太陽光発電システムのメンテナンスをお考えではないでしょうか。太陽光発電システムをメンテナンスする際は必ず有資格者に依頼することをおすすめいたします。今回は、太陽光発電システムのメンテナンスを有資格者に依頼すべき理由と費用相場やメンテナンス内容についてご紹介いたします。
なぜ、太陽光発電システムのメンテナンスには有資格者が必要なの?
ここでは太陽光発電システムのメンテナンスにはなぜ有資格者が必要なのかをご紹介いたします。
定期的なチェックで発電効率の低下を防ぐ
最も大きな理由は、「発電効率の低下を防ぐこと」です。太陽光発電システムに異常や不具合が生じると、その分発電量が低下してしまいます。
例えば、ソーラーパネルの表面についた汚れをそのままにしておくと、発電効率が年間で1~2%低下するといわれています。もちろん、放っておけばおくほど、発電効率は下がっていってしまいます。
近年では防汚加工が施されているパネルもあり、ある程度の汚れは雨で流れるようになっていますが、それでも全ての汚れを防止できるわけではありません。
また、落ち葉や糞が付着したまま放置することで発生する「ホットスポット」も大きな問題です。焼損の原因になるため、定期点検で対策する必要があります。
有資格者に定期的にメンテナンスしてもらうことは、発電するチャンスを最大限に活かすことでもあります。
特にパネルの清掃や定期的なメンテナンスは必須ともいえる事項なのです。
安全性を確保して事故を防ぐ
もう1つの理由は「安全性の確保」です。メンテナンスの不備は非常に危険な事故を招くおそれがあります。
ほとんどの太陽光発電システムはパネルや架台といった様々な部品で成り立っています。これらは正しく設置されることで強度が増し、通常強風が吹いても飛ばされることはありません。
しかし、経年劣化でボルトが緩んだり、固定が甘くなっている場合には危険です。設置主はもちろん、金鱗住宅や通行人に危害を加える可能性も出てきてしまいます。
定期的なメンテナンスで安全性を確保することにより、事故の予防にもつながります。メンテナンスは発電効率の低下やパネルの故障を防ぐだけではなく「暮らしを守る」第一歩になるといえるでしょう。
太陽光発電のメンテナンスに必要な資格一覧
太陽光発電のメンテナンスに必要な資格一覧は次の通りです。
太陽光発電メンテナンス技士
「太陽光発電メンテナンス技士」は、一般社団法人太陽光安全保安協会(JPMA)が試験を実施し、付与している資格です。
メンテナンスの基礎の他にも太陽光発電の基礎知識、メンテナンスの実践的な内容まで習得しています。
太陽光発電メンテナンス技士補
資格予備校のLEC(東京リーガルマインド)を指定教育機関として、太陽光発電メンテナンス技士と同じ協会が認定している資格です。
太陽光発電メンテナンス技士よりも比較的簡単に取得できる資格ですが、同じ資格ではありませんので注意が必要です。「技士補」の資格を取得後は「技士」にステップアップすることも可能な資格です。
PIA技術認定
太陽光発電検査協会(PIA)が講習や研修を行い、終了したものに技術認定を交付しています。このことを「PIA技術認定」と呼んでいます。PIAは太陽光発電システムの保守メンテナンスや点検業務に関する技術開発を行っていて、太陽光発電技術者の育成とスキルアップを目指して行われているものです。
特に研修は実践的なもので、サーモカメラの使い方やI-Vカーブと呼ばれる電流と電圧をグラフ化したデータの見方等が学べ、信頼のおける技術を持っている技術者であると判断できます。
PV施工技術者
太陽光発電協会(JPEA)が開設した「PV施工技術者制度運営センター(Jcot)」が運営を行う制度です。
一般住宅の太陽光発電システムの施工に必要な知識や技術の認定を行うことで、業界全体の施工水準の確保や向上を図る目的で設立されています。
太陽光発電メンテナンスに特化した認定制度ではありませんが、点検や維持管理についても習得している技術者です。
太陽光発電のメンテナンス内容と費用相場について
太陽光発電のメンテナンス内容と費用相場についてご紹介いたします。
メンテナンスの対象機器と内容
定期的なメンテナンスで、点検の対象となる機器は以下の7つです。
- ・パネル
- ・パワーコンディショナー
- ・接続箱、集電箱
- ・配線
- ・ブレーカー
- ・電力量計
- ・架台
具体的な点検としては、以下の方法で点検することが求められています。
