太陽光パネルはエコなエネルギーとして注目を浴びていますが、その裏には猛毒性と環境破壊の懸念が存在します。
そのため、有害物質を含む太陽光パネルが正しい処理方法で廃棄されること、森林伐採による生態系の破壊を最小限に抑える取り組みなど、環境保護の観点から重要な課題です。
さらに、電力代削減や二酸化炭素排出削減といったプラス面を受ける一方で、リユースやリサイクルの促進もさしせまった課題です。
本記事では、太陽光パネルの猛毒性と環境破壊のリスクを探りながら、持続可能な太陽光発電の実現に向けた解決策を模索していきます。
太陽光パネルの問題と環境破壊の危険性7つの理由
太陽光パネルは、クリーンなエネルギーを生み出す革新的な製品として、「脱炭素」や「2050年カーボンニュートラルの実現」といった目標の達成に不可欠なものです。
しかし、世界的な注目を浴びている一方で、太陽光パネルには問題点や環境破壊の危険性が存在すると指摘されています。その理由を7つあげて説明します。
1. 利益優先業者の存在とそのリスク
太陽光パネルを販売する多くの業者は、顧客のニーズに合わせて最適な提案をして、自分の利益だけでなく顧客の利益も考えるのが普通ですよね。しかし中には「利益優先業者」と呼ばれる、問題のある業者も存在するのも確か。その利益優先業者の特徴が以下の通り。
- 相場よりも高い価格で販売しようとする
- 強引に契約を迫り、帰らない態度を取る
- 一日限りの特別価格と主張して契約を迫る
- メリットだけを伝えてデメリットを隠そうとする
- 競合他社との見積もり比較を拒む
- 自己紹介や会社名を伝えない名刺を渡す
- 商談に使用した資料を持ち帰る
普通に考えればおかしなことばかりなのですが、これらを平然としてくるので注意が必要です。
利益優先業者との契約は避けるべきですが、もし契約してしまった場合は、クーリングオフ制度を利用して契約を解除することができます。また、しつこく自宅に滞在し続けるようなときは、警察に連絡するそぶりをみせたり、実際に連絡することもお忘れなく。不安な点がある場合は、消費者センターに連絡して相談することもおすすめします。
2. 不法投棄される太陽光パネル
太陽光パネルの不法投棄が深刻な問題として浮上しています。太陽光パネルは一度設置すると、通常は長期間使用されるものですが、家の建て替えや屋根の修理といった理由で取り外すことがあります。
このとき、外したパネルは再度設置するのですが、中には再設置しないで捨てる人もいます。正規の手段で処分するのであれば問題はないのですが、不法投棄する人がいるので問題視されているわけですね。
特に、産業用太陽光発電システム(発電量が10kW以上)の方が、家庭用太陽光発電システムよりも不法投棄が多い傾向にあります。産業用システムはパネルの設置枚数も多く、面積も広くなるため維持費用も高くなります。売電収入と維持費を比較して維持費が上回った場合、パネルを撤去せずにそのまま放置する事例が発生しています。
また、家庭用システムでも、リサイクル料を節約するために廃品回収業者がゴミ処理場に持ち込まずに山中に不法投棄するという報告も多発。これらの不法投棄行為は設置者に罰則が課される可能性があるので、太陽光パネルの廃棄を検討するときは、地元の役所などに相談して、信頼できる業者に依頼しましょう。
3. 太陽光パネルの破損がもたらす有害物質の問題
太陽光パネルには、鉛、カドミウム、セレンなどの有害物質が含まれることがあります。もし太陽光パネルが割れてしまった場合、これらの有害物質が漏れ出し、水や土壌汚染を引き起こす可能性があります。
そのため、太陽光パネルが破損した場合は、自分で処理することは止めてください。まずは販売店に連絡して適切な対策を考えましょう。また、破損したパネルが大量に存在し、有害物質が漏れ出すリスクがあるときは、地元の役所に連絡して指示を仰ぎましょう。
4. 太陽光パネルの処分問題
2040年近くには、太陽光パネルの廃棄場所が枯渇する可能性があると、資源エネルギー庁の資料に提示されています。この問題は、2012年から導入された固定価格買取(FIT)制度によって太陽光発電システムが普及し始めたことがきっかけです。
2012年には、1kWhあたり42円という高い売電価格が設定されたため、多くの家庭で太陽光パネルが設置されました。しかし、太陽光パネルの寿命は一般的に25年から30年と言われており、FIT制度が終了した家庭では発電が停止し、廃棄する家庭が増えてきています。
この課題は、持続可能な太陽光発電の普及と同様に、太陽光パネルの処分に関する適切な対策の必要性を浮き彫りにしています。
