コラム

2024.04.14

【2024年最新版】ソーラーカーポートの補助金情報と今後の見通し

カテゴリー: ・ソーラーカーポート

クルマを直射日光や雨風から守ってくれるカーポート。近年ではカーポートの屋根部分を活用して太陽光パネルを設置し、クルマの保護と発電を両立するソーラーカーポートの普及が進んでいます。

一石二鳥のメリットが得られるとあって人気が高まっていますが、さらに設置の際に補助金を活用できることも注目を集める要因となっています。

当記事では2024年度のカーポート補助金に関する最新情報を交えつつ、ソーラーカーポートの補助金に関する今後の見通し、確実に補助金を受け取るために知っておくべきことなどをまとめました。

2024年度のカーポート関連補助金の概要

2024年度に実施されるカーポート関連の補助金制度として、「建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業」を紹介します。この制度の趣旨や補助の内容などについて解説します。

民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業とは

2024年度のカーポート補助金制度は、ソーラーカーポートが対象です。「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」という少々長い名前の事業の一環として実施されるもので、この事業は民間企業が主導して自家消費型の太陽光発電を普及促進し、今後予想される電力需要の増大に備えつつ脱炭素目標を達成することを目的としています。

再生可能エネルギーの中核に自家消費型の太陽光発電を据え、より高度なニーズに応えるという国家戦略です。この戦略自体は正しい方向性を持っているので、これを推進することには大きな意義があります。

建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業(ソーラーカーポート)

2024年度のソーラーカーポート向け補助金は、「建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業」という名称で実施されます。太陽光発電一体型のソーラーカーポートと、太陽光発電搭載型のソーラーカーポートが補助金の対象です。

細かい条件としては、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 発電した電力のうち50%以上を同じ敷地内で自家消費する
  • 最大出力が5kW以上の規模である
  • 過積載率が100%以上である
  • 停電時にも電力を供給できる機能を備えている

など、これら以外にも要件が決められていますが、複雑なものは割愛しました。

この要件にある過積載率とは、電気を直流から交流に変換するパワーコンディショナーの容量よりも大きな容量の太陽光パネルを設置することです。これによって発電量がピークになる時間帯以外の発電量を多くすることができるため、多くの設置事例で採用されています。このソーラーカーポートの補助金でも過積載率は100%以上となっているため、110%や120%といったように過積載をする場合も対象となります。

なお、この補助金における補助率は対象経費に対して3分の1です。2023年の同補助金でも補助率は同じで、上限は1億円でした。そのことを考えると、具体的な補助金の金額などは執筆時点で決まっていないものの、前年度の制度が踏襲されると思われます。

予算規模

2024年度(令和6年度)に、この事業に対する予算は400億円です。ソーラーカーポートだけの補助金であればかなり大きな予算規模といえますが、その他にも関連する多くの補助金を含めた予算規模なので、ソーラーカーポートだけに絞るとそれほど大きな予算規模にはならないかもしれません。

カーポートと補助金についての基礎知識

カーポート関連の補助金について、最初にその趣旨や制度が設けられた背景、過去の補助金情報などを解説しておきたいと思います。

補助金が設けられている趣旨

カーポートの中でも、補助金の対象になるのは主にソーラーカーポートです。クルマの上に取り付ける屋根部分に太陽光パネルが設置されているものです。個人住宅向けの小さなカーポートというより、数十台を停められる駐車場などで設置されている風景を見ることが多くなりました。

文章よりも、実際に設置されている様子を見ていただいたほうが分かりやすいかもしれません。

ソーラーカーポート画像

引用元:ソーラーカーポートとは?(株式会社和上ホールディングス)

従来のカーポートはクルマを直射日光や雨風から守るためだけに設置されていましたが、その屋根部分が太陽光パネルになっているのが分かると思います。しかも、こうしたまとまった台数の駐車場だと規模の大きな発電施設にすることができるため、駐車場を所有している企業などが売電収入やESG投資を目的として導入する事例が増えています。

