朝が忙しかったので朝刊を読むのが夜になり、大好きなビールを飲みながら第一面を見ました。
大きな見出しで「福島 中間貯蔵30年」とあります。
その前の朝刊の見出しも「福島 廃炉に30年超」でしたから、2日続けて福島原発関連の記事が第1面に大きく報じられたのです。
3月11日からすでに半年以上経ちますが、ウランの放射能汚染関連の記事が大きく報じられるのは、いかに放射能汚染が私たちに怖いものかを改めて認識させられました。
これでは好きなビールも捗りません。
そこでじっくりとこの30年について読んでみましたが、まず「福島 廃炉に30年超」は福島原発の1号機から4号機の廃炉作業は30年以上かかり、完了は2041年以降になるとのことです。
その手順は2021年まで原子炉に水を注入し続けて、それから燃料の取り出しを始めるので、つまり10年も原子炉を水で冷却するのです。
いかに燃料棒の温度が下がりにくいものか。これは驚きです。
そして、1979年のアメリカ、スリーマイル島原発事故の廃炉作業では燃料の取り出し終了までに10年以上もかかり、現在でも作業が続いているそうです。
因みにスリーマイル島の廃炉費用は約1400億円とのことですが、これを参考にして福島の廃炉費用を算出すると約1兆500億円以上になるであろうと言う試算があるそうです。
何ともはや法外な費用がかかるのには2度びっくりです。
原発を建設する費用の何倍もの費用が廃炉にはかかるのですから、たまったものではありません。
しかも、新聞記事は、放射能被ばくを避けながら廃炉作業をしなければならないので、燃料の取り出しが大幅に遅れる可能性があるとまで述べているのです。
これではまさに30年超の「超」が何年になるのか想像がつきませんし、例えそれが完了しても廃炉跡には高濃度の放射能が残ることでしょう。
次の日の新聞の見出し「福島 中間貯蔵30年」ですが、これは原発汚染土や焼却灰を補完する中間貯蔵施設についてです。
読んでいてまた驚いたのは国が発表した工程表によりますと、3年後から搬出、とあります。
つまり、今から3年間は現状のままと言うことでしょう。
それも中間貯蔵施設に30年間汚染土などを保管してから、最終的に処分すると言うのですから、これも驚きです。
しかも、中間貯蔵施設をどの場所にするかも検討中のようですし、最終処分施設の場所はなおさら不透明です。
中間貯蔵施設がどこになるかはともかく、貯蔵方法は敷地内に沢山の箱状の穴を掘る「セル方式」で、高濃度の場合は鉄筋コンクリートで区画の周りを囲み、低濃度のものは洒水シートで区画を覆うそうです。
そして、貯蔵されるであろう汚染土などの量は約140万から1300万立方メートルと言う、これまた驚きの数字になるそうです。
ここまでで、何回びっくりして、何回驚いたでしょうか。そうです、新聞記事を読めば読むほどに驚きの連続です。
何と原発事故は恐ろしいのでしょうか。
これでは原発廃止の声が高いのも無理からぬことでしょう。
しかし、翻って我が身の周りを見ますと電気がなくては不便この上もない生活や社会構造ですから、そう簡単に原発廃止とも言えません。
ですが、このように廃炉や汚染土の処理に30年以上もかかり、なおかつセシウムなどの危険が残るのですから暗然としてしまいます。
こうなったら、現在日本にある原発が今後いかなる地震や津波でも事故を起こさないように想定外の想定をして万全よりも億全、兆全の安全策を取らなくてはならないでしょう。
しかし、それがどの程度なのから誰も分からないと言うのが現状でしょう。
誰が安全基準を決めても、所詮人知は自然を超えられないのかも知れません。
気が付いたらビールがすっかり生暖かくなっていました。
冷蔵庫から良く冷えたビールを取り出しながら考えたのは、このようにビールを冷やす冷蔵庫や冷凍庫のような原理を使って原子炉を冷却する方法が無いものかと言うことです。