こんにちは、石橋です。
最近はAIの周辺が騒がしいですね。
投資界隈ではAI関連銘柄が株高を牽引していますし、「〇〇会社がAIに投資」というニュースが流れるだけで、その会社の株価が急騰するご時世です。
その一方で、巨人の阿部前監督の「暴行」事件では長女がChatGPTに答えを求めて、その回答通りに行動したら逮捕騒ぎに発展した…というニュースもありました。
良くも悪くも、AIが社会にどんどん浸透しているのが分かるニュースばかりです。

さて、今回はそんなAIを巡る覇権争いのお話です。
AIの覇権争いというと、アメリカと中国の競争を思い浮かべます。確かに、これも両国が存亡をかけていると言っても良いほど、重大な競争です。しかしこれはAIの開発競争です。AIを制する国が次の時代を制するという共通認識で競争を繰り広げているわけですが、今回お話をするのは、そのAIを稼働させるインフラの争奪戦についてです。
最近、「〇〇会社が●●国にデータセンター開発を検討」みたいなニュースが流れることが多くなりました。AIも所詮はコンピューター上で動くソフトウェアなので、そのソフトウェアを走らせる機材が必要になります。それを巨大化してネットに接続したものがAIデータセンターだと考えると分かりやすいと思います。
データデンター自体は、ずいぶん昔からあります。私たちが日々目にしているWebサイトや動画サイト、SNSなどもすべて、データセンターにあるサーバー機に保存されているデータを閲覧しています。
こうしたサービスがどんどん進化・巨大化するのにつれて、データセンターの需要も急拡大しています。そこにきて、AIです。
AIはこれまでのネットサービスとは比べ物にならないほどのリソース(資源)を必要とします。複雑な計算をするため高速処理ができるGPUが大量に必要で、それを動かすための莫大な電力、そしてサーバー機を設置する場所、大容量のネット回線などなど、AIデータセンターはこうしたリソースが揃っていないと稼働させられません。
しかも、データセンターの中でもAIデータセンターは莫大な計算処理をする関係上、相応の熱を排出します。この熱も適切に処理する必要があるため、これまでのデータセンターとは次元の違う設備が必要になるわけです。
しかしこれは、逆に考えると巨大なビジネスチャンスです。
莫大な電力を購入してくれる消費家であり、雇用も生みます。データセンターを設置するための投資も莫大な金額になるため、世界各国では自国にAIデータセンターを誘致しようとする動きが起きています。これが、AIデータセンターの争奪戦です。
AIデータセンターは24時間常に稼働するため、最も求められるのは電力供給やネット回線、熱処理などの安定性です。常に一定の品質が保たれていることが必須なので、頻繁に停電が起きるような国は論外です。
また、AIは最先端の半導体が大量に必要です。メンテナンスも含めてこうした半導体が安定的に確保できることも重要です。
さらに、最近ではAIが「電気食い」であることに懸念を抱き、地球環境に配慮したデータセンターであることも重視されるようになりました。とりわけ世界的なビックテックであるグーグルやアマゾンといった企業は電力の質にもこだわっており、太陽光や風力、水力など再生可能エネルギーを積極的に利用する意向を持っています。電力が足りないからといって火力発電所を増設しても、簡単に誘致できるわけではありません。
AI企業が集中していて技術的に最先端を行くアメリカには電力不足や電力の質的問題があり、中国には先端半導体の安定的な獲得に課題があり、原子力発電で豊富な電力があるフランスには人材・技術不足の課題があります。
石油資源が豊富で資金も潤沢な中東産油国は暑い国ばかりで熱排出に課題がある・・・といったように、AIデータセンターの争奪戦を繰り広げる各国には何か課題があり、決定的に覇権を握る国が今のところありません。
それでは、我が国・日本はどうでしょうか。
先端半導体の確保や電力の安定供給、地域によっては熱排出もしやすい、通信品質も安定している、治安も悪くない・・・などなど、AIデータセンターの誘致に有利な条件が多く揃っています。
ただ、ひとつだけネックがあります。それは、電気代の高さです。自国に資源がなく輸入に頼っている関係上、原油やLNG、核燃料などの価格高騰の影響を受けやすいのはデータセンターを設置するのにおいてコストが安定しません。
この問題を解決するのが、日本が誇る再生可能エネルギーの技術力や既存インフラです。日本は古くから太陽光発電で世界に先行しており、世界トップではないものの順調に発電量を拡大してきました。そして今では系統用蓄電池の活用によって再生可能エネルギーの供給安定性が高まっています。ESGなど電力の質にこだわる企業のニーズにも合致しているので、日本はAIデータセンター誘致においてかなり有利な位置にあると思っています。
実際にさくらインターネットやNTT、ソフトバンクなどが国内データセンターの開発を進めており、日本の強みをいかしたサービスを提供しています。
外資系企業も日本に積極的にAIデータセンター投資を進めており、最も積極的なマイクロソフトをはじめアマゾンのAWS、グーグル、オラクルなどが巨額の投資を展開しています。
こうした動きは、世界の名だたる企業が日本をAIデータセンターの好適地だと認識している証拠で、これらのデータセンターの品質が認められるようになると、さらなる投資が拡大する余地があります。
株をやっている方であれば国内のデータセンター関連企業に投資妙味があるでしょうし、日本経済全体にプラスの効果をもたらしてくれることは間違いないので、AIデータセンターで世界に打って出るニッポンを応援したいと思います。