太陽光パネルをリサイクルできないといわれている理由には、メーカーの規格やリサイクルの対応業者といった複数の要素が関係しています。
今回は、太陽光パネルをリサイクルできない理由とリサイクル・処分方法について詳しくご紹介します。太陽光発電事業を検討している方や、太陽光パネルのリサイクル問題に興味がある方はぜひご覧ください。
太陽光パネルをリサイクルできないとされる理由
太陽光パネルをリサイクルできない・難しいといわれる理由には、パネルに含まれる物質やリサイクル業者の数、リサイクル装置などが関係しています。それぞれの理由を詳しく解説します。
有害物質が含まれている
太陽光パネルの種類によっては有害物質が含まれているため、リサイクルできない・難しいといわれています。実際には、太陽光パネルの部品によって有害物質が含まれる部分とそうでない部分があり、リサイクルできない部分とそうでない部分があるというのが正しいです。
後述しますが、太陽光パネルに含まれるアルミフレームや銅線などは、容易にリサイクルが可能です。リサイクルが難しいとして課題となっているのは、アンチモンを含むガラス部分です。
太陽光パネルに使用されるガラスは、太陽光の透過度を高めるために気泡を消す用途でアンチモンが使われています。アンチモンは環境や健康への影響が懸念されており、ただ分解しただけではリサイクルできないというのが大きな課題です。
しかし、国内のリサイクル事業者の中には、熱によってガラス表面になにも残らないよう処理し、メーカーが使用できる水準にできる技術を開発しているところもあります。
現状では最終処分場・管理型最終処分場で埋め立てられているケースも多く、技術開発によってリサイクル可能となることが期待されています。
太陽光パネルのリサイクル業者が少ない
太陽光パネルのリサイクル業者が少なく、対応できる業者が限られることも、リサイクルできない・難しいとされる理由のひとつです。
太陽光発電設備のリサイクルを担うのは中間処理業者です。廃棄物の焼却や破砕(廃棄物を砕く)、溶融(燃やしたあとに溶かす)、脱水(水分を除いて本来の質量に戻す作業)、選別(リサイクルできる素材を選別する)を行っています。
太陽光パネルは、シリコン系や化合物系、有機物系といった種類にわかれています。市場で流通しているパネルの95%はシリコン系です。シリコン系のパネルなら、ほとんどのすべての事業者が処理できるとしています。
しかし化合物系のパネルはその種類によって、ヒ素やセレン、カドミウムがそれぞれ含まれており、事業者によっては処理できないこともあります。こうしたパネルにおいては使用後にメーカーで引き取り、適切に処理できる制度を整えているところもあります。
なお、太陽光発電協会(JPEA)では、適正処理(リサイクル)の可能な産業廃棄物中間処理業者を公開しています。リサイクル業者を調べる際は、太陽光発電協会の資料も参考にしてみましょう。
太陽光パネルの含有物質がわからないものがある
太陽光パネルに含まれる有害物質はその製品によって異なります。先述のとおり、中間処理業者は、含有物質によっては処理できないものもあります。このため、含有物質がわからない太陽光パネルは処理できないと判断する業者もおり、適切に処理されずにリサイクルできないケースがあります。
こうした現状を受け、含有物質の情報については太陽光発電協会が各メーカー・輸入事業者に対して情報提供のガイドラインを設けているほか、FIT・FIP認定の申請時に含有物質情報の提出を必要とするよう制度変更がなされるなど、対応が進んでいます。
太陽光パネルのリサイクル方法
太陽光パネルのリサイクルはできない・難しいとされていますが、部材を分離することで部分的にリサイクルさせることが可能です。
アルミ・銅・銀は有価物としてリサイクル
まずは太陽光パネルから、アルミフレームとジャンクションボックスを分離させます。アルミフレームは太陽光パネルの外枠のことで、アルミ材料としてリサイクルされます。ジャンクションボックスは、太陽電池モジュール同士を接続するための端子箱です。銅線を含んでいるため、銅をリサイクル可能です。また電極に使用されている銀も、有価物として再利用できます。
ガラス部分
太陽光パネルからアルミフレームなどを外すと、重量の大半を占めるガラス部分が残ります。パネルに含まれるバックシートやセル、EVA(太陽電池を封止するための樹脂)は、ガラスから分離できれば精錬会社で金属を抽出でき、再利用が見込まれます。現状ガラスとそれ以外に分離させる技術は開発中です。またガラスに関しては前述の通り、再利用先の開拓、ガラス表面に残る成分の除去など課題が残されています。
太陽光パネルのリサイクル業者へ依頼
基本的に、発電事業者が太陽光パネルやその他機器類のリサイクルに関与することは少ないです。太陽光発電の施工販売店や解体撤去の専門業者(排出事業者)が、撤去したパネルを処分するときにリサイクル可能な業者に依頼することになるためです。
ただし、発電事業者自らが撤去する場合は、発電事業者が排出事業者になるため、直接リサイクル業者に処理を依頼することになります。太陽光発電協会のリサイクル可能業者などに依頼しましょう。
和上ホールディングスでは、太陽光発電設備の設計・施工だけでなく撤去や設備機器の交換工事にも対応しております。撤去や交換を検討している方は、お電話やメールからご相談ください。
リサイクルに関して太陽光発電事業者が備えておくべきこと
太陽光発電事業者は、太陽光パネルのリサイクルに関する新たな制度に備えておく必要があります。ここからは、太陽光パネルのリサイクルに関して太陽光発電事業者が備えておくべきことを紹介します。
リサイクル義務化に関する情報を常にチェックする
太陽光発電事業を始める際、リサイクル義務化に関する情報を定期的にチェックしましょう。
2024年9月13日、環境省と経済産業省は、太陽光パネルのリサイクル義務化制度に関する議論を始めました。
太陽光パネルの寿命は20年~30年程度とされており、2030年代後半に廃棄量が増えると予想されています。FIT制度の発足以降(2012年以降)、太陽光発電の導入量が増加しているためです。
こうした背景から国では、太陽光パネルのリサイクルを義務化させるための制度作りに力を入れています。先述したFIT・FIP申請にかかる太陽光パネルの含有物質情報提出もそのうちのひとつです。
太陽光発電事業者は、リサイクル義務化に関する情報のチェックやリサイクルの依頼方法、太陽光発電物件の売却などについて準備を進めておくことが大切です。
太陽光発電のリユース情報についても調べておく
循環型社会の考え方としては、リサイクルの前にリユース(再使用)を検討すべきだとされています。このため、国がリサイクルに力を入れる方針なのであれば、リユースについても制度や方針が定められる可能性があります。
太陽光パネルがリユースできるかどうかは、廃棄私物処理の手続きを取る前に判断する必要があります。中古買取業者などに相談することで、リユース可否を判断してもらえるでしょう。またリサイクル業者によっては、リユース可能な機器類の買取に対応している場合があります。
太陽光パネルはリサイクルできる!今後に備えて情報を集めよう
太陽光パネルをすべてリサイクルできない理由には、半導体に含まれる有害物質、リサイクル業者の数などが関係しています。ただし、太陽光パネルのアルミフレームやジャンクションボックス、ガラスなどは分離・リサイクルもしくはリユースすることが可能です。
太陽光発電事業について関心を持ち始めた方や太陽光発電の将来性が気になっていた方などは、今回の記事を参考にした上で太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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