非FITとは何?非化石証書やトラッキングについても解説

非FITとは何?非化石証書やトラッキングについても解説

太陽光発電を設置したり中古太陽光発電所を購入したりした場合は、通常FIT制度に沿って売電が行われます。しかし、近年では、環境への配慮や再エネ賦課金の負担増加などといった事象から非FITにも注目が集まっています。

そこで今回は、非FITの太陽光発電について詳しくご紹介します。RE100基準の太陽光発電事業を展開したい方や非FITについて関心を持ち始めた方は、参考にしてみてください。

非FITとは?

非FITとは?

まずは、非FITの意味やFIT認定設備との違いについて確認していきます。

FIT認定を受けていない再生可能エネルギー設備

非FITとは、FIT認定を受けていない再生可能エネルギー設備のことです。

再生可能エネルギーは、太陽光発電や風力発電、地熱発電、水力発電など、非化石エネルギー源のうち政令で定められたエネルギーを指します。また、FIT認定設備とは、FIT制度(固定買取価格制度)の認定を受けて発電および売電が行われている発電設備のことです。

FIT認定を受けていない非FIT型の太陽光発電所は、FIT制度の影響を受けずに発電や売電を進められます。

さらに非FIT型の太陽光発電で発電した電気は、電力としての価値に加えて環境価値も付与されています。そのため、RE100基準の電力供給を実現できるのが強みです。

なおRE100基準は、NGOのThe Climate Groupによって発足された制度です。主に欧米の企業がRE100へ加盟していて、日本の大手企業も加盟しています。中小企業の場合は、中小企業向けRE Actionへ加盟することが可能です。

FIT認定設備との違い

非FIT型太陽光発電とFIT型太陽光発電の大きな違いは、環境価値の付与とRE100基準エネルギーかどうかといった点です。

国内の太陽光発電所は、国の定めるFIT制度をベースに運用されています。しかし、環境価値への対価とされている再エネ賦課金を負担しているのは、電気料金を支払っている国民です。そのため、FIT型の太陽光発電所で発電された電気には、環境価値が付与されていません。さらにFIT型太陽光発電所で発電した電気は、化石燃料を含む電力市場で販売されるので、100%再生可能エネルギーとして認められていません。

対して非FIT型の太陽光発電所はFIT制度の認定を受けていないため、再エネ賦課金も発生しません。さらに非化石証書の付与によって、化石燃料と分けて売電することが可能です。

つまり、非FITは再生可能エネルギーとしての環境価値を保った状態で、電力の供給を行えます。

発電した電気は電力会社と相対契約により販売

非FIT型の太陽光発電で発電した電気は、電力会社の買取義務に含まれません。

電力を販売したい場合は、新電力を含めて電力会社と相対契約する必要があります。買取価格は、買い手の希望価格および交渉次第で変わります。

FIT制度に慣れている太陽光発電投資家や事業者にとっては、ハードルの1つです。ただし、今後FIT制度が永久に続く保証はありませんし、再エネ賦課金による国民負担の増大といった点、環境面といった点から見ても相対契約を視野に入れる必要があります。

非FITの太陽光発電は非化石証書が適用

非FITの太陽光発電は非化石証書が適用

非FIT型の太陽光発電を理解したあとは、非化石証書について確認していきます。

非FIT型の太陽光発電であることを示すには、非化石証書の発行が必要とされます。

非化石証書は環境価値を示したもの

非化石証書は、非FIT型の発電設備で発電された電気の環境価値や属性情報を示したものです。制度自体は、2018年5月にスタートしました。

非FIT型とFIT型の太陽光発電は、理論上環境価値の付与について大きな違いがあるものの、CO2排出のない電源設備という点で共通しています。そのため、電力市場で取引されている電力が、FIT型と非FIT型どちらの設備で発電されたものなのか分かりません。

非化石証書が発行されることで、どのような方法で発電された電気なのか電力会社側で判断できます。電力会社側は、環境価値の付与された非FIT電気の供給を消費者向けに示すことが可能です。

非化石証書の売買や確認については、電力会社(電力小売事業者)でのみ認められています。

非化石証書は3種類

非化石証書は3種類に区分されていて、それぞれ電源構成などが異なります。

再エネ指定ありの非FIT非化石証書原子力発電を除いた非FIT型電力の非化石証書
再エネ指定なしの非FIT非化石証書原子力発電を含めた非FIT型電力の非化石証書
再エネ指定ありのFIT非化石証書原子力発電を除いたFIT型電力の非化石証書

上記のうち環境価値が付与される電源構成は、再エネ指定ありの非FIT非化石証書です。

再エネ指定なしの非FIT非化石証書に含まれる原子力発電は、CO2を排出しない設備ですが、環境への影響も懸念される使用済み核燃料を排出してしまいます。

再エネ指定ありのFIT非化石証書は、冒頭でも触れたように再エネ賦課金によって環境価値が認められていません。

そのため、環境価値+電力としての価値が認められているのは、再エネ指定ありの非FIT非化石証書です。

RE100の適用にはトラッキング付き非化石証書が必要

より環境価値を高めながら発電事業を展開するには、RE100への加盟も重要なポイントです。

RE100の適用を受けるには、トラッキング付き非化石証書の発行が必要です。トラッキング付き非化石証書は、従来の非化石証書と異なり発電元の情報を追跡しているため、発電所の情報まで細かく確認できるのが特徴です。