なお、ESG投資とはエシカル投資とも呼ばれ、「環境に配慮した取り組みをしている企業」であることを示し、投資家がそういった企業に投資をする考え方のことです。

環境以外にもさまざまな取り組みが評価の対象になりますが、ESGのEはEnvironment(環境)を示しており、環境保護に向けた取り組みをしていることが投資適格になる時代です。

ソーラーカーポートに補助金制度が設けられているのは、こうした取り組みを促進するためです。日本は2050年までにカーボンニュートラルを達成すると国際公約をしており、脱炭素の一環でソーラーカーポートの普及を進めることは大いに意義があります。

なぜ、カーポートなのか

脱炭素のために太陽光発電の普及を促進するのであれば、必ずしもカーポートでなくてもいいと思いますが、なぜカーポートなのでしょうか。そこには、一石二鳥ともいえるメリットがあります。

カーポートの屋根部分は、従来デッドスペースと見られてきました。駐車しているクルマを守ることができれば役割を果たしているので、その屋根部分を何か別のことに活用しようという発想もなかったことでしょう。それなら太陽光パネルを設置すれば有効活用できるのではないかという発想で生まれたのが、ソーラーカーポートです。

これまで特に利益を生むことがなかったカーポートがソーラーカーポートとなることにより、売電収入が期待できるようになります。それと同時に脱炭素、CO2排出削減の効果も期待できます。そしてもうひとつ、面白いのがEV(電気自動車)への充電機能です。

ソーラーカーポートは駐車場に設置するものなので、太陽光パネルの真下にはクルマが停められています。そこにEVの充電スタンドを設置し、屋根の上から電力を供給すれば、自立型の充電が可能になります。

もっとも、ソーラーカーポートだけの発電力でEVを満充電にするのは難しいですが、その一部だけでも太陽光でまかなうことができれば、電気料金の大幅な節約にもなるでしょう。

EVやPHV(プラグインハイブリッド車)との相性がとても良いので、環境性能の高いクルマを一緒に導入すると、ソーラーカーポートのメリットはより大きくなります。

これだけメリットの多いソーラーカーポートなので、導入するのであれば補助金を活用しない手はありません。

2023年度にあった補助金制度

当記事で紹介しているソーラーカーポートに対する補助金制度は2024年度のものですが、この補助金は単年度だけでなく、2023年にも設けられていました。「再生可能エネルギー事業者支援事業費(駐車場を活用した太陽光発電設備(ソーラーカーポート)の導入を行う事業)(https://www.env.go.jp/press/press_02621.html) 」という名称で、環境省が所管する補助金制度です。

2024年2月29日で公募は終了しているので、当記事の執筆時点ではまだまだ新しい制度です。2024年もこの制度を踏襲した補助金制度になっているので、現行の補助金制度が終了したあとも予算が組まれるかもしれません。

カーポートの補助金を得るために知っておくべきポイント

ソーラーカーポートの補助金を確実に受け取るために、知っておくべきポイントをまとめました。補助率が高い補助金制度だけに、ミスや不備などで補助金が出ないといった事態にならないよう、しっかりとチェックしておいてください。

書類の不備や手続きの不備に注意

言うまでもありませんが、書類の不備や手続きの不備がないようにしましょう。相手は役所なので、ちょっとした不備だからといって融通を利かせてくれることは期待できません。

どんなに熱意があっても手続が適正でなければ補助金は出ません。

申請期限までに申し込みを

書類や手続きの不備と併せて注意したいのが、申請期限です。前回の補助金の第3次公募実施期間は、2024年の2月29日まででした。この日を過ぎると書類が揃っていても受理はされないので、注意しましょう。

予算を使い切ると補助金は終了する

国や地方自治体の補助金には、予算があります。予算を超えて補助金が出ることはないので、期間満了を待たずに予算を使い切ったら受け付けは終了となります。これは太陽光発電やソーラーカーポートなどに限らず、すべての補助金に共通する注意点です。

