭載型」の2種類に大きく分けることができます。後者は、パネルの重量に耐えられる折半屋根が採用されます。
ソーラーカーポートは、単なる駐車場として利用できるだけでなく、そのスペースを利用して発電することができるようになるため、日々の光熱費削減などに活用できます。例えば、2台用ソーラーカーポートであれば、月々の電気代にして5,000~6,000円程度の削減効果が期待できると言われています。
カーポート建設時に必要な建築確認申請とは?
それでは次に、「建築確認申請とは何なのか?」について簡単に解説します。
建築確認申請とは、住宅の新築工事や増改築工事などに着手する際、その工事が「建築基準法や条例に適合しているか?」を確認検査機関もしくは特定行政庁に必要書類を添えて申請し、確認を受ける行為のことを指しています。建築確認申請の主な目的を簡潔に紹介すると、「世の中から違法建築物を排除する」と言えるでしょう。
そもそも、日本国内に建築物を建てる時には建築基準法を遵守しなければならないのですが、この法律の目的は、以下のようになっています。
第1条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
引用:e-Gov|建築基準法
つまり、違法建築を防ぎ、その建物に住む人や周辺の住人の安全を守るための法律が建築基準法です。
ただ、いくら法律で建築物に関するルールを設けたとしても、それが守られなければ何の意味もありませんし、事前の建築確認申請が必要とされているわけです。建築基準法では、住宅を新築するとき・10㎡を超えるような増改築をする場合は、基本的に建築確認申請が必要としています。また、防火・準防火地域の場合は10㎡以下でも建築確認申請が必要と定められています。
なお、建築確認申請は、建築主の義務であるため、この申請を怠ると、最悪の場合、罰金や懲役刑になることがあります。
建築確認申請が不要なケースもある
建築確認申請は、建築物の規模や条件などによって申請が不要になるケースがあります。ここでは、どのようなケースであれば建築確認申請が不要になるのか、いくつか例をあげてご紹介します。
・防火地域及び準防火地域以外で計10㎡以内の増築や改築(法第6条2)
上述したように、10㎡を超える増改築は、建築確認申請が必要です。その逆に、防火地域や準防火地域以外で、10㎡以下のプレハブの物置や納屋を設けるような工事は建築確認申請が不要です。
・建築基準法上、建築物に該当しない
建築確認申請は、建築基準法上「建築物」とされるものに対してのみ必要です。つまり、建築物に該当しない場合は、確認申請が不要です。なお、建築基準法では「土地に定着している、工作物、屋根がある、壁もしくは柱がある」の4つの要件すべてに該当するものを建築物としています。分かりやすく言うと、プレハブ物置や門、塀などは建築物に該当しないため、建築確認申請が不要です。
上記の条件以外にも、建築基準法第6条第1項第四号では以下のように規定されています。
四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
引用:e-Gov|建築基準法
これはいわゆる4号特例と呼ばれる条件ですが、特定の条件下で建築確認の審査を一部省略する規定です。カーポートとはあまり関係がないので、今回は詳細を省きます。
カーポートの設置で建築確認申請が必要になる条件とは?
ここまでの解説で、日本国内に建築物を建設する際には、多くの場合、建築確認申請が必要と言うことが分かっていただけたと思います。それでは、自宅にカーポートを設置しようと考えた時、建築確認申請は必要なのでしょうか?また、必要になる条件とは、どのような場合なのでしょうか?
ここでは、カーポートの建設時に、建築確認申請が必要になる条件について解説します。
建築基準法上の建築物に該当する場合
カーポートは、上屋根と柱だけで構成されていて、非常に単純な構造であることから、建築確認申請が必要ないと考える方が多いです。しかし、上述した建築基準法上の建築物の要件をもう一度見返してみましょう。建築基準法では、以下の4つの要件すべてを満たすものを建築物としています。
- 土地に定着している
- 工作物
- 屋根がある
- 壁もしくは柱がある
カーポートを設置する際には、自然災害などで倒壊しないように、地面を掘り下げて柱を打ち込み、コンクリートを流すなどして、しっかりと地面に固定するのが一般的です。つまり、基礎が地面に固定されることになりますので、「土地に定着している」「壁もしくは柱がある」と言った要件を満たしています。また、カーポートは、車を雨風から保護するためのものですので、当然、屋根がある工作物になります。これは、ソーラーカーポートなども同じです。
つまり、建築基準法上の建築物にみなされる要件すべてを満たしていると考えられるため、建築確認申請が必要になるわけです。
床面積が10㎡を超えている
上述したように、10㎡を超える増改築は、建築確認申請が必要です。カーポートを建設する場合、床面積が10㎡を超える場合がほとんどのため、カーポートの設置は基本的に建築確認申請が必要と考えても良いでしょう。ただカーポートは、「屋根の庇から1mは建築面積から減算してもよい(建築基準法施行令第2条第2号)」という特例が適用できる場合が多いため、1台用のカーポートであれば建築確認申請が不要の場合がほとんどです。
逆に言うと、2台以上のカーポートは、ほぼ間違いなく建築確認申請が必要と考えておきましょう。
建築確認申請の流れについて
自宅にカーポートやソーラーカーポートの建設を検討している方の中でも、2台用以上のカーポートを設置する場合、建築確認申請を行わなければいけません。建築確認申請の流れについては、お住いの自治体ごとに微妙に異なる場合がありますので、まずは自治体のHPなどを確認してみましょう。なお、参考として、大阪市の建築確認申請の流れが紹介されているページを紹介しますので、以下のページを確認してみましょう。
建築確認申請は、着工前に行わなければいけません。工事着工前に、市役所や県庁の建築指導課に問い合わせをして、建築主事へ建築確認申請を行います。建築主事が建築基準関係規定に適合することを確認したときには、建築確認済証が交付されます。建築確認済証の交付後に、いよいよカーポート工事の着工となります。そして、カーポート工事が完了したら、建築主事による完了検査が実施されるという流れが基本です。
なお、建築確認申請は「建築主の義務」とされており、基本的には施主が行うものです。ただ、申請を行う際には、図面の提出などが必要で、難易度が高い部分も少なくありません。したがって、カーポート、ソーラーカーポート工事では、施工業者に代行を依頼するケースがほとんどです。
建築確認申請をしなかったらどうなる?
