こんにちは、石橋です。
いよいよ開幕が近づいてきた大阪関西万博、大阪に本社を構える企業の代表として、そして環境エネルギー企業の代表として、注目ポイントを語ってみたいと思います。
今回私が注目しているのは、日本国内では最大規模となるペロブスカイト太陽電池による発電施設です。ペロブスカイト太陽電池については私のブログで過去に言及しているのでそちらも併せてお読みいただければと思います。
【リンク】夢のエネルギー自給が実現?ペロブスカイト太陽電池への期待 前編
【リンク】夢のエネルギー自給が実現?ペロブスカイト太陽電池への期待 後編
ここでも述べているように、ペロブスカイト太陽電池の最大の特徴は「曲げられる」ことです。それともうひとつ、とても薄くて軽いことです。実物を見ると、薄膜のフィルムのようなイメージです。まだまだ実用化には課題が多いと述べてきましたが、2025年の大阪関西万博では本格的な実用化プロジェクトが始動します。そのプロジェクトを仕掛けるのは、積水化学工業です。大阪に本社を構える在阪企業が大阪での万博で画期的なプロジェクトを仕掛けてくるのは面白いと思います。
万博の会場には、来場客の輸送拠点となる巨大なバスターミナルが設置されます。バスターミナルの上には雨よけ、日よけの屋根が設置されるのですが、この屋根が巨大なペロブスカイト太陽光発電所になります。2025年2月時点でほぼ完成しているとのことで、報道陣にもお披露目されています。こちらは、積水化学工業のホームページに掲載されている完成イメージです。

引用元:2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)への協賛およびフィルム型ペロブスカイト太陽電池の設置について(積水化学工業)
権利の関係もあるので掲載はしませんが、報道されているバスターミナルはおおむねこの完成イメージと同じです。この完成イメージを見ても、屋根が曲線になっているのが分かりますね。この曲がっていることが大きなポイントです。
この太陽光発電所では、バス停のLED照明で使用する電力をまかなうとのことです。悪天候で発電ができない日があったとしても、同時に設置する蓄電池で14日間は照明を稼働させられるそうです。14日も連続で悪天候ということは考えにくいので、実質的にバス停の照明はすべてこの曲がる太陽電池がまかないます。なかなかの実力派です。
そもそも万博というのは、国内外に国や企業などが自慢できるものを披露しあう世界的イベントです。〇〇国パビリオンというように国単位のパビリオンに注目が集まりがちですが、企業にとっても自社の技術力を世界にアピールする貴重な機会です。積水化学工業にとって、これだけ巨大なペロブスカイト太陽電池を設置した発電所を世界からの来場者に見てもらって、それが政府機関や企業の担当者の目に留まって受注につなげたいという思惑があります。環境技術は日本の得意分野でもあるので、積水化学工業のチャレンジがより多くの実を結んでほしいなと思います。
ちなみに万博の太陽光発電については積水化学工業のペロブスカイト太陽電池が最も注目を集めていますが、パナソニックもかなり本気のプロジェクトを仕掛けています。パナソニックの得意分野は、ガラス型の太陽光パネルです。窓ガラスと一体化しているため、通常の窓を設置するのと同じ感覚で太陽光パネルの設置ができます。これまでは屋根が主体だった太陽光パネルの設置場所が窓にも広がれば、その可能性は無限大です。
パナソニックも、大阪の企業です。積水化学工業ともども、大阪の一流企業が自慢の太陽光発電技術で世界に飛躍するのを応援していきたいですね。