太陽光パネル火災時の消火方法は?消防庁の見解や感電リスクについても解説

太陽光パネル火災時の消火方法は?消防庁の見解や感電リスクについても解説

太陽光パネルの設置においてリスクのひとつが「火災」です。一時期、水では消火できない・消防士が感電して死亡するリスクがあるなどの噂もあったほど。危険なイメージのある太陽光パネルの火災ですが、実際はどうなのでしょうか?今回は太陽光パネルの消火方法を消防庁の見解も参考に解説していきます。ぜひ参考にしてください。

太陽光パネルの消火方法

太陽光パネル火災の消火方法については、「太陽光パネルの火災は水で対応可能」です。なぜ、「水では消火できないという認識が広まってしまったのか?」の部分についても解説していきましょう。また、発電設備に対する消火の注意点もありますのでぜひ参考にしてください。

太陽光パネルは水で消火できる

太陽光パネル火災に対して、消防庁では「普通の火災同様、放水で消火」と発表しています。仮に、一般家庭で太陽光パネル火災が発生した場合、放水できなければ近隣の住宅にも大きな被害が出ることは想像できるでしょう。

それでは、なぜ太陽光パネルの火災では水で消火できないなどという情報が広まってしまったのでしょうか。そこには、SNSを通じてネガティブな情報が拡散されてしまったという経緯があります。

拡散された太陽光パネルの誤情報

2021年にSNSで拡散された誤情報が、太陽光パネル火災に対して「パネル火災は水では消せない」という誤った認識を広げてしまいました。

参照:https://twitter.com/miyakosyn_35201/status/1401160552609509377?s=20&t=EqyQZGOg8TfrJRvTTFAaIA

SNSで情報が拡散された後に、毎日新聞社が消防庁へ取材をしたところ、以下のような答えが返ってきています。

“太陽光発電システムのパネルの火災について「水での消火が不可能」と主張するツイッターの投稿が拡散している。しかし総務省消防庁によると、感電に注意をしなければならないものの、他の火災と同様に放水で消火しており、この投稿は誤りだ。”

引用元:毎日新聞

消防庁が公式に発信したことで、水では消火できないという情報は誤りであると言えます。

放水時には留意点もある

太陽光パネル火災では、水での消火が可能ということです。しかし、消防庁は消火に際しての留意点も挙げています。

平成26年3月に発行された「太陽光発電システム火災と消防活動における安全対策」によると、消火時の放水で電気が水を伝わり感電する可能性があるため、6メートル以上の距離をとって消火放水をするように定められています。これは、「水で消火はできるけど、感電リスクがゼロではないから対策は取ろうね」ということであり、二次災害を避けるためにも安全対策は必要ということを意味します。

太陽光パネル火災/消火時の感電リスク

前項までで、太陽光パネル火災の消火方法について理解できたかと思います。次に、消火におけるリスクや感電のメカニズムをご紹介していきます。

太陽光パネル火災での感電メカニズム

前述しましたが、太陽光パネル火災の消火時には感電のリスクがあります。そのため、「感電で命を落とす危険があるため水での消火ができない」という誤情報が拡散されたと推測できます。

パネル火災での感電メカニズムとはどのようなものでしょうか?感電は主に火災により断線したケーブルが原因です。消火時は、放水の影響で断線したケーブル周りが水浸し状態となります。そのため、その水に触れた人が感電する危険があります。ケーブルは屋外型と屋内型がありますが、双方とも感電リスクは変わりません。

消火活動中に感電した例も

消防庁から、消防士が消火活動中に感電した事例が複数報告されています。主な原因は、消火後の残火確認の際にパネルを持ち上げる作業などです。また、金属製の柱と発電モジュールを触った時などに感電してしまう事例もあります。感電の衝撃は手がビリビリする程度から、バン!と突き飛ばされるようなものまで幅広いです。

太陽光パネルは火災時も発電している

火災消火時の感電要因のひとつとして、火災時も発電されていることが挙げられます。太陽光パネルは数枚~複数枚で構成されており、出火した箇所が1~2枚だった場合、他のパネルは通常どおり発電しています。生産された電気はケーブルで送り続けられているため、感電につながってしまうのです。

