2030年には電力需要が4割増?生成AIが電力を食いつぶす時代に向けて

石橋大右

2026.4.14 エネルギー問題

2030年には電力需要が4割増?生成AIが電力を食いつぶす時代に向けて

こんにちは、石橋です。
今回は、生成AIの電力消費に関するお話です。
エネルギー問題、電力問題に関する専門家として、近未来に向けた警鐘を鳴らしてみたいと思います。

近年、AIの成長が目覚ましく、一般の人が手軽に使える時代となりました。
ChatGPTやClaude、GeminiといったAIは生成AIとも呼ばれ、人間の仕事を一部代替できるようになり、わたしたちの生活や仕事のあり方を一変させました。

2025年は生成AI元年と呼べる年だったこともあって、全世界的なブームの様相を呈しました。AIを話し相手や相談相手にしたり、仕事に活用したりと、使い方はさまざまですが、人類が初めて本格的にAIと対話し、社会に浸透した年だったように思います。2026年も引き続きAIの進化は続いていますが、一方でブームのような動きは過熱感が収まった感もあります。ちょっとした揺り戻しのような動きもあって、「何でもかんでもAI」だと仕事がうまくいかないという声も聞かれます。デザインや文章作成にも生成AIは活躍しますが、あまり使いすぎると差別化が難しくなったり、それを届ける相手に「いかにもAI」であることが伝わると、宣伝や広告において逆効果になるとの評価も聞かれるようになりました。
このように良くも悪くもこれからは生成AIが存在することが前提の社会が展開していくわけですが、この裏で進行している全地球的な危機があります。それは、AIの電力消費問題です。

AIはデータセンターといって、サーバーマシンが大量に設置されている施設で稼働しています。パソコンとは比べ物にならないほど大容量で高速のコンピューターです。この大量のコンピューターが同時に稼働するため、膨大な電力を消費します。
生成AIは現在データセンターで稼働しているさまざまなサービスの中でもトップクラスの電力食いで、一般的なサーバーマシンと比べると数十倍の電力消費量になることもあるそうです。
これだけ莫大な電力消費が上乗せされるため、当然発電能力を増強する必要があります。東日本大震災が起きた時には原発事故があったせいで全国各地の原発が稼働停止となり、電力の需給がひっ迫したことがありました。それを乗り切るために計画停電が実施されたのも記憶に新しいところです。
これ以外にも、猛暑の夏にはエアコンの稼働が多くなるため電力の需給がひっ迫し、節電が呼びかけられたこともありましたね。
こうした事実を見る限り、今の日本の電力供給にはそれほど余裕がなく、ひとたび需給のバランスが崩れるようなことがあるとひっ迫しやすいんです。

そんな状況で、社会全体の電力消費量が4割も増えたらどうなるか?もう説明不要ですよね。生成AIのサービスを提供するために節電要請が出たり、下手をすると計画停電が実施されたりといった最悪のケースもあり得るのです。
もちろん、こうした需要の高まりはすでに予測されていることなので、国や企業も黙って見ているわけではありません。高まる電力需要に応えるために原発の再稼働をしたり、太陽光発電による発電量を増やしたりといった、供給力の増強を行っています。しかし、これらがすべてうまくいったとしても、盤石ではありません。
生成AIをはじめとするデータセンターの需要は加速度的に増しており、現在の予測を上回るような電力需要が発生する可能性は大いにあります。

しかも、2026年は原油高という問題までプラスされます。エネルギー価格がどんどん上がる一方で電力需要も高まっていく…私たちは今、こんな「無理ゲー」を目の当りにしています。
電源コンセントに差し込めばいつでも手軽に電力を使うことができて、停電などするはずがないという生活に慣れている私たちは、いつでも電力があることを当たり前だと思ってしまっています。しかし、現場ではそれが当たり前ではなく、今後さらにその状況は厳しくなっていくでしょう。
世界はすでにそのことを認識していて、特に生成AIで先行しているアメリカや中国では電力需要の高まりにさまざまな手を打っています。先日、アメリカによる関税の引き下げの見返りに日本から投資をする案件のひとつとして発電所への投資が含まれていましたが、こうした動きもアメリカが電力需要の高まりを認識しているからです。
電力を安定供給できなければ、AIをめぐる国際競争に勝てなくなるだけでなく、ますます重要性が高まるデータセンタービジネスでも世界に後れを取る恐れもあります。
単なるエネルギー問題、環境問題だけでなく、日本の国際競争力に直結するとても重要な問題です。

私は再生可能エネルギーや系統用蓄電池といった事業で、電力の供給力増強や需給の調整といった事業で、こうした問題の解決に貢献したいと考えています。
もちろんそれだけで問題が解決できるわけではありませんが、「電力を増やす」「電力を安定供給する」という事業を通じて、再生可能エネルギーのさらなる普及とエネルギー問題の解決を両立できる担い手であり続けることが、私にできる社会貢献の形であると確信して、これからも電力事業に取り組んでまいります。

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