太陽光発電の太陽光パネルは、一般的に屋根や野立てもしくはカーポートへ設置されます。これから太陽光発電を始めるにあたって、自宅や自社の敷地内へ可能な限り太陽光パネルを設置したい方もいるのではないでしょうか。太陽光パネルの垂直設置はこれまでの概念を覆す設置方法で、太陽光パネルの設置枚数を増やしたい方にメリットの多い方式です。
そこで今回は、太陽光パネルの垂直設置に関する特徴、メリットやデメリットについて分かりやすくご紹介します。太陽光パネルの設置方法について知りたい方や住宅用太陽光発電を検討している方などは、参考にしてみてください。
太陽光パネルの垂直設置とは?
住宅用太陽光発電を導入する時は、原則屋根へ太陽光パネルを設置します。産業用太陽光発電の場合は、地面に架台および太陽光パネルを固定します。いずれの方式でも太陽光パネルの設置角度は、地面に対して20~45度の間です。
垂直設置は、固定方法から設置角度まで上記とは異なります。
まずは、太陽光パネルの垂直設置に関する概要と特徴について確認していきます。
太陽光パネルを建物の壁面へ設置
太陽光パネルの垂直設置とは、建物の壁面に設置される方式のことで、壁面設置と呼ばれている場合があります。設置角度は、地面に対して90度です。
太陽光パネルの設置角度は、地面に対して平行もしくは30度~45度程度です。また、地面もしくは屋根に架台を設置し、架台の上に太陽光パネルを固定します。
しかし、垂直設置の場合は既存の設置方法と大きく異なり、外壁に太陽光パネルと壁の固定に必要なレール材などが用いられています。太陽光パネルに関しては、レール材などで固定していきます。
近年開発が進んでいる設置方法
太陽光パネルの垂直設置は、近年開発の進んでいる設置方式です。
垂直設置方式そのものは、以前から考えられていてなおかつ施工例もありました。しかし、住宅用太陽光発電や野立て太陽光発電(地面に架台を設置)と異なり施工例が極めて少なく、多くの施工業者で対応していませんでした。また、設置工事に対応していたとしても着工まで半年以上など、一般的な工期より長めに設定されています。
近年では、垂直設置工事に力を入れている施工業者が現れていて、独自の施工方式を編み出したり固定部品を開発したりしています。さらに垂直設置に関する保証サービスが、セットで販売されていて導入しやすい環境です。
太陽光パネルの垂直設置は、今後も発展していく可能性のある方式です。
ビルだけでなく住宅の壁面にも設置可能
垂直設置および壁面設置は、ビルやマンション、アパートだけでなく一戸建て住宅でも検討できます。
太陽光発電の施工業者では、さまざまなニーズに応えられるよう日々施工技術の向上や新たな施工方法へ挑戦しています。太陽光パネルの垂直設置は、施工業者にとって耐久性や法的な課題など難易度の高い設置方法です。
それでも施工対応している業者があり、一戸建て住宅の外壁へ太陽光パネルの設置を依頼・相談できます。住宅用太陽光発電を検討している方の中で屋根への設置が難しい時は、垂直設置を検討してみてはいかがでしょうか。
太陽光パネルの垂直設置で得られるメリット
太陽光パネルの垂直設置は、発電量を増やしたい方や積雪の多い地域で太陽光発電を効率よく発電したい方などに利用しやすい方式の1つです。
続いては、太陽光パネルの垂直設置で得られるメリットについて1つずつ確認していきます。
屋根や地面以外の場所でも発電を行える
太陽光パネルの垂直設置は、屋根や地面以外で発電を始めたい方にとってもメリットの多い設置方式です。
住宅用太陽光発電を始めるには、屋根やカーポートなどに設置可能か調べておく必要があります。また、屋根の形状や太陽と住宅の向きや角度など、さまざまな要素から設置に適していない場合があります。屋根への設置では、架台の固定による雨漏りや破損といったリスクもあり注意が必要です。
他にも野立て太陽光発電を始める時は、設備の設置可能な土地を選定・購入する必要があります。
一方、太陽光パネルの垂直設置は、屋根の形状や耐久性などに関係なく検討できますし、土地の選定や購入も不要です。
建物の大きさに合わせて柔軟に設置可能
太陽光パネルの垂直設置を選んだ場合は、屋根やカーポートの設置より柔軟に設計運用できるのもメリットの1つです。
屋根やカーポートに太陽光パネルを設置する場合、屋根の形状や面積、重量などの兼ね合いから設置枚数を決めなければいけません。