建築確認申請は、建築主の義務であると法律で定められています。いくつかの条件を満たしている場合は、建築確認申請が不要になるケースもあるのですが、カーポートを設置する時は、2台用以上のカーポートの場合、ほぼ間違いなく建築確認申請が必要になるでしょう。
それでは、法律で義務付けられた建築確認申請を怠った場合、どのような問題が生じるのでしょうか?ここでは、建築確認申請をしなければならないのに、怠った時に起きる問題を解説します。
建築基準法第6条の違反により罰せられる可能性がある
上述したように、カーポートなどの建築物を建てる時には、建築基準法第6条で建築確認申請を行わなければならないと定められています。つまり、カーポートを建設する際、本来必要な建築確認申請を行っていない場合、確認申請の手続き違反に該当します。ちなみに、建築確認申請の違反については、以下のような罰則が用意されています。
第九条 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
(中略)
第九十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 第六条第一項(第八十七条第一項、第八十七条の四又は第八十八条第一項若しくは第二項において準用する場合を含む。)、第七条の六第一項(第八十七条の四又は第八十八条第二項において準用する場合を含む。)又は第六十八条の十九第二項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
これからも分かるように、本来必要な建築確認申請をしなかった場合、まず是正措置を命ぜられます。そして、それに従わなければ懲役もしくは罰金刑もありえるという非常に厳しい罰則が用意されています。
なお、建築確認申請は、専門業者にカーポート工事を依頼するのではなく、DIYでカーポートを設置する場合も当然必要です。
建築基準法第53条の違反により罰せられる可能性がある
建築基準法第53条は、「建ぺい率(敷地面積に対する建物の建築面積)」を定める条項です。カーポートを設置することで、建築基準法第53条の建ぺい率をオーバーしてしまうと、行政による指導が入る可能性があります。
建ぺい率は、防火対策や日当たり確保、景観保全を目的に定められている部分が大きいです。その為、カーポート工事により建ぺい率違反の状態になると、屋根に積もった雪や雨が隣の家の敷地に落ちてしまう、隣の家の日当たりや風通しが悪くなると言った問題から近隣トラブルを抱える可能性があるでしょう。この他にも、万一火災が起きた時には、隣の家へと延焼しやすくなるなど、防火や延焼防止の側面からもリスクが高くなります。
家の売却時に不利になる可能性がある
カーポート工事により、上記のような問題を抱えると、違反建築物になってしまいます。違反建築物になってしまうと、さまざまなデメリットが生じます。
例えば、不動産の売却を検討した時には、建築確認申請をしていないカーポートが存在することで、重要事項説明書に「違反がある建物である」と記載しなければならなくなり、買手が付きにくくなるわけです。
また、違反のない不動産には「検査済証」が交付されるのですが、この検査済証がない物件の取引に際しては、融資が受けられないという非常に大きなデメリットが生じます。融資が受けられなければ、やはり不動産の売却が難しくなるでしょう。
まとめ
今回は、駐車スペースを活用して自家発電ができるようになると注目されているソーラーカーポートについて、自宅にカーポートを設置する際の注意点として建築確認申請の概要とその必要性について解説しました。
脱炭素社会の実現が目指されている中、日本国内でも再生可能エネルギー設備の導入が推し進められています。2022年12月には、東京都が新築住宅への太陽光パネルの設置義務化の条例改正を行い話題になったのは記憶に新しいことです。
ソーラーカーポートについても、環境省などがこれを推奨するパンフレットを作成しているなど、一般住宅での再生可能エネルギー使用率向上を目指すため非常に有効な手段とみなしています。
ただ、カーポートは非常に簡易的な構造になっているものの、建築基準法上は建築物に該当しますので、一定の条件を満たす場合、建築確認申請をしなければいけません。記事内では、建築確認申請が必要なケースを具体的に解説していますので、これからソーラーカーポートの建設を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
エコキュートとオール電化専門店 とくとくショップでは、全国でソーラーカーポートの販売・施工を行っています。もちろん、建築確認申請の代行なども行っていますので、お気軽にご相談してください。
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