太陽光発電でかかる税金は?経費計上できるものや課税の分かれ目も紹介

太陽光発電でかかる税金は?経費計上できるものや課税の分かれ目も紹介

太陽光発電事業を行う際には、当然国や自治体に対して税金を支払わう必要があります。しかし太陽光発電事業ではどのような税金が必要なのか、どのくらいの金額になるのか不明なところが多いでしょう。そこで、この記事では太陽光発電の税金について紹介いたします。今後、太陽光発電事業を行いたいと思っている人は参考にしてください。

太陽光発電でかかる税金

太陽光発電の際に特別かかる税金というものはありません。そのため、通常の事業運営と同じように必要な税金を支払うことになります。
太陽光発電事業を展開するなかで想定される税金の種類は以下の2つです。

  • 所得税
  • 固定資産税

ここでは、上記の2つの税金について詳しく紹介したします。

所得税

所得税は、個人事業主や副業として個人的に太陽光事業を展開している人に対して課される税金です。売電によって得られた利益に対してのみ課される税金で、1月1日から12月31日までの間に売電によって得られた収益からその年にかかった経費を引いた金額に対して課税されます。
また、法人の場合は所得税ではなく法人税が課されるので注意しましょう。

固定資産税

固定資産税とは、固定資産に対して課されるものでソーラーパネルやソーラーパネルを設置するための土地などに課されるものです。また、太陽光発電関連の設備の場合は「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」を適用することで固定資産税の金額を下げることもできます。
「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」とは、自家消費目的の太陽光発電設備の場合は特定の条件のもとで固定資産税が3分の2になる制度のことで、省エネルギー発電の促進を目的に自治体が行っている優遇措置の一種です。

太陽光発電の3つの所得区分

太陽光発電で課される所得区分は以下の3つに分けることができます。

  • 雑所得
  • 事業所得
  • 不動産所得

ここでは、上記の3つの所得区分の説明をしていきます。

雑所得

自宅に設置して売電目的ではなく家庭用電力として利用する場合は、雑所得に分類されることが多いです。太陽光発電設備の容量が10kW未満の場合は、基本的に雑所得に分類されます。

事業所得

事業所得に分類されるのは、太陽光発電設備の容量は10kW以上である場合や太陽光発電で作った電力を全て売電するなど、家庭用ではなく事業の一環として太陽光発電設備を設置している場合です。

不動産所得

太陽光発電が不動産所得に分類されるのは、住宅と住宅用の敷地に設置されている太陽光発電を含めて第三者に賃貸などをし、その余剰電力を売電して利益を得た場合です。太陽光発電の売電利益が不動産所得に分類されることは少ないですが、賃貸業などを行っている方は不動産所得に分類されることもあるのでしっかり確認しておきましょう。

所得税がかかるかどうかの分かれ目は利益が20万円

個人で太陽光発電設備を所有しており、その売電金額がどのくらいになったら所得税として支払わないといけないのでしょうか?
大前提として所得税は売電で利益を上げた人が全員納付しないといけないものではなく、利益が20万円を超えた場合のみ納付が必要なものになります。ここで言う利益とは、売電金額ではなく売電金額から必要経費を差し引いた金額のことです。
そのため、売電金額が50万円でも経費の金額が40万円であれば確定申告の必要もなく、所得税の支払い義務もありません。

太陽光発電で固定資産税がかかる分かれ目とは?

固定資産税の支払い義務があるのかどうかわからないという人も多いのではないでしょうか?この背景には固定資産税が一律に課されるものではなく、太陽光発電の設備規模などによって課税金額が異なるためです。
そこで、ここでは固定資産税がかかる基準について紹介していきます。

出力が10kWを超えるかどうか

まず、固定資産税がかかるかどうかの基準が出力W数です。出力10kW未満の場合は、事業用ではなく家庭用と判断されるのが一般的なので固定資産税はかかりません。
しかし、10kW未満の出力であっても明らかに家庭用ではない場合は課税の対象になります。たとえば、自宅とお店が併設されている場合は自宅の屋上についている太陽光発電設備の使い道が100%家庭用とは判断できないので課税の対象になることもあります。

太陽光を取り外せるかどうか

太陽光発電設備を取り外せるかどうかもポイントの1つです。固定資産税とは文字通り固定されている資産に対してかかる税金になります。そのため、固定されていない資産に対しては課税することができません。
たとえば、太陽光発電設備であっても窓に取り付ける簡易的なものや、屋根に直接太陽光発電を埋め込むのではなく後付けのタイプは取り外して太陽光発電の設備を使うことが可能です。そのため、固定資産とはみなされず固定資産税の課税対象にはなりません。
一方で、太陽光発電の設備が屋根と一体型になっている場合や物理的に取り外すことができない太陽光発電設備は固定資産となり、固定資産税の対象になります。

目的が一般家庭用かどうか

目的で固定資産税の対象になるかを判断することもあります。一般的に、太陽光発電の設備が固定資産税の対象になるのは事業として太陽光発電を実施している場合です。
そのため太陽光発電の設置目的が家庭用である場合は、固定資産税の対象にはなりません。ただ、家庭用かどうかの判断をするための基準を明確にすることもかねて、出力数で家庭用か判断することが多いです。

太陽光発電の減価償却の仕組み

減価償却とは元の購入費用を一括で経費に計上するのではなく、商品の価値が年月を経ることで小さくなっていくということを考慮して、経過年数に応じて経費に毎年計上するという仕組みのことです。
ここでは、太陽光発電設備の減価償却の仕組みについて紹介していきます。