人気の高い補助金は期間満了よりも前に予算を使い切ることも多いですが、数ある補助金制度の中でもソーラーカーポートは人気の高い補助金に分類されます。

公募実施期間内で書類や手続きに不備がないのに予算がなくなってしまって受付けしてもらえなかったとなると徒労感も大きいので、2024年度の予算に対しても早めに行動するようにしましょう。

補助金に精通している施工店、販売店を選ぶ

役所相手に書類を揃えたり、手続きをするのは、慣れていない人にとってはハードルの高い作業です。しかも書類や手続きに不備があることで期待していた補助金が出ないとなると、大きな損失につながります。

そういった損失を防ぐためにも、早い段階から信頼できるプロに依頼することをおすすめします。ソーラーカーポートは施工が必要な商品なので、販売店=施工店です。施工を任せる業者を選ぶ際には、補助金の仕組みや手続きなどに精通しているかどうかもしっかりチェックしたいところです。

すでに多くの実績を有している施工店であれば、2023年にも実施されてきた補助金についても十分な知識や実績があると考えられます。その意味では、ソーラーカーポートの施工実績が豊富な業者を選ぶことがひとつの判断基準になります。

カーポートの補助金、2024年以降はどうなる?

カーポートに対する補助金について、2024年以降について考察してみたいと思います。2024年度に実施される「建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業」については、翌2025年度の実施もすでに決まっています。

しかし、その先については未定です。この先、ソーラーカーポートの補助金はどうなっていくのでしょうか。

再生可能エネルギーへの期待値はさらに高まる

再生可能エネルギーへの期待値は、日本だけでなく世界的に高まっています。SDGsやESG投資といったエシカル投資と呼ばれる価値観では、企業が消費する電力の「質」が問われています。化石燃料に由来する電力の比率が高いと投資家から投資不適格だと見なされる時代になっているので、再生可能エネルギーの積極利用は企業の生き残りにも直結します。

和上ホールディングスはRE100(再生可能エネルギーの使用率100%)の認証を取得することによって企業価値を高める取り組みを支援しており、ソーラーカーポートもその一環として提案をしています。

地球環境保護や気象変動、エネルギーの有効利用などメリットがとても多いことから、今後も再生可能エネルギーの地位は高まっていくでしょうし、ソーラーカーポートはそのための有効な手段のひとつとして認識されていくこと思われます。

カーポート=太陽光パネルの時代がやってくる?

現在はまだカーポートとソーラーカーポートは別のものとして取り扱われています。太陽光パネルが設置されている分だけソーラーカーポートは設置費用が高額になるため、予算との兼ね合いで太陽光発電機能のない従来型のカーポートを設置する事例は依然として多くあります。

しかし、東京都では新築住宅に太陽光発電の設置を義務付ける条例が制定されました。戸建て住宅の屋根スペースを活用することを行政が義務づけたことは話題になりましたが、今後こうした動きがさらに広がる可能性があります。

そうなると、カーポートもソーラーカーポートであることが必須になるかもしれません。環境省が発表している補助金関連のプレスリリースを見ても、太陽光発電による再生可能エネルギーへの期待値がとても高いことが読み取れます。

国が主導するこうした動きがさらに加速すること可能性は極めて高く、ソーラーカーポートもその動きに合わせて普及し続けていくことでしょう。

まとめ

2024年の最新版として、ソーラーカーポート関連の補助金について2024年3月時点の最新情報をお伝えしました。補助率が高く、設置後もメリットが大きいことから、ソーラーカーポートを設置するメリットはより大きくなっています。

駐車場があってカーポートの設置を検討している企業、クルマを停めている上のスペースを活用したいと考えている企業などの方々は、補助金を前提とした設置を検討してみてはいかがでしょうか。

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