こんにちは、石橋です。
今回は何かと話題に上ることが多くなったAIについての興味深い話を紹介したいと思います。
AI=人工知能は、今や人間の能力を上回るのではないかと言われる存在です。
AIが人間を超えることを「シンギュラリティ」といいますが、シンギュラリティはすでに部分的には達成されています。今後その分野が広がっていくことで、私たちの社会は大きく変わると言われています。自動運転やRPA(事務作業の自動化)などが実現すれば、ドライバー職や事務職の人たちが不要になる、なんて言われていますね。これもシンギュラリティによる影響のひとつです。
こうしたネガティブな警戒論(?)がある一方で、AIには大きな期待が寄せられています。私は個人的にAIにとても期待している一人なので、これからもAIが変えていく未来にワクワクしています。
環境ビジネスで仕事をしている者として特に興味深いのが、「AI+環境ビジネス」の新しい展開です。すでに電力会社や電力の供給網を管理するシステムにAIの導入が進んでいて、それがさらに加速する流れになっています。
そんな時代の今なら起きにくいことが、以前は起きていました。その典型的な例が、東日本大震災の時に起きた福島第一原発事故による計画停電です。「原発事故で供給力が大幅に落ちたのだから、優先順位を決めて計画的に停電をしたのはやむを得ない」と思っている人は多いと思いますが、これ本当だと思いますか?
実は、この戦略は間違っていました。計画停電をしなくても十分電力の需要に耐えられるだけの供給力が残っていたので、計画停電は不要でした。むしろ計画停電による経済的な損失のほうが大きいという結果に終わってしまいました。この計画停電や日本全国に広がった節電ムードについては感情的に受け止めた人が多かったため、あれが正しかったのかどうかを検証した結果に対して社会はあまり関心を示しませんでした。この時にAIによる高い精度の需要予測機能があれば、AIが瞬時に膨大なシミュレーションをして計画停電を最小限に抑えるための戦略を立てていたはずです。そして、結果として計画停電は不要だったのですから、当時AIがあれば正しい需要予測をして計画停電なしで乗り切ったことでしょう。計画停電によって不便を余儀なくされた人たちがこのことを聞いたら、きっと面白くないでしょう。
もうひとつ面白いのが、AIによる太陽光発電の性能向上です。これもあまり知られていませんが、今の太陽光パネルはまだまだ発電効率が低く、発展の途上にあります。これだけあちこちで太陽光パネルを見かけることが多くなった昨今、あとはこれがどんどん広がっていくと思われがちですが、今の太陽光パネルは発電効率が高いものであっても20%少々です。これが25%、30%と高くなっていけばすごいことになるのでは?と思いますよね。それが実際に研究されています。そして、その研究の最前線にいるのがAIです。
太陽光パネルの発電効率は、素材で決まります。どんな素材を組み合わせれば発電効率が高くなるかをメーカーが本気で研究しているわけですが、今やその試行錯誤をAIが行っている研究施設があります。AIだと膨大な組み合わせを超高速でシミュレーションできるため、今よりも発電効率の高い組み合わせを見つけられる可能性が飛躍的に高くなります。太陽光パネルメーカー間の発電効率競争は、新たな領域に入っているわけです。今後、AIが導き出した素材によって考えられないような発電効率の太陽光パネルが登場したら、今の半分の面積で同じだけの発電が可能になるといった未来も考えられます。逆に同じパネル面積で倍の発電が可能になるという未来もあり得ます。
今回はAIと環境ビジネスの最前線について2つのお話をしました。いかがですか?AIがもたらす未来にワクワクしませんか?