太陽光発電運用時はバイパス回路の開放故障に注意!原因や対策についても解説

太陽光発電運用時はバイパス回路の開放故障に注意!原因や対策についても解説

バイパス回路の開放故障は、目視で確認できない不具合なので注意すべき事象の1つです。また故障の状況によっては、焼損などにつながるおそれもあります。

そこで今回は、太陽光発電におけるバイパス回路の仕組みや開放故障の発生メカニズム、対処法について詳しくご紹介します。太陽光発電の不具合に関する事例を知っておきたい方や、太陽光発電事業を始めたばかりで管理方法についてよくわからない方などは、参考にしてみてください。

太陽光パネルの回路についておさらい!

バイパス回路を把握するには、太陽光パネルの回路を理解しておく必要があります。最初に、太陽光パネルの回路に関する基本を1つずつ確認していきましょう。

太陽電池を直列に接続したセルストリング

太陽光パネルには、太陽電池を直列に接続したセルストリングが組み込まれています。太陽電池は、光を電気へ変換させる素子を搭載した半導体です。1つ1つの太陽電池は出力が小さいため、複数組み合わせなければ大きな発電量を生み出すことができません。

そこで太陽光パネルには、セルストリング回路が複数接続されています。太陽光パネル1枚あたりの出力は70~250W程度で、200kWなら1日あたり約0.54kWhの発電量が見込めます。

セルストリング回路の不具合に備えたバイパス回路

バイパス回路は、太陽光パネルの保護回路としての役割を持っています。

太陽光パネル内の配線は、2種類で構成されています。1つは、セルストリング同士が直列に接続された配線、もう1つは、セルストリングの間にバイパス回路を接続させた逆電流防止および迂回路用の配線です。

セルストリングの一部に影がかかってしまうと、セルストリングの電流も遮断されてしまいます。つまり、太陽光パネル全体の発電量はゼロということです。

迂回路用のバイパス回路が搭載されていれば、発電が停止したセル以外の部分から流れてきた電流を、バイパスダイオード経由で送電し続けられます。また、部分的に発電量が低下しているセルには電流が流れないので、急激な抵抗値上昇による故障を防ぐことも可能です。

さらにバイパス回路があることによって、逆電流による故障リスクも抑えられています。

バイパス回路に含まれているバイパスダイオードという半導体素子は、アノード(A)からカソード(K)のみにしか電流が流れない構造です。つまり、逆方向に電流が流れない仕組みのため、突発的な逆電流を食い止めてくれます。

このようにバイパス回路は、太陽光パネルにおいて重要な回路なのです。

バイパス回路の開放故障とは?

バイパス回路は、太陽電池や太陽光パネル全体を保護したり、部分的な影などによる大幅な発電量低下を防いだりしてくれる太陽光発電に欠かせない回路です。

しかし、バイパス回路には開放故障という事象があり、太陽光発電事業を行う上で備えておくべきことでもあります。続いては、バイパス回路の開放故障に関する詳細についてわかりやすく紹介していきます。

バイパス回路が途絶えてしまう

セルストリングの間に接続されているバイパス回路およびバイパスダイオードが、何らかの原因によって壊れ、整流作用(電流の逆流防止)や迂回路としての役割を失った状態を開放故障と呼びます。

開放故障は、落雷や製造時の不良、経年劣化、発熱による劣化など、さまざまな原因で起こります。

なお、開放故障を目視や監視モニターで発見することは、極めて難しいといえます。そのため、O&Mによる定期的な電気点検を行ってもらう必要があります。

発電量の損失につながる

バイパス回路の開放故障は、発電量の大きな損失につながります。前半で解説したように、バイパス回路が機能していれば、一部のセルが発電できない状態であっても、バイパス回路を経由することで他のセルで発電した電力を利用できます。

しかし一部だけでもバイパス回路が開放故障していると、バイパス回路経由で送電できません。部分的な影が1つでも発生した場合、太陽光パネル全体の発電停止につながるということです。

火災事故に発展する可能性も

バイパス回路の開放故障を放置したまま稼働させてしまうと、セルストリング内の急激な抵抗値上昇によるセルの発熱、バックシートの焼損に発展してしまう危険性があります。

さらに太陽光パネル裏面に枯れ草などが触れていると、バックシートの焼損やセルの発電によって燃えてしまい、大規模な火災事故につながる可能性もあります。

バイパス回路の開放故障が疑われる場合は、即座に稼働を停止し、O&M業者に点検や修理の必要性などを確認してもらいましょう。

バイパス回路では短絡故障にも注意

バイパス回路に関するトラブルでは、開放故障だけでなく短絡故障についても覚えておくことをおすすめします。

バイパス回路における短絡故障とは、同回路内で一部のセルストリングとバイパス回路のみ電流を循環させてしまう不具合のことです。短絡故障している太陽光パネル全体の発電効率が低下してしまうだけでなく、故障している回路の発熱にもつながってしまいます。

回路を切断しない限り電流のループ状態を止められないため、火災事故に発展する可能性もあります。具体的には、バイパスダイオードの溶融、バイパスダイオードの搭載されている回路の熱変形といった故障を招くおそれがあります。

短絡故障を止めるためには、該当部分の遮光を行う必要があります。また、万が一故障してしまった場合は、太陽光パネルの交換や周辺部分の熱変形などを点検してもらうのが大切です。

バイパス回路をはじめとした点検修理はどう行う?

