蓄電ビジネスに投資家の視線がますます過熱、この先を展望してみる

石橋大右

2026.6.23 太陽光発電ビジネス

蓄電ビジネスに投資家の視線がますます過熱、この先を展望してみる

こんにちは、石橋です。
社会に新しいビジネスが登場すると、そのビジネスに対する投資が過熱します。
これまでにもそうして市民権を獲得してきた新しいビジネスや製品は数えきれないほどありますが、金融市場が成熟している今では、新しいビジネスに対する投資家の過熱ぶりが以前と比べ物になりません。

そんな今どきの投資家たちが注目しているのが、第一にAIです。市場ではAIバブルという言葉まで囁かれていますが、それに関連してAIデータセンターや電力関連の投資も過熱していますね。
さて、そんなAI関連で注目されている分野のひとつに、弊社も取り組んでいる蓄電池ビジネスがあります。元々は家庭用など小規模な蓄電池が主力だったのですが、今では電力網に接続してインフラとして利用される系統用蓄電池が主力になっています。
大手シンクタンクの矢野経済研究所が先日発表したレポートによると、2024年には450億円だった市場規模が2030年には4,240億円にまで成長する見通しです。なんと、ほぼ10倍。株式投資の世界では株価が10倍に成長する銘柄のことを「テンバガー」といって夢の対象と見なされていますが、系統用蓄電池は市場規模そのものがテンバガーという凄まじさです。グラフで見ても、その急成長ぶりが分かりやすいですね。

市場は何でも知っている、というのは私の持論です。
私は常々、市場で起きていることが最も説得力があって、それ以外のアナリストのコメントやどこの誰かも分からないSNSの投稿などは雑音もしくは落書きレベルのものだと思っています。理由は簡単で、市場で投資家が行っている行動には、お金を動かす行動が伴っているからです。自分のお金を動かしている投資家はもちろん、預かったお金を動かしている人にとっても、虎の子のお金は何よりも大切です。そんな大切なお金を投じて社会や経済の未来を見通しているのですから、説得力があります。
自分のお金を動かしているわけでもない人の意見や主張は所詮、思い付きで言っていることであったり、責任を伴っていない落書きでしかありません。
そんな投資家が今、AI需要を見越して蓄電池ビジネスへの投資を加速させているのです。これはもう、本物と見て良いでしょう。

系統用蓄電池が普及している背景には、再生可能エネルギーの市場拡大があります。主に太陽光や風力で、これらの電源による電力が拡大すればするほど、電力供給を安定化させるためにバッファーとしての蓄電池が重要になります。
しかも現在はAIデータセンターの需要が急速に拡大していて、それに応えるためのインフラ整備が世界中で進んでいます。しかもAIデータセンターの誘致はその国の将来が掛かっている側面があるため、世界各国でデータセンターの誘致合戦が繰り広げられているのはすでに当コラムでお話をした通りです。

この蓄電ビジネスの隆盛には、3つのフェイズがあると考えています。
最初は、第1段階として補助金を活用した普及が進み、各地で系統用蓄電池の設置ラッシュが起きます。将来性が豊かであることに加えて補助金ブーストがかかっていますし、あと過熱気味の期待感もあるでしょう。「乗り遅れたくない」との思惑も働き、第1段階ではさまざまな業種が参入をして系統用蓄電池の市場規模は急拡大します。
これは今まさに起きていることで、この動きは2027年頃まで続くのではないかと見ています。実際に市場の動きを見ると、蓄電池関連の銘柄で株価上昇が起きており、多くの投資家が材料視していることが分かります。最も、昨今の日本株は日経平均株価が7万円を超えるほどの盛り上がりを見せているため、蓄電池関連だから値上がりしているのか、AI関連として値上がりしているのかは評価しにくいのですが。
第2段階は2027年から2030年頃が該当します。この頃には蓄電池ビジネスの参入が一段落して、ここからは事業の質が問われるようになります。系統用蓄電池の業界にはアグリゲーターといって、運用の最適化を担う事業者があります。系統用蓄電池を設置しただけだと運用できるわけではなく、実際にはアグリゲーターによる運用の質が収益性を大きく左右します。
アグリゲーターは24時間365日運用できる環境を維持するだけでなく、市場の監視や取引などにもノウハウを有しているため、今後蓄電池ビジネスが拡大するのに合わせて重要性がどんどん増していくでしょう。運用力や収益力で蓄電池ビジネスの事業者間で格差も生まれるでしょうから、ある程度の淘汰もあると思います。
そして2030年以降は、蓄電池ビジネスの第3段階です。いよいよ完成の域に達し、M&Aや業界の再編も起きるでしょう。そこで生き残った大手が優位になる可能性も高いですが、このビジネスは独自性を打ち出しやすい側面があるため、ユニークなビジネスモデルや強みを有している事業者は生き残っていくかもしれません。

環境ビジネスや電力ビジネスの最前線にいる者として蓄電池ビジネスの現状や今後について語ってみたわけですが、私が見通している未来になる可能性は極めて高いと思います。多くの投資家がその未来を見通して投資行動を取っているのですから、市場全体も同じことを考えているのでしょう。
投資家目線で蓄電池ビジネスを考えている方にとっては、まだまだ将来性豊かなセクターだと言って良いと思います。

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