こんにちは、石橋です。
本日は国からとても興味深い発表があったので、その背景や私の見立てなどについてお話をしたいと思います。
太陽光発電の最新事情とこれからについては拙著「脱炭素社会の大本命『自家消費型太陽光発電』がやってくる!」でも詳しく解説していますので、こちらも宣伝させてください。
今回のお話も太陽光なんですが、今ではなく2030年、未来のお話です。先日、経済産業省がさまざまな方法別の発電コストを比較したデータを発表しました。それによると、以下の順位になったことが明らかになりました。
1位 事業用太陽光 8円台前半~11円台後半
2位 原子力 11円台後半以上
3位 LNG火力 10円台後半~14円台前半
4位 石炭火力 13円台後半~22円台前半
これまで長らく、発電コストが安いものといえば原子力とLNG火力でした。事実、上記の比較でも最安値だと今も上位クラスです。しかしそれを大きく上回って来たのが事業用太陽光で、2030年にはついに1kW/hあたりの発電コストが10円を下回って一桁になるというのですから、これはエネルギー関連の事業者として長年関わってきた私も驚きでした。
これまでの太陽光発電というと、発電コストでは他の方法に劣るものの、環境性能が高い、持続性がある、といったようにトレードオフ(利益相反)になっているのが当たり前だったからです。このデータが現実になると、「太陽光発電でないとコストが高くなる」という時代がやって来るわけです。いつかはそんな時が来ると思っていましたが、思ったより早く逆転するようだ、という印象です。
ちなみに、原子力発電はもう少し発電コストが低かったのですが、安全対策のためのコストが増したために1kW/hあたりの発電コストが1円以上押し上げられています。このことも太陽光との逆転が起きた理由です。
私個人は、原子力発電も必要な電源のひとつだと考えています。太陽光発電の事業者でありながら矛盾しているとお感じかもしれませんが、電力は途絶えさせることや不安定化させることが最大のリスクなので、電源の多様性はとても重要です。その意味ではLNG火力も必要ですし、そこに原子力がうまくミックスされるのが理想形でしょう。
太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーは自然のご機嫌次第という側面があるため、天候などの条件によって発電量が大きく変動します。それによって経済・社会活動が影響を受けるようなことは文明国としてあってはならないので、それをバックアップするために原子力や火力が必要です。これに対するコストを加味する必要があるので、実際には太陽光発電が夢のエネルギーであることをバックアップする既存の電源あることを忘れてはいけません。