地震、台風など2011年はまさに災害の年の感がありますが、3月11日の東日本大震災はまさに災害の極みと言えるでしょう。
しかし、誰のせいとは言いませんが復旧・復興のスピードは遅い感じがします。
そして、この大災害での日本の民間企業の動きには注目すべきものがあります。
その一つが、7月に三井物産が発表した被災地域で初めてのメガソーラー建設計画です。
新聞報道などによりますと、三井物産は宮城、岩手、福島県などにメガソーラーを建設する方針を固めたそうです。
この目的は、被災地の電力不足を解消して復興をサポートするとともに、新しく雇用の場を提供するもので、2011年度中に着工するとのこと。
大体メガソーラーの建設期間は1年ですから、2012年度中には完成するでしょう。
このメガソーラーの規模は合わせて10万キロワットとのことで、この電力で3万世帯をカバーしようというものですが、風力発電装置の併設も計画に入っているとのことです。
ところで、このメガソーラー建設計画が明らかになったのは7月6日です。
そして、すでに候補地の自治体や東北電力との協議が進んでいるとのことですが、この10月に入っても、その伸展具合が見えていないのは気がかりです。
そして、三井物産は10月21日にグループ企業や中部電力と共同で愛知県田原市に5万キロワットクラスのメガソーラーの建設計画を発表しました。
このように商社である三井物産が太陽光発電に前向きな事業を展開しようと言う姿勢が明らかになりましたが、実はこれは今に始まったことではありません。
三井物産の4つの事業分野のトップは資源・エネルギー関連で、すでにスペインなどで太陽光発電の分野では実績をあげています。
しかし、意外と地味で知られていないのが商社の事業活動ではないでしょうか。
太陽光発電と言うと、今までは一般家庭向けや公共施設向けの利用が目玉になっていましたから、無理もないとは思いますが、時代は大きく変化し、前進しているのです。
そして、不思議でならないのが、民間企業がこのようにメガソーラー事業に積極的に参入しているのに、何故国が太陽光発電に目を向けないのかということです。
電気は主要インフラの中でも最重要な位置にあります。
電車も新幹線も電気が無いと運行できませんし空港もしかりで、こうなると、電気は公共事業的な色合いが極めて濃くなります。
それならば、国の公共事業としてメガソーラー建設の予算があっても良いことになります。
ところが、国の公共事業予算は大きく分けると道路、橋梁、河川、港湾、空港などの分野にあるようです。
もちろん、道路その他のこれらの分野は必須のインフラですが、これでは電気事業が入り込む場所が無いのも事実です。
どうでしょうか、国の公共事業に電気の分野を組み込むのはおかしいでしょうか?
せめて、半官半民的な予算配分でもなんとかならないのでしょうか。
例えば全国の国有地を積極的に提供してメガソーラーの建設をしてもいいのです。
国有地の総面積には自然環境保護地域や公園なども含まれていますから、国有地のどこにでもメガソーラーを建設するような訳にはいきませんが、建設に適している場所はいくらでもあるでしょう。
ここで誤解のないようにしたいのは、電気を国有化するのではないことです。
旧国鉄のような電源公社はまっぴら御免です。
三井物産をダシにしたようになるかも知れませんが、言いたいのは国の予算で民間をサポートすることで、長期的視野に立った日本の電力の安定供給を図って欲しいのです。
そうです。民間の企業がメガソーラーの分野に乗り出すのは部分的にはボランティアの気持ちがあるのですが、企業である限りそれによる利益の確保も目的です。
しかし、今のままでは利益が上がらず採算ベースに乗らないと、このようなメガソーラー事業は拡大するどころかしぼんでしまうのは明らかです。
そうならないためにも、国はもっと真摯に電力事業を見直して、メガソーラーで民間企業をサポートする方策をとるべきではないかと考えます