こんにちは、石橋です。
台風10号は東日本に広く爪痕を残してしまいましたが、台風一過の大阪は涼しい風が吹いていて、一気に秋の到来を感じるようになりました。
まだまだ暑い日も多いとは思いますが、夜になると虫の声が聞こえるようにもなりました。
今回は、そんな時期に相変わらず世間を騒がせている原発の再稼働問題についてです。
最近の原発に関する日本と海外の反応を振り返りますと、2011年(平成23年)3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災での東京電力福島原発の大事故に端を発しています。
現ウクライナのチェルノブイリ原発事故が発生したのは、1986年(昭和61年)4月26日1時23分で、この大事故は当時の日本では対岸の出来事でしたし、現地はともかく世界中の反応もそれほど大きなものではありませんでした。
これらの原発事故と太陽光発電をはじめとする新エネルギーでの電力との関係をみますと、まさに対照的で、それは東日本大震災での福島原発事故が遠くヨーロッパのドイツ、フランスなどの原発依存電力の構図に大きな影響を与えたからです。
そして、大きくクローズアップされたのが太陽光発電を含む新エネルギーによる電力生産体制の強化です。
具体的には放射能汚染の心配がないと同時に環境汚染に歯止めをかける太陽光発電のさらなる普及促進です。同時に日本国内での54基ある原発は悪の権化として怖れられ、次から次へと稼働を停止し、一時期の日本は原発ゼロ状態になりました。では、そのような状態での電力生産に関する考え方が、ドイツのように太陽光発電を重視するという方向に向かったのでしょうか。
答えは、ノーです。つまり日本はドイツのように原発ゼロの旗を掲げる動きはあったものの、実態はドイツとは異なります。この両国の違いは原発への電力生産の依存度に違いにあるのではないでしょうか。すなわち、狭い国土に54基の原発があるからこそ電力供給が社会経済の維持を可能にする日本では、原発ゼロを声に出しても実行できませんでした。
これを裏返せば日本での太陽光発電の普及がドイツに及ばないことを実証しています。つまり、原発ゼロにするだけの代替電力供給体制が無かったのです。
そこで日本はCO2排出を黙認して、火力発電の増強に踏み切っていて、太陽光発電その他の新エネルギーに重点は置かれませんでした。
確かに、太陽光発電の増強の必要性は広く議論されましたが、掛け声だけに終わったと言えるでしょう。
一方で54基の原発は大地震の根元である活断層のリスクが浮かび上がり、再稼働に踏み切る動きは停止したかに見えました。
ところが消費税アップさえままならない経済状態で電気料金の値上げが相次ぎ、さらに原発再稼働の動きが顕在化しています。その流れを受けて2015年(平成27年)8月に九州電力の川内原発1号機が再稼働し、10月には2号機も再稼働しました。
現時点では関西電力・高浜原発3・4号機と、四国電力・伊方原発3号機も再稼働への動きが進んでいます。もちろん廃炉の動きもありますが、結局原発は再稼働したのです。
その間に太陽光発電への関心度が国家レベルで上昇したかと言いますと、残念ながらそうではありません。
太陽光発電が将来の地球上での電力供給には必要不可欠であるという明らかな認識が浸透していないのはどうしてでしょうか。
原発否定派ではありませんが、緩やかな脱原発と速やかな太陽光発電の増強を切に望みます。
太陽光発電など再生可能エネルギーが一過性のブームとして扱われてしまうと、すでに「過去のもの」となってしまいます。日本人はこうしたブームを作りやすい国民性を持っているので、そうなってしまうことを危惧します。