バイパス回路の開放故障や短絡故障による太陽光発電設備の修理、防止策、定期点検などは、有資格者かつ専門技術を持つ業者でなければ対処できません。

そのため、太陽光発電所のオーナーや従業員で対処しないように気を付けましょう。無資格者や有資格者であっても、技術や経験がなければ事故や状況の悪化につながります。

バイパス回路を含む修理点検に対応しているのは、主に太陽光発電のO&M業者です。O&M業者は、Operation(運用)とMaintenance(保守)サービスを専門とした事業者を指しています。たとえば、発電量の遠隔監視、障害発生時の復旧や原因究明、定期点検、敷地内の清掃業務などが代表的です。

バイパス回路の開放故障対策に重要なO&Mサービスの選び方

バイパス回路の開放故障や短絡故障といった、太陽光発電に関するさまざまな故障や不具合に対応しているO&M業者を選ぶ時は、サービス内容や点検方法、プランなどを総合的に比較検討するのが大切です。

最後は、O&Mサービスの選び方についてわかりやすく紹介していきます。

太陽光発電の保守点検に特化している

太陽光発電やメガソーラーのO&Mサービスを探す時は、太陽光発電の保守点検に関する資格を有していて、なおかつ専門サービスを展開しているかどうか確認しましょう。

O&M契約や事業は、保守点検や運用に関するサービスの総称です。そのため、太陽光発電事業に対応しているO&Mサービスを調べる時は、太陽光発電特化型O&Mサービスか確認する必要があります。

なお、弊社とくとくサービスは、産業用太陽光発電に関する運用・保守点検、復旧対応に特化した専門サービスです。ZOOMによる無料相談では、太陽光発電所のメンテナンスや災害発生後の対応方法など、運用や点検に関するさまざまな相談を行えます。

まずは保守点検やサービス内容に関する確認を行いたい方は、オンラインによる無償相談をお気軽にご利用ください。

あらゆる方法で太陽光パネルの点検を行ってくれるか

O&Mサービスを比較する時は、太陽光パネルを含め、各機器や部材をさまざまな方法で点検してもらえるのか確認しておきましょう。

メンテナンス内容は、O&Mサービスによって異なります。たとえば点検履歴を確認可能なサービス付きのO&M業者や、低圧もしくは高圧特化型のメンテナンスサービスなど、それぞれ強みや対応範囲に違いがあります。

そのためO&M業者を比較検討する時は、自社の設備規模に対応しているのか、バイパス回路を含めてどのようなメンテナンスやトラブルに対応したりしているのかを事前に把握し、自社に合っているかどうか判断するのが重要です。

さまざまなプランがあるか確認

O&Mサービスのプラン数が多いかどうか確認するのも、比較検討時に押さえておくべきポイントといえます。

たとえば、弊社とくとくサービスの場合は、コストを抑えながらメンテナンスサービスを受けられるシンプルプランをはじめ、除草メインのグラスプラン、スタンダード、各種サービスの充実したスーパーラティブを用意しています。

他にカスタムプランもあるので、設備状況やお客様の方針に合わせた保守点検・運用プランを作成できます。

このように、費用やサービス内容に合わせてプランを選択できるかは、コストパフォーマンスという点でも欠かせません。

バイパス回路の開放故障対策にはO&Mサービスの利用が大切!

太陽光パネルのバイパス回路は、電流の逆流と発電量の大幅な低下防止といった役割を持った回路です。太陽光パネルに部分的な影がかかった場合、バイパス回路を経由することで他のセルから発電された電気を活用できます。また、逆電流による故障を防ぐことも可能です。

バイパス回路の状態を正確に把握したい方や、他社では十分なメンテナンスサービスを受けられなかった方は、この機会にとくとくサービスを検討してみてはいかがでしょうか?

太陽光発電のO&Mサービス、とくとくサービスは、全国各地からの保守点検に関するご依頼に対応しています。

月額4,166円からの安価なプランを用意しているので、気軽にメンテナンスサービスを受けられます。また、初回のみ無料の点検サービスをはじめ、高圧を対象とした期間限定の無料ドローン点検サービスで、コストを抑えながらサービスをご体験いただくこともできます。

ご予算や重視したいポイントに合わせてプランをカスタマイズできるので、ぜひこの機会にご相談ください。無料のZOOM相談では、太陽光発電所のメンテナンスに関するさまざまなご質問にお答えしています。

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