最近のニュースで気になるのは、やはりコレです。
イランとシリアの問題。
シリアの場合は国内問題なので諸外国からはどうしようもない部分が多いのですが、イランの場合は核開発という世界全体に関わる問題なので、それだけに深刻になっています。
ことの顛末を簡単にまとめますと、以下のようになります。
1.イランの核開発疑惑が浮上
イランはかねてから核開発をしているという疑惑がありました。
日本にもたくさんの原発があるわけで、これも核開発なのでそれ自体は問題ではないのですが、イランの場合は核兵器を作っているのではないかという疑惑があるために、ここまで問題が大きくなっているのです。
アメリカや中国をはじめとする核保有国は意外にたくさんあるので、そこにイランが加わったところで何が問題なのか、というのがイランの言い分です。
2.経済制裁、原油輸入の停止
なぜイランが核武装をすると問題なのかと言いますと、それはイスラエルが関係します。
イスラエルはユダヤ人国家で、歴史的にアラブ諸国とは決定的に対立しています。
アラブ諸国のひとつであるイランが核兵器を持つと、それをイスラエルに使うのではないかという懸念があるのです。そうなるとイスラエルも黙ってはいませんから、報復でイスラエルからも核攻撃…というのが最悪のシナリオです。
そこで欧米諸国は、イランに経済制裁をかけました。この経済制裁には、日本も加わっています。
そしてさらに、アメリカに続いてEUがイラン産原油の輸入停止を決めました。
原油輸出が主な産業であるイランにとって、こうした動きは痛いので、何としても避けたいのが本音です。
3.ホルムズ海峡の封鎖?
アメリカやEUの原油輸入停止が、世界各国に広がるとイランは核開発どころではなくなってしまいます。
それを避けるために、イランはある脅しをかけます。
それは、ホルムズ海峡の封鎖です。ホルムズ海峡というのはペルシャ湾の狭くなっているところで、ちょうどイランの目の前にあります。ここを封鎖するということは、世界中に大して原油を満載したタンカーが通れなくなるということで、中東諸国からの原油に頼っている国は大打撃です。これには、日本も含まれます。
ホルムズ海峡を封鎖するようなら、それを武力で排除する…これはアメリカやイギリスが発言していることですが、実際にこうなったら戦争です。
イランが封鎖しなくてもホルムズ海峡は戦場となり、タンカーは通れなくなるでしょう。
4.原油価格の暴騰?
中東からの原油輸出が思うようにいかなくなると、どうなるか?
それはもう明白です。原油価格が暴騰し、以前にあったようなガソリン高を招きます。そうでなくても中国やインドの需要増によって原油の価格は高止まりしているのに、もっと手に入りにくくなるのではないかという思惑が広がって先物が買いが殺到、そして石油の価格が跳ね上がるというシナリオになります。
この動きはもう始まっていて、じりじりとガソリン価格は上昇しています。
そうなると何が起きるかと言いますと、石油や天然ガスなどへの依存度が高い発電のコストが上がり、電気料金の値上がりにつながります。
特に今は日本全体が脱原発という流れになっているので、余計にこうした燃料費のコスト増は影響を受けます。
元はと言えば、オイルショックの教訓からエネルギーの石油依存を下げるために原子力を開発した日本でしたが、その方向を大きく転換する時期にオイルショックのような事態が起きるとは。
ツイていないとはこのことかも知れませんが、いずれにしてもエネルギー問題は待ったなしです。
環境問題も含めて、これから日本のエネルギーは何でまかなっていくのか?
それを考える重要な時期にさしかかっているのは明らかです。