最近の新聞やテレビではTPPと言う言葉を見聞きしない日はありませんね。
そもそもTPPとは何のことでしょうか。
新聞の解説などによりますとTPPはTrans-Pacific Partnership の略で、日本語に翻訳すると環太平洋経済連携協定になるのだとか。
そして、太平洋に少しでもひっかかっている国がこの協定に参加することができるので、これまでに言いだしっぺのアメリカをはじめ、南米のペルー、チリ、オセアニアのオーストラリアとニュージーランド、アジアではシンガポール、マレーシア、ブルネイ、ベトナムがこの協定に参加していました。
ここには日本や韓国の国名がありませんが、韓国はともかく日本はこのTPPに参加するかどうかで国内と与党政権や各野党の議論が沸騰しているのです。
これまでに参加を表明している国で2010年の国内総生産(GDP)が大きいのはアメリカの14兆5265億ドルと、日本の5兆4587億ドルが突出していて、その他の各国は多くてもオーストラリアがやっと1兆2373億ドルで、その他はとても1兆には程遠く少ないGDPです。
この協定はどうも複雑怪奇なようで、なんでも21の分野にわたって関税を撤廃したり、規制を緩和することが目的のようなのですが、この21分野にはお米を含む農産物にかかる関税の撤廃や自由貿易が入っているとのことです。
そして、日本から輸出する自動車などを含む諸製品にかけられている高い関税をなくすと言うのですが、これと見返りになるのが日本への安い農産物の流入なのです。
このTPPの項目には、その他日本企業が他国へ参入しやすくする反面で諸外国企業の日本への参入もしやすくなります。
この中には電気通信サービスが含まれていて、新興国の通信市場に競争を促すルールを作り、日本企業の参入環境を整備すると言うことのようです。
これは電気通信サービスですから、太陽光発電とは関係がないようですが、太陽光発電の関係しそうな項目を探してみますと、例えば貿易円滑化と称して日本の中小企業の貿易振興のため、税関手続きを簡素にする、と言うのがあります。
これだと、中小企業に限らず日本の太陽光発電関連の製品が通関しやすくなりますから、日本の太陽光発電メーカーには都合がいいのではないかと思います。
しかし、太陽光発電システムの販売や施工を手掛ける企業に果たしてこのTPPが得なのか損なのかは、現時点では項目が抽象的なので、結論はでないようです。
ここは我が社にとって気になるところなのですが、最新の報道によるとカナダやメキシコもTPPに参加するそうですから、そうなるとカナディアン・ソーラーの太陽光発電システムの価格がさらに安くなることになるのでは?
そして、TPPに参加していない中国や韓国、ドイツなどはこの枠に入りませんから、このあたりで海外からの太陽光発電システムにも大きな差がでてくるでしょう。
ところで、このTPPに日本が参加するかしないかで世論は真っ二つに分かれています。
TPP参加を強く求める経済界とねじり鉢巻きで反対するJAなど農産物関係者の間に立たされた野田総理は、なかなか明確な態度を示しませんでした。
そうでしょう、どちらも日本にとっては大切なのですから、うっかりした態度はとれません。
そこで、11月11日、ハワイのホノルルで開催中のAPECで何かを言わなくてはならなくなった野田総理は、何ともあいまいに受け取れる声明を出しましたが、14日に正式にTPP参加を表明しました。
ここで、問題なのはバブル経済の時でもそうでしたが、このような大きな流れをうまく利用した者がいい思いをして、その恩恵に預かれない者が必ず出てくることです。
まさに格差が広がり、真面目な者が損をするような事態をTPP参加が招かないようにだけはして欲しいものです。
いずれにしても、国会で激しい質疑が展開されているTPP参加はこれから日本の国益確保を最優先にした話し合いが始まる前の段階ですから、TPPと我が社の関係については今後の動きを注視したいと思います。