5. メガソーラーと森林伐採などの自然破壊
メガソーラーは、発電規模が1,000kW以上の大規模な太陽光発電システムによる発電を指します。日本は、国土地域に対する太陽光パネルの設置率が世界一ではあるものの、平地への設置場所がなくなりつつあるので、山間部に設置されるようになっています。
メガソーラーの設置には、1~2ヘクタール(野球場やサッカー場と同じ大きさまたはそれ以上)の広さが必要です。ただし、2022年5月24日までに約23,000ヘクタール(太陽光 22,253ヘクタール / 風力 747ヘクタール)の森林が伐採され、メガソーラーやメガ風力発電システムが設置されました。
この森林伐採により生態系が破壊され、希少動物たちが絶滅の危機にさらされています。自然のバランスが崩れ、生物多様性への影響が深刻です。
6. 土砂崩れ
メガソーラーの設置に伴う森林伐採が増えたことにより、日本各地で土砂崩れが発生しています。太陽光発電システムは、クリーンなエネルギーを生み出すことが期待されていますが、自然環境を壊す潜在的なリスクもはらんでいます。
7. 土壌汚染
太陽光パネルが破損していない限り、パネルから有害物質が流れることはありません。ただ、太陽光パネルが破損し、雨が降ると有害物質が土壌に流れ込み、土壌汚染のリスクが生じる可能性があります。
太陽光パネルが破損した場合は、すぐに販売店に連絡するだけでなく、地元の担当窓口や役所にも連絡し、適切な指示を仰ぐことも重要です。時間がかかりそうなら、ブルーシートなどで破損したパネルを覆い、有害物質の流出を防ぎましょう。
太陽光パネルは猛毒といわれるのはなぜ?
太陽光パネルには、ヒ素・カドミウム・鉛・セレンなどの猛毒物質が含まれていることは先にも書きましたが、実際にはすべての有害物質が1枚のパネルに含まれているわけではありません。
現在販売されている太陽光パネルは、シリコン系、化合物系、有機物系の3種類に分類されます。シリコン系のパネルには鉛が、化合物系のパネルにはヒ素・セレン・カドミウムが含まれています。
これらの有害物質は、人体に悪影響をおよぼすだけでなく、生態系にも大きな影響を与える可能性をはらんでいます。しかも土壌や水質の汚染はしばらく持続し、回復には何十年もかかる場合もあります。
また、汚染された土地や河川・海から採れた食品を摂取すると、知らないうちに人体にすら影響を与えかねません。このようなことから、「太陽光パネルは猛毒」と言われるのかもしれません。
太陽光パネルは本当にエコなのか
太陽光パネルはトータルで見るとエコなものです。日本では火力発電に依存しており、そのため石炭や石油、天然ガスなどの資源を海外から輸入しています。しかもいずれも無限ではありません。
また、火力発電による電力生産は、技術の進歩により二酸化炭素の排出量は減少していますが、ゼロになっているわけではなく、大気中に排出され続けています。
太陽光発電システムが普及すれば、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の排出量を削減することが大いに期待されています。さらに、太陽光パネルの設置によって電力代を削減することも可能です。自家消費や売電による収益化によって、経済的なメリットも得られます。では、電気代が削減できるとされる理由は何かを解説しましょう。
現在、電気代の高騰が頻繁に取り上げられていますが、その理由が「燃料調整費」と「再エネ賦課金」の2つにあります。
燃料調整費とは
燃料調整費は、火力発電の燃料となる石油、石炭、天然ガスの購入費用です。海外情勢や円相場の変動によって燃料の価格が変動するのですが、電力会社は資源代が高くなった分を各家庭に負担させています。現在の燃料調整費は、電力会社によって異なりますが、約7円〜11円程度。
再エネ賦課金とは
再エネ賦課金は、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」のことで、再生可能エネルギーで発電された電力を買うための費用を補助する制度です。太陽光発電システムなどが該当します。
再エネ賦課金は1kWhあたり約3.45円ですが、将来的に上昇する見込みがあるとされていて、2030年度には1kWhあたり5円となる予測があります。
これらの費用は電力使用量に応じて課金されるため、電気使用量を抑えることがポイント。しかし個人で電気代を抑えるには限界がありますよね。そこで太陽光パネルです。
太陽光パネルを設置することで、電気代を節約するだけでなく、電力使用量を削減し、発電による二酸化炭素の排出量を削減へとつなぐことができます。
太陽光パネルが壊れてしまったらどうする?
