真偽のほどはともかく、ある人によりますと、英語の意味は使われ方でいろいろな日本語になるようで、例えばCool(クール)は涼しいとか、冷たい、冷めていると言うのが一般的なのに、俗語では恰好イイと言う意味になるようです。
また、ブラジル語では英語のCoolに当たる言葉が食べ物に使われると、辛いという意味で、
英語のHotとは正反対の意味になるそうですから、言葉や単語の意味は言語によってずいぶん変わってくるのですね。
ところで、これと似たケースで英単語でSmart(スマート)があり、この単語は日本語では賢いとか利口と言う意味なのですが、俗語になると違う意味で使われるようです。
例えば、良からぬことをした人に、You are smartは、あなたは賢いと言う代わりに、うまいことやったな、と言う意味で使われるらしいのです。
閑話休題、単語はいくらでも俗語的にはこのようになりますし、揶揄的な使い方もしますが、電力の分野でSmart Grid(スマートグリッド)と言えば、賢い電力網になります。
これも擬人的な単語の使われ方ですが、ここでのスマートは無駄がないとか効率的と言う意味でもあるでしょう。
最近の報道によりますと、東京都では首都の電力需給が逼迫していることから、大規模なオフィスが集中している地区にITを使って電力の需給を効果的にコントロールする、スマートグリッドを導入するそうです。
スマートグリッドはいわゆる次世代電力網のことですが、具体的にはコンピュータで電力の需給状況を監視して、最適な需給バランスに自動的に制御するシステムですね。
この電力自動制御方式は2009年にアメリカのオバマ政権が発表したグリーンニューデール政策の柱になっていますが、この中には節電意識の向上も含まれているようです。
事実、アメリカではスマートグリッドを導入してから使用電力が10%から20%も減ったと言う事例もみられるとか。
日本では経済産業省が2010年からスマートグリッドの実験を北九州市と横浜市で実施しています。
今回の東京都の計画によりますと、東京の電力事情は都内の全エネルギーの35%がオフィスビルに使われているので、丸の内、大手町、新宿副都心などの大規模オフィス群を対象に、スマートグリッドを導入するとのことです。
そしてスマートグリッドには電力会社(東京電力)をはじめ太陽光発電などの再生可能エネルギー、蓄電池などのうちから一番効率がいいものを選ぶとのことです。
ここで太陽光発電が出てきましたが、これは太陽光発電の発電量が多い時間帯には太陽光発電を優先して使い、あるいは蓄電池に充電したりするそうです。
そして、電力会社からの給電がストップした場合は不要な電気機器のスイッチをOFFにして、足りない電力は蓄電池や都市ガスを使うコジェネレーションで電力をビル間で融通し合うとのことです。
この東京都のスマートグリッド導入計画は急ピッチで進められていて、事業者を選定してから2012年度の実施を目標にしているそうですが、問題は再生可能エネルギーのコスト高にあるようです。
現行の太陽光発電システムの変換効率はそれほど高いとは言えませんから、石油や天然ガスでの発電と比較するとかなり割高になってしまいます。
この点をどのようにクリアして、郊外の住宅地の住宅に設置された太陽光発電システムからの売電を活用できるかどうかが課題になるでしょう。
狭い東京都内ではメガソーラーを建設する場所はありませんから、ここで言う太陽光発電は住宅の太陽光発電システムを指しているのだと思います。
さて、話は変わって大阪ですが、大阪市は今や関西において首都機能を持つ大都市ですから、東京都がスマートグリッドで成果をあげれば、大阪市のオフィスビル群にもスマートグリッド構想が適用されるかも知れませんね。
大阪都構想があるくらい、大阪市は関西での拠点ですし、管内の原発の多くが停止状態の関西電力も電力需給には頭を悩ましていますから、遅かれ早かれ大阪市スマートグリッド構想は論議されることになると思います。