- 【目視】
- 汚れ、サビ、破損、留め具やボルトの外れ等以上がないかどうか目で見てチェックします。
- 【測定】
- 電気の漏れや発熱がないか、メーカーが公表している通りの電気が流れているかといったことを数値でチェックし、計器に異常がないかを測定します。
メンテナンス費用の相場
定期メンテナンス費用の相場は、10kW未満の場合1回3万円程度が相場とされています。
(出典:https://www.solar-energy.site/column/running-cost/)
今までは2万円前後が相場だとされていましたが、人件費の高騰等により少し値段が上がったようです。点検やメンテナンスを希望される場合には、この費用を参考にするといいでしょう。
ただし、この価格はあくまでも相場価格で、パネルの設置枚数や屋根の角度によっても具体的な費用は異なります。余裕を持った見積もりをしておくと安心です。
さらに、不具合が見つかった場合の修理やパネルの洗浄等をする場合は追加の費用がかかってきます。
何を依頼するかによって最終的な費用が変わりますので、業者とよく打ち合わせをしながらメンテナンスを進めていきましょう。
太陽光発電のメンテナンス(点検)の頻度と時期の目安
太陽光発電のメンテナンス(点検)の頻度と時期についてご紹介いたします。
定期点検
最初の点検は1年後が目安です。これは初期不良の発見を目的とした点検となります。その後は、最低でも4年に1度は劣化や異常の有無を確認した方がいいでしょう。
特に重要なのは、メーカー保証が切れる直前の9年目、出力保証が切れる20年目以降の定期点検です。
消耗品や部品の交換を検討するためにも、必ず実施計画を立てておきましょう。
状況に応じた点検
海岸から200m~500m以内にある地域(重塩害地域)や積雪が多い地域、雷が多い地域は「設備にトラブルが起きやすい」と考えられる地域でもあります。こうした地域に住んでいる方は、業者と相談しながらこまめに点検することをお勧めします。
災害後等の点検
落雷や台風、豪雨、地震といった悪天候、災害で普段とは違う状況になった後も、点検で異常が起きていないかどうか確認しておきましょう。
強風や飛来物による損傷や、ネジの緩みが起きている可能性もあります。点検を怠ったことが原因で事故が起きた際には設置者の責任となるため、周囲の状況に合わせた保守点検は必須となります。
太陽光発電の自力メンテナンスは危険&デメリットだらけ?!
太陽光発電の自力メンテナンスの危険性やデメリットについてご紹介いたします。
屋根から落下する事故が急増中
近年、自力メンテナンスでの「事故」が増えています。特にパネルの汚れや破損のチェックのために屋根に上り、足を滑らせて落下…という取り返しのつかない事故が急増しているのです。
知識や経験のない素人がメンテナンスをするには、リスクが高すぎます。怪我をして治療を行うお金と時間を考えると、プロに頼んでおいた方が安心だと感じる方も多いのではないでしょうか。
パネルは「水道水」では掃除できない
パネルの洗浄に「水道水」をそのまま使うのは厳禁です。水垢やカルキの成分がパネルに悪影響を与える可能性があります。さらに、水道水で濡らした雑巾等を使ってパネルを拭いたり、擦ったりするのもパネルの表面に傷をつけます。
太陽光パネルは非常に繊細なものです。だからこそ、プロによる清掃やメンテナンスが不可欠なのだと覚えておいて下さい。
まとめ:信頼できる有資格者に依頼することで、効率的な運用が期待できます!
太陽光発電のメンテナンスを行うにあたり「有資格者に依頼するのが一番良い」ということがご理解いただけたかと思います。最後に有資格者にメンテナンスを依頼するにあたって、選ぶ基準となる3つの大切なポイントを記載しておきます。
- 1.技術
- 2.知識
- 3.経験
この3つが必要です。太陽光発電システムの保守管理のために必要な資格があっても、これらが不足しているようでは十分なメンテナンスは行えません。
また、メンテナンスと設置工事は別であるということも理解しておく必要があります。設置は「電気工事士」と呼ばれる資格が必要です。あくまでも、メンテナンスをする際に、ご紹介した有資格者に依頼するのが安心かつ安全だということです。
メンテナンスは、素人が行うのではなく資格を持ち経験がある業者に依頼することが、長い期間にわたって太陽光発電を良好に保つための秘訣ということになります。