【消防庁】太陽光パネル消火時の安全対策

消防庁には、太陽光パネル火災における消防士の安全を考慮した対策があります。

ここでは安全対策について詳しくみていきましょう。

感電に対する安全対策

消防庁が安全対策として提示しているのは以下の3つです。

  • 絶縁性の手袋
  • 絶縁性の長靴
  • 装備するものが乾燥している状態

感電しないためには、高電圧用のゴム手袋などの着用が推奨されています。普段、消防士が身に付ける防火手袋や防火靴には、電気を通さない絶縁性能がありません。絶縁性の装備は乾燥していることが好ましいです。電気を通さないと言っても、水に濡れた状態では感電リスクがあるためです。

強化ガラス飛沫の安全対策

太陽光パネルは強化ガラスでできていますが、火災になった場合、高熱の影響で、通常のガラスと同様に強度が弱くなります。そのため、消火活動での破壊器具の利用や火災熱によるガラス飛散が起きやすく、消防士にとって大けがをする要因となります。

火災時の発電対策

上記2項の対策のほか、火災時には太陽光パネルの発電を止めることも重要です。

火災時の発電対策は以下の2点です。

  • ブルーシートなどでパネルを覆う
  • パネルのそばに可燃物がないかを確認

太陽光パネルは文字どおり、太陽の光により発電する装置です。そのため太陽光を遮ることで発電を抑制できます。発電を止めれば感電リスクは下がります。また、火災リスクを想定して、そばに可燃物がないかを定期的に確認することも大切です。火災を広げないためにも、日ごろの防火対策は大切です。

太陽光パネル火災の主な原因と課題

ここからは、太陽光パネル火災の主な原因と課題点について解説していきます。

急激に増えた太陽光パネルの設置

太陽光パネルの火災について誤情報が拡散された背景には、東京都が検討している新築住宅への太陽光発電設備設置の義務と、既存住宅への設置が年々増加していることが挙げられます。

2021年10月に発行された「太陽光発電協会」の資料において、2017~2020年度での年平均設置数は14.3万件です。2012~2013年度の年平均27.2万件と比較すれば少ないですが、年々増加傾向にあります。導入母数が増えれば、当然火災などのトラブルが増えることにもなるため、太陽光パネル火災の要因のひとつといえます。

メンテナンス不足による火災の増加

メンテナンス不足が火災を引き起こすことも要因のひとつです。「消防研究センター」が把握している情報によると、2005~2018年までの火災件数は128件にのぼります。このうち、パワーコンディショナー要因が74件、太陽光発電モジュール起因が14件、配線や接続箱の汚れが29件でした。

太陽光パネルを設置した場合、定期的なメンテナンスが義務となっていますが、実際にアフターメンテナンスが不充分な住宅メーカーも存在します。メンテナンスには「太陽光発電メンテナンス技士」という資格が必要であり、各住宅メーカーはそのための技士を増やす必要があります。

メンテナンスされずに放置状態の場合、火災リスクは通常に比べて上がります。そのため管理会社による定期メンテナンスが重要です。

自然災害による破損も要因

自然災害による破損も火災の要因です。

主に以下の災害が挙げられます。

  • 地震
  • 台風
  • 豪雨/豪雪
  • 土砂くずれ

上記の災害はいずれも、パネルを支える架台やケーブルの断線、浸水による漏電や地絡などを引き起こす原因になります。ほとんどの太陽光パネルは、住宅の屋根など屋外に取り付けるため、太陽光発電の導入時には、災害を想定したリスク管理を管理会社と共に行なうことが大切です。

太陽光パネル火災の消火についてのまとめ

今回は太陽光パネル火災時の消火方法について解説しました。「太陽光発電の火災では、水は使えない」という誤った情報が拡散され、リスクが大きいという印象を持たれる方もいるでしょう。しかし、放水での消火は可能ということがわかりました。

そもそも、火災を発生させないことが大切です。太陽光発電に対する防火対策を行なうことは、安全でエコな電力を利用していくうえでポイントのひとつとなります。安全な運用のためにも、実績と信頼のある専門業者へ依頼しましょう。

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