もし太陽光パネルが壊れたら、自分で対処はしないでください。
その理由は、太陽光パネルが「産業廃棄物」に分類されるためです。
太陽光パネルには有害物質が含まれており、通常の廃棄方法での廃棄はできません。接触すると感電の危険があるだけでなく、有害物質にも接触する可能性があります。さらに、太陽光パネルは日光が当たっているときに発電している可能性があるため、無闇に触れることは危険です。
販売業者は法律上、設置業者(販売店)、ハウスメーカー、工務店が担当しますが、具体的な処分方法は地方自治体によって異なります。
もし太陽光パネルが完全に破損し、屋根から落ちてしまった場合は、一般廃棄物(可燃ゴミや粗大ゴミなど)として扱われる場合もあります。そのため、まずはお住まいの地域の廃棄物処理の部署に相談して、適切な指示を仰ぐようにしてください。
将来、太陽光パネルは大量に廃棄されるのか?
太陽光パネルは、電極やシリコンを複数層に重ねて固く接着しているため、分解してリサイクルすることができません。そのため現在のところ、太陽光パネルの処理方法が確立されておらず、廃棄物処理場がひっ迫している状況です。
環境省が2021年2月に発表した「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」によると、2030年代後半には太陽光パネルの大量廃棄がピークに達し、年間で50万トンから80万トンが廃棄物として出ると予測されています。
太陽光パネルの適切な廃棄方法とは?
太陽光パネルは長い寿命を持つため、通常は一度設置すると取り外さないものです。そのため家の建て替えなどで撤去しないといけないこともあります。廃棄しないといけないとなったとき、適切な廃棄方法が重要になってきます。その方法を3つ紹介します。
各業者の責任と解決意識の重要性
利用者ではなく、販売業者、解体業者、産業廃棄物処理業者の企業モラルが大きなポイントです。太陽光パネル処理業者は、不法投棄すれば処理費用を省いて利益を得ることができますが、これは倫理的に問題がありますよね。 「自分たちが不法投棄をすればどうなるか」という考え方をもつ必要があります。
私たちも「処理業者が国や地方自治体に認可された業者かどうか」を知ることが大切になります。国や地方自治体から認可を受けた業者は、認可番号を持っていますので、ホームページなどでその業者のことを調べてから依頼しましょう。
有害物質は正しい方法で処理する
太陽光パネルは、カドミウムや鉛・セレンといった人体に悪影響を与える有害物質が含まれているため、一般廃棄物ではなく産業廃棄物として処理しなければなりません。
そのため、撤去・廃棄する業者は専門的な知識・技術が必要です。専門的な知識・技術がなければ有害物質が流れ出て土壌汚染や水質汚染が起きて、人体にだけでなく生態系そのものを破壊してしまう可能性があります。
太陽光パネルを処理するときは、自分でするのではなく専門知識を持った業者に依頼しましょう。
リユースやリサイクルによる取り組み
太陽光パネルの大量廃棄時代が近づいていますが、日本ではリユース(再利用)やリサイクル(再生利用)の取り組みが行われています。
年間約4,400トンの太陽光パネルの廃棄物のうち、約3,400トンがリユースされ、約1,000トンがリサイクルされていると推計されています。
リユースされたパネルは経年劣化により発電効率は下がりますが、基本機能は保たれており、産業太陽光発電システムなどで再利用されることが多いです。
リサイクルについては、政府も2030年代後半を見据えて法的義務化を検討しており、2022年から使用済み太陽光パネルのリサイクルを義務化するための法案を準備しています。
また、太陽光パネルはアルミ、ガラス、バックシートに分解できます。特にガラスは太陽光パネルの大部分を占めており、発泡ガラスや防草材などへの再加工技術も進んでいます。
リユースとリサイクルによって太陽光パネルの資源効率を向上させ、持続可能な廃棄物処理を実現することが重要になってきます。
太陽光パネルは猛毒で環境破壊の一因なのか?環境と安全に向けた取り組みを!
太陽光発電システムは、一般家庭や産業において電気代の節約や地球温暖化の抑制など、多くのメリットをもたらしています。だから世界中でも注目を浴びています。
しかし、太陽光パネルには人体や生態系に悪影響をおよぼす可能性がある有害物質が含まれています。特にカドミウムや鉛、セレンなどですね。これらの有害物質は適切な処理が必要であり、専門的な業者に依頼することが必須とされています。
また、太陽光パネルを大量に設置するためには広い面積が必要となり、森林などの自然環境が犠牲になることもあります。森林の伐採による土砂崩れなどの問題も起こり得ます。
これらの問題に対しては、リユースやリサイクルによる資源効率の向上や、適切な廃棄物処理の実施が求められています。同時に、廃棄業者などの企業モラルや法整備の重要性も指摘されています。
太陽光発電システムの普及と環境保護は両立が図られるべきであり、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた取り組みが重要です。技術の進歩や倫理的な観点からの配慮を通じて、太陽光エネルギーの活用をより安全かつ持続可能なものにしていく必要性をしっかり考える時が来てるのかもしれません。
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