減価償却の基準

減価償却は、取得原価・耐用年数・残存価額の3つの基準によって決められます。特に、耐用年数はものによって償却期間が決められているので事前に確認することが必要です。

太陽光の耐用年数

太陽光発電の耐用年数は17年間といわれています。ただ、工場の運用目的で太陽光発電設備を設置している場合など目的によって耐用年数が設定されています。そのため、売電目的の事業用もしくは家庭用ではない場合は、太陽光発電の設備であっても耐用年数を事前に確認しましょう。

減価償却の計算方法

減価償却は、商品の購入代金を耐用年数に応じて毎年経費に計上できる仕組みのことです。しかし、減価償却の計算方法を知らない人も多いでしょう。減価償却の計算方法には以下の2つがあります。

  • 定額法
  • 定率法

ここでは、この2つの減価償却の計算方法を紹介します。

定額法

定額法とは、商品の購入代金を耐用年数で割って毎年一定の金額を経費に計上する計算方式です。たとえば、1000万円の商品を購入して耐用年数が10年の場合、毎年経費に計上できるのは100万円になります。
定額法の場合は経費の計算方法が簡単で効率的に経費処理を行うことができますが、初年度の節税効果が小さいという側面もあるので注意しましょう。

定率法

定率法とは、商品ごとに決められた割合で毎年経費に計上していく方式のことです。たとえば、1000万円の商品を購入して耐用年数が10年、国で決められた償却率が10%の場合は、初年度に100万円(1000万×10%)を経費計上し、次の年は90万円(900万円×10%)を経費計上していくというやり方です。太陽光発電の場合は、償却率が11.8%に設定されています。
定率法のメリットは、初年度の経費計上金額が大きいので節税効果が高いことです。しかし、定率法は経費の計算が複雑になることも多いのでその点には注意しましょう。

太陽光の償却資産税がばれないこともある?

太陽光発電の場合は、償却資産税を支払わなくてもバレないと聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?ここでは、太陽光発電の場合は償却資産税を支払わなくてもバレないのかについて紹介していきます。

太陽光の償却資産税とは?

償却資産税とは、固定資産税と同義になります。そのため、償却資産税と聞いたら固定資産税のことを思い浮かべましょう。ただ、固定資産税と異なるのは太陽光発電設備のように償却期間の決まっている固定資産に対しての税金なので耐用年数を過ぎた場合は支払いの義務がなくなることもあります。

償却資産税の計算方法

償却資産税率は、1.4%です。また、償却資産税は毎年同じ金額に対してかけられるものではなく、資産の価値がなくなるに連れて償却資産税の金額は小さくなります。

太陽光が節税対策に使われる理由

太陽光発電を節税対策で利用すると聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?実際に、太陽光発電の設備を節税対策として利用する企業も多く、最近では節税方法の1つとして認識されています。
そこで、ここでは太陽光発電設備が節税対策に使われる理由を紹介します。

耐用年数が高い

太陽光発電設備が節税対策に利用される主な理由が、太陽光発電の耐用年数が長いことです。節税をするためには、毎年計上できる経費の金額を大きくしなければなりません。その際に、太陽光発電は耐用年数が17年と長いため、長期間にわたって経費に計上することができます。
そのため、耐用年数の長さにメリットを感じて太陽光発電設備を節税対策に導入することが多いです。

経費計上できるものが多い

太陽光発電では、太陽光発電設備そのものを経費にできるのはもちろんのこと、購入のためのローン利息や土地の購入代金なども経費に計上することができます。そのため、太陽光発電の設備と関連して経費に計上できるものが多いというのは経営者にとっては大きな魅力でしょう。

長期にわたって利益を見込める

太陽光発電の場合は、売電価格がFIT法と言われる制度によって決まっています。
FIT法とは、国が太陽光発電の普及のために事前に電力の購入価格を提示して、その提示価格で電力を購入する制度のことです。
このFIT法があることで、事業者は太陽光発電の出力電力数などをもとに得られる売電価格の予想を立てやすく、利益の計算をしやすいと言うのもメリットの1つでしょう。

太陽光発電経費計上できるもの

ここでは、太陽光発電関連の項目で経費に計上できるものを紹介します。

土地の賃料

太陽光発電のための土地の賃料は経費に計上することが可能です。また、ソーラーパネルの設置場所のみではなく、管理施設の土地に関しても経費にすることができます。

管理費

太陽光発電設備の管理も経費にすることができます。この管理費のなかには、ソーラーパネル施設の管理のために導入している防犯設備なども含まれます。

損害保険料

ソーラーパネルなどに欠けている損害保険料についても経費にすることができます。

メンテナンス費用

太陽光発電の設備ではコンディショナーなど定期的にメンテナンスが必要になる機器も多いです。このような機器をメンテナンスするための費用についても経費にすることができ、機器の交換が必要な場合は交換費用も経費にすることができます。

電気代

太陽光発電設備を運営するために必要な電気代も経費にすることができます。

ローン利息

ソーラーパネルの購入費用の際、ローンを組んで捻出する場合には必要になるローン利息も経費にすることができます。

固定資産税

太陽光発電設備にかかる固定資産税も経費に計上することができます。ただし、直接太陽光発電設備に関連しない部分の固定資産税については経費に計上することができないので注意しましょう。

減価償却費

太陽光発電設備にかかる減価償却費も経費に計上することができます

太陽光発電でかかる税金を理解しておこう

太陽光発電ではさまざまな税金がかかる反面、うまく利用することで高い節税効果を見込むこともできます。そのため、太陽光発電設備を導入する際にはしっかり税金について理解しておきましょう。

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