こんにちは、石橋です。
私たち和上住電のように電力に関わる者として、最大のニュースはやっぱりコレでしょう。
そう、大飯原発の再稼動です。
大飯原発は福井県の若狭湾沿岸にあって、「原発銀座」と呼ばれるこの一帯では最も大きな規模を持つ原発です。
日本にある原発全体の中でも大飯原発は3番目の規模となっており、ちなみに1位は東京電力の柏崎刈羽原発、2位はあの福島第一原発です。2位までは東京電力の原発なので、大飯原発は関西電力の中では最大ということになります。
大飯原発には4つの原子炉があって、1号機から4号機まであります。
今回、再稼動で注目が集まっているのはそのうち3号機と4号機です。
大飯原発は特に事故を起こしたわけでもなく正常に稼動していたのですが、原子炉というのは定期的に運転を止めて点検をしなければならないので、定期点検のために稼動が止まり、点検を終えたら再稼動する予定でした。
そこに起きてしまったのが、あの福島第一原発の事故です。
これで世論は一気に脱原発に傾き、大飯原発以外も点検のために運転を止めた原子炉が再稼動できずにいます。
もちろん、原発は無いに越したことはありません。
しかしそれは、原発に代わる安全なエネルギー源があってこそ初めて成立する話です。
原発は危ないから、電力が足りなくなっても運転は止めるべき―。
去年はそんな世論が日本中に渦巻いていましたが、それがもたらしたものは何だったのでしょう。
節電による景気の停滞、原子力技術者の海外流出、LNG輸入激増による貿易赤字転落…
これらはデメリットですが、それではメリットは何かあったのかと考えると、原発事故の心配がなくて良かった…?
多くの人々が、「原発は止めていれば安心」と思われているかも知れませんが、これは大きな誤解です。
原子炉の中にある核燃料というのは、発電をしていなくても核分裂反応を起こそうとし続けます。原発はこのエネルギーを発電に使っているわけですが、火力のように運転を止めたら全てが停止するわけではないのです。
運転を停止している原子炉の中にある核燃料は制御棒と呼ばれるパーツを使って核分裂を防いでいますが、それでも熱を出し続けるので冷却しなければなりません。
冷却のためには大量の水が要る。
その水を循環させるには、大量の電力が要る。
いわゆる冷温停止というのはこの状態なのですが、これで原発が安全と言えますか?
そうなんです、原発は運転を止めているからと言って安全になるという代物ではないのです。
そのことをわざと見ないようにしているのか、知らせないようにしているのかは分かりませんが、反原発の意見を開帳する人々は「とにかく原発を止めろ」の大合唱。
それで何が変わるのかをしっかり説明してこその反原発だと思うのですが…
いずれにしても大飯原発は、このまま再稼動するでしょう。
しかし、まだ問題は残っています。
原子炉の核燃料というのは、稼動させても満足な発電をするまでに6週間もかかります。
このあたりは、人類がまだまだ核燃料を完全にコントロールできていないことの表れです。
それまでに電力需給が逼迫したら、計画停電という最悪の事態になります。
去年あれだけ不評だった計画停電が、まさか私たちの大阪で起きるとは。
実際には行われないかも知れませんが、本当に微妙なところのようです。
これによって起きる命の危険や経済に対する悪影響、社会全体の損失についてまで議論する気はあるんでしょうかねぇ?
「反原発」の皆さん、いかがですか?