近年、日本や世界では環境に関するさまざまな枠組み、新しい法律、補助金制度などが設立されています。中でもSBTは、科学的根拠に基づいた環境問題の解決を目指した国際的な枠組みで、脱炭素経営を行う上で注目されています。
そこで今回は、SBTの概要や特徴、加盟メリットについて分かりやすくご紹介します。環境経営へシフトしていきたい方や、SBTについて関心を持っているもののよく分からず悩んでいる方は、参考にしてみてください。
SBTとは?簡単にわかりやすく紹介!
SBTは、Science Based Targetsの頭文字を取った言葉です。まずはSBTの概要について紹介します。
科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標
SBTは、2015年のパリ協定において誕生した目標設定で、科学的根拠に基づいて目標を設定しています。パリ協定で定められた目標は、産業革命以前の平均気温上昇を2度未満、もしくは、1.5度未満に抑えるものです。
気温を抑えるにあたって、各国の各企業が5から15年先を目標として温室効果ガスの削減を行うことになります。SBTに参加している企業数は、2022年3月17日現在で、73ヶ国2,671社、日本の企業で認定を取得した企業が164社、コミットしている企業が38社、合計202社に及びます。
SBTの認定を受けるためには要件を満たす
SBTの認定要件は次のとおりです。
- SBTの温室効果ガスの排出削減目標
産業革命以前の平均気温上昇2度未満の場合、毎年2.5%
1.5度未満の場合、毎年4.2% - 達成期間は、5から15年
- サプライチェーン全体の温室効果ガスの削減
- SBT認定後、毎年の排出量や進捗の報告など
以上のSBT認定要件を満たすことが必要となります。
RE100よりも高い目標が設定されている
RE100とは、事業活動において、事業運営に必要となるエネルギーを再生可能エネルギーで賄うことを目標としており、Renewable Energy 100%の頭文字から取った言葉です。どちらも目的とするところは温室効果ガスの排出削減となるものの、SBTの方がRE100よりも高い目標設定をしているのが特徴となります。
SBTへの加盟方法
SBTに加盟する方法について解説していきます。
Commitment Letterを提出する
SBTの認定取得にあたって、コミットメントレターの提出は必須ではありません。コミットメントレターは、2年以内にSBT水準の排出削減目標を設定して、SBTの運営事務局に提出します。
コミットを行うメリットは、対外的に宣言することになるため、SBTの運営事務局のWebサイトにおいて企業名が掲載されるため、対外的にアピールを行うことができます。
目標設定を行った上で申請手続き
SBTの運営事務局にあるマニュアルを確認し、目標を設定します。目標設定にあたって、社内関係者と温室効果ガスの排出削減に向けて、どのように実施するかの折衝を行うことが必要です。
社内で話がまとまったら、SBTの認定に向けた手続きを行うため、SBT運営事務局に申請書を提出します。SBT運営事務局では、目標の妥当性などの確認が行われて、問題がなければ認定となります。認定されるとSBTのWebサイトなどに公表されます。
SBT加盟後に進捗状況の確認などが必要
SBTの認定を取得すると、定めた目標達成に向けて、温室効果ガスの排出削減に向けて対策を実施していきます。排出削減に向けた進捗状況は年に1回、SBT運営事務局に報告して、取り組みを開示します。
また定期的に目標の妥当性を確認し、大きな変化がある場合に、目標の再設定が必要となります。目安として5年に1度、再評価を行うと良いです。
SBTへの加盟メリット
SBTに加盟するメリットは、大きく分けて4点あります。それでは、SBTへの加盟メリットについて1つずつ確認していきます。
環境活動へ貢献できる
SBTへの加盟は、温室効果ガスの排出削減目標を設定し、取り組むことで国際的な課題である気候変動や地域社会に貢献することができます。
企業価値の上昇が見込める
環境問題に取り組んでいる企業として、SBTのWebサイトなどに公表されるため、企業のイメージアップを図ることができます。また企業のステークホルダーに対しても持続可能な社会に向けての活動を行っているアピールにもなります。
再生可能エネルギーの導入による電気料金削減効果
再生可能エネルギーには、太陽光や風力、地熱、水力、バイオマスなどがあり、環境省が推奨しています。企業が再生可能エネルギーを導入して、自社で電気を作ることで、温室効果ガスの排出削減や、電気料金の削減にもつながります。
社員やこれから入社希望者のモチベーションアップ
企業がSBTに認定されていることで、国際的な課題に取り組んでいることをアピールできます。とくに若い世代は、持続可能な社会の実現に向けて企業が行っている活動に興味を持っている人が多いです。これから入社を希望している人などのモチベーションアップにつながります。
SBTの注意点
続いては、SBTへ取り組むうえで注意しておくべき点を確認していきます。
環境経営へシフトするために資金調達が必要
SBTに取り組むには、今までの経営から環境経営へと切り替えなければなりません。そのためには、設備投資が必要となるため資金調達が必要となります。
たとえば、プラスチックを使った製品の代替となる環境に配慮した素材の活用や、高燃費のものから低燃費に変えること、再生可能エネルギーの導入にあたってのコストなど、環境経営へシフトするには、さまざまな費用がかかります。
温室効果ガスの削減が難しい事業にとって高いハードル
温室効果ガスの排出削減の取り組みがしやすい事業と難しい事業があります。とくに資金が豊かではない企業にとって、設備投資する資金がなければ、取り組み自体が難しく、企業の負担も大きなものとなります。
審査を通過しなければいけない
SBTの申請にあたって、SBTの運営事務局による審査が行われます。SBTの運営事務局は、専門チームによって構成されており、その審査に通過しなければ、SBTの認定は認められません。
小規模事業者は中小企業向けSBTの検討がおすすめ!
通常のSBTのほか、中小企業向けSBTがあり、小規模事業者の場合におすすめとなります。中小企業向けSBTについて解説します。
SBTとは異なるガイドラインで構成されている
中小企業向けSBTでは、削減目標の設定が1.5度未満の場合、毎年4.2%の温室効果ガスの排出削減もしくは、特定の基準値はないものの算定して削減していくものです。目標年は2030年としており、通常のSBTとは期間も異なります。
加盟しやすくかつ環境経営へシフトできる
中小企業向けSBTは、従業員500人未満の非子会社や独立系企業が対象で、目標を設定した申請書をSBTに提出すると自動的に承認され、SBT運営事務局のWebサイトに掲載されます。
SBTは国際的な枠組みの1つで企業にとって注目!
2015年のパリ協定で誕生したSBTは、温室効果ガスの排出削減に向けた科学的根拠に基づく目標設定です。産業革命以前の平均気温上昇を2度未満、もしくは、1.5度未満に抑えるという目標となります。
企業がSBTの認定を受けるには、通常の経営から環境経営にシフトする必要があります。そのため、経営のあり方を変えようと考えている企業にとって、SBTは効果的な目標です。
SBTのような国際的な枠組みを活用して環境経営へのシフトを考えている企業は、中小企業向けSBTもあるため、この機会に検討してみてはいかがでしょうか?
SBTの目標を達成するには、再生可能エネルギーの活用も大切なポイントです。
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