一方、建物の外壁は屋根より面積が広く、出力を大きくしやすい可能性があります。さらに屋根やカーポートへの設置に加えて垂直設置を行うと、発電量の大幅な増加を期待できるのが特長です。
建物への太陽光パネル設置で発電量を伸ばしたい時は、垂直設置を検討してみるのもおすすめです。
積雪や落ち葉などによる発電効率低下を避けられる
太陽光パネルの垂直設置は、屋根や屋上の設置と異なり積雪による負担や落ち葉などによる発電効率低下を避けられます。
積雪量の多い地域で屋根や屋上へ太陽光パネルを設置した場合は、太陽光パネルにも雪が積もってしまいます。また、積雪は、太陽光パネルや架台への負担をはじめ、発電量低下もしくは0などのリスクがあります。
他にも野立て太陽光発電や屋根への太陽光パネル設置は、落ち葉やごみなども乗ってしまう場合もあり、発電量低下に注意が必要です。
垂直設置では、太陽光パネルに雪が積もりにくく、ごみや落ち葉の影響も避けやすい状況です。日照時間や設置角度以外の要因による発電量低下リスクを抑えられるのは、垂直設置ならではの強みでありメリットでもあります。
シースルータイプであれば視界の確保が可能
垂直設置および壁面設置対応型の太陽光パネルには、シースルータイプもあります。シースルータイプとは、太陽電池の間にスリットが入っていたり透過性の高い特殊な太陽電池を組み込んだりしているパネルのことです。
太陽光パネルメーカーの中には、垂直設置を想定したシースルータイプの太陽光パネルを販売しているメーカーも存在します。シースルータイプの太陽光パネルは、採光性を維持しながら発電できます。
太陽光発電を設置しながら屋内から外の風景を見たい時や光を取り込みたい時は、シースルータイプの太陽光パネルから比較検討してみるのがおすすめです。
太陽光パネルの垂直設置に関するデメリット
続いては、太陽光パネルの垂直設置に関するデメリットを確認していきます。
状況によっては発電効率低下の可能性
太陽光パネルの垂直設置は、一般的な設置方法と比較して発電効率の低い方法です。そのため、積雪の多い地域や落ち葉の多い地域などのケース以外では、発電量の低下につながる可能性もあります。
太陽光パネルの発電効率が良い設置角度は、地面から27~45度とされています。一方、垂直設置は、地面に対して90度と理想的な角度ではありません。さらに発電量が40%低下というケースもあるため、必ずしも垂直設置で発電効率を伸ばせるわけではありません。
垂直設置は、積雪の多い地域や屋根や屋上に設置できないケース、屋根やカーポート以外にも太陽光パネルを設置したいといった特定の場合に適しています。
光害に注意が必要
太陽光パネルの垂直設置を検討する時は、日光の反射による光害リスクが発生しやすい環境か調査・確認してもらった上で判断するのも大切です。
太陽光パネルに反射した光は、周辺の住宅やマンション、通行人などに当たってしまう場合もあります。また、光害による被害が大きいと、周辺住民とのトラブルに発展する可能性もあり気を付ける必要のあるポイントです。
周辺に商業施設や住宅、人通りの多い道路がある場合、事前に施工会社や調査会社へシミュレーションしてもらうのも大切です。
既存の設置方法と比較してノウハウや情報が少ない
垂直設置における大きなデメリットは、屋根や地面、カーポートなどへの設置と比較して情報が少なく、対応業者も少ないという点です。
太陽光パネルの垂直設置は普及してないため、インターネットで調べても情報が少なく、体験談や初期費用の具体例などを確認しにくい側面もあります。(2022年3月時点)
さらに施工実績豊富な業者が少ないため、相談および導入しにくい状況です。
太陽光パネルの垂直設置を検討している方は、専門業者の選定はもちろん、見積もりの際に初期費用から施工の流れ、保証など全て確認しておくのも大切です。
太陽光パネルの垂直設置は設置スペースの少ない建物にもおすすめ!
太陽光発電における垂直設置は、住宅やビルなどの外壁へ太陽光パネルを設置されている方式を指しています。また、屋根や屋上などへの太陽光パネル設置と組み合わせることで、より大きな出力で自家消費や売電を行うことが可能です。
太陽光パネルの設置場所に悩んでいる方や住宅用太陽光発電の出力を増やしたい方は、今回の記事を参考に垂直設置を検討してみてはいかがでしょうか。
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