こんにちは、石橋です。
先週発表された、トランプ大統領による全世界への相互関税。このショックがあまりにも強烈で、世界各国はさまざまな反応をしました。マーケットも激しく反応し、株や為替の世界では「トランプショック」と呼ばれる暴落も起きました。

何せ全世界が対象なのですから、このショックと無縁の人は地球上に誰もいません。すべての人や企業、国までもがこれにどう対応するのかが試されています。もちろん私が代表を務める和上ホールディングスも、例外ではないでしょう。製品を直接アメリカに輸出することはないと思いますが、世界に保護主義的な動きが起きればビジネスに影響が及んでくるかもしれません。
また、トランプ政権が背を向けている環境ビジネスの熱量が下がってくるようなことがあれば、せっかく盛り上がりを見せてきている環境ビジネスの業界に水を差すようなことが起きるかもしれません。つまり、私の会社も試されているわけです。
国レベルで見ると、この相互関税に反発する国、受け入れる国、様子を見る国などさまざまです。最もこの標的とされている中国は当然反発、アメリカからの輸入品に同等の34%の関税をかけると発表しました。ヨーロッパ諸国やカナダにも同様の動きが起きているので、アメリカの同盟国といえども敵対心をむき出しにしている国も見られます。
ひるがえって、わが日本はどうでしょうか。「状況を注視する」…いつものお決まりのフレーズですが、注視するだけでおそらく何もしないでしょう。週明けに電話会談を申し込むと言っていますが、果たして相手をしてくれるかどうか。相手をしてくれたとしても、おそらく決定が覆ることはないでしょう。つまり、日本は「受け入れる」か「様子見」です。
企業レベルでも、早くも色々な動きがありました。イギリスの自動車メーカーであるジャガー・ランドローバーは、同社の製品を当面アメリカに輸出するのを停止しました。自社製品に高い関税がかけられるので、その環境が今後どうなるか分からない時に輸出などできないというわけです。その他にも、アメリカに限界を感じて工場を閉鎖したり、撤退する外資系の企業も現れ始めました。今後は高い関税のせいでアメリカ国民が高いものを買わされることになります。アメリカはほとんどの物品を輸入に依存しており、実は世界的な輸入大国です。そのため、貿易赤字は何度も過去最高を更新してきています。たしか、2024年も過去最大の貿易赤字だったように思います。そんな国が世界中に高い関税をかけたのですから、自国内で流通する商品すべてがトランプ関税の分だけ値上がりします。アメリカの国内で流通している中国製品や日本製品は相当な規模になると思いますが、それらが一斉に34%、24%と値上がりするのですから、たまったものではないでしょう。そうです、このトランプ関税では、アメリカ国民も試されているのです。
関税政策を発表した直後から、アメリカの国内では大規模な反トランプデモが起きているそうです。アメリカではデモが暴徒化しやすく、選挙期間中に銃撃されたこともあるだけにい、トランプ大統領の身の安全まで心配になってしまいます。時間が経つと株やドルの暴落で国内からの突き上げがあるでしょうし、消費者からの突き上げもあるでしょう。アメリカは大統領任期の半分を過ぎる頃に中間選挙があるので、それで共和党が惨敗するようなことになれば、今度はトランプ大統領自身が試されることにもなるでしょう。あの性格の持ち主なので別の人や外国に責任転嫁をするかもしれませんが、それをやってしまったら、その時にどれだけの人が支持するかなとも思います。
まずは世界各国の首脳陣が試され、次にマーケットの大混乱によって投資家が試されることとなりました。今は直接の関係がなくても、このブログをお読みになっているあなたにも試される時があると考えます。
さすがに天変地異とまでは言いませんが、巨大隕石の衝突が近づいている時のように、全世界の人が試されているこの局面で、自分はどう動くのが良いのか、この展開をどう捉えるのか。「自分には関係ない」と言えない時が来た今、自分が試されているという意識をもって今後のことを少しでも考えるタイミングではないでしょうか。
「たかがアメリカの関税政策」というなかれ、重要なのはその姿勢です。トランプ大統領は自国、ひいて言えば自分自身が優位に立つためであれば何でもするというメッセージを世界に発信し続けています。他力本願ではなく、自分がどう考えるのか、どう行動するのかを、国レベルだけではなく企業や個人も考えるいい機会だと思うのです。