非FIT型太陽光発電に注目が集まっている背景

非FIT型太陽光発電に注目が集まっている背景

非FIT型太陽光発電は、非化石電源比率向上義務への対策や脱炭素化へ進まなければいけない状況などから、注目の集まっている設備です。非化石電源比率向上義務は、電力小売り事業者向けの法律で、2030年までに非化石電源比率を44%以上に引き上げなければいけないといった内容です。

これから太陽光発電事業を展開していく企業やFIT型太陽光発電所を所有している企業は、非FIT型太陽光発電所への取り組みも重要です。

非FIT型太陽光発電のメリット

非FIT型太陽光発電のメリット

ここからは、非FIT型太陽光発電の導入メリットについて紹介していきます。

RE100基準の電力供給による企業価値アップ

非FIT型太陽光発電とトラッキング付き非化石証書を導入できれば、RE100もしくはRE Actionへ加盟できる可能性があります。

RE100やRE Actionへの加盟は、環境問題への取り組みにおいて重要ですし、企業価値を高めていく上でも大切なポイントです。

発電事業を展開していく企業は、非FIT型太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

再エネ賦課金による国民負担の抑制

非FIT型太陽光発電の導入は再エネ賦課金の抑制につながるので、国民にとってもメリットの大きな取り組みです。

再エネ賦課金は毎月の電気料金に組み込まれていて、FIT型太陽光発電を含む各種再生可能エネルギー設備の増加で、年々国民負担も増加しています。

環境だけでなく国民負担の抑制、そして発電事業者1人1人の生活負担軽減という点でも非FITは、メリットの多い取り組みです。

FIT制度の影響を受けずに売電収入を得ることが可能

非FIT型太陽光発電の事業者は、相対契約によって電力の販売を行うことが可能です。つまり、電力会社と契約することで、引き続き売電収入を得られます。

さらにFIT制度の制度変更や規制強化などの影響を受けずに済むため、発電や売電の計画を立てやすくなる可能性があります。また、FIT制度の適用期間は10年間もしくは20年間と定められているので、どの太陽光発電所もいずれ非FITを含めた検討が必要です。

非FIT型太陽光発電のデメリット

非FIT型太陽光発電のデメリット

続いては、非FIT型太陽光発電のデメリットについて紹介します。

売電先を探す必要がある

非FIT型太陽光発電で発電した電気は、電力会社の買取義務に含まれません。そのため、FIT認定を受けた太陽光発電と異なり、自動で売電に関する手続きや契約が行われません。

FIT制度に慣れている事業者や電力市場や契約について分からない方にとっては、デメリットの1つです。

非FIT型太陽光発電で発電した電気を売電するには、まず非FIT電力に対応した電力会社を探し、相見積もりをとったり条件面で比較したりするのが大切です。

RE100基準の電力を作るには手間がかかる

RE100基準の電力を作るためには、非FIT型太陽光発電の導入に加えてトラッキング付き非化石証書の発行なども必要です。さらに近年では、ブロックチェーンを活用した非化石証書も誕生していて、ブロックチェーン技術について理解しておくのも大切です。

売電収入重視の事業者にとっては、現時点でFIT型の方がメリットのある運用方法です。

ただし、長期的な視点で見てみるとRE100やRE Action基準電力を供給できる事業者の方が、企業価値アップや買い手の増加など、さまざまな点から実用性のある運用です。

取引価格が引き下げられる可能性もある

非FIT型太陽光発電で売電を行うT期は、電力需要などによって取引価格の変動リスクも生じます。

FIT認定を受けた太陽光発電の事業者は、一定期間固定買取価格で売電することが可能です。一方、非FIT型太陽光発電の事業者は、電力市場や電力会社との契約に沿って売電を行う必要があります。

今後、卒FITによってさまざまな再生可能エネルギー設備が、一般の電力市場へ参入すると電力需要の低下や取引価格の一時的な引き下げといったリスクも想定できます。これから非FIT太陽光発電を始める時は、取引価格の変動について対策を講じるのもおすすめです。

非FITはFIT認定不要で太陽光発電の運用が可能!

非FITはFIT認定不要で太陽光発電の運用が可能!

非FIT型の太陽光発電は、FIT制度の認定を受けていない発電設備を指します。また、環境価値の付与による価値上昇やRE100基準の電力供給など、FIT型とは異なるメリットを得られるのが特徴です。

太陽光発電事業の長期的な戦略を検討している方や卒FIT後の運用を考えている方は、今回の記事を参考に非FIT型太陽光発電を含め比較検討してみてはいかがでしょうか。

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