オフサイトPPAとは?自己託送との違いについても確認しよう!

オフサイトPPAとは?自己託送との違いについても確認しよう!

出力10kW以上の太陽光発電を設置するには、一定の敷地面積を確保しなければいけません。しかし、企業によっては自社の敷地内に産業用太陽光発電を設置することが難しいケースもあります。オフサイトPPAは、自社から遠く離れた場所でも太陽光発電を設置・運用できるのが強みです。

そこで今回は、オフサイトPPAの特徴や導入メリット・デメリット、自己託送との違いや補助金の有無について詳しくご紹介します。自社の敷地から離れた場所で産業用太陽光発電を始めたい方は、参考にしてみてください。

オフサイトPPAとは?

オフサイトPPAとは?

ここではオフサイトのPPAの意味や特徴、オンサイトPPAとの違いについて紹介します。

コーポレートPPAの1つでPPA事業者と契約

オフサイトPPA(Power Purchase Agreement)は、コーポレートPPAの1つで、自社の敷地外に設置された太陽光発電所の電気を自社まで送配電してもらえる運用方式です。

電力を使用したい事業者がPPA業者と契約し、無償で太陽光発電設備を設置できるビジネスモデルをコーポレートPPAと呼びます。コーポレートPPAは、フィジカルPPAとバーチャルPPAに分かれます。

それぞれの意味は以下の通りです。

フィジカルPPA ・太陽光発電を利用したい企業は、発電事業者およびPPA事業から「電力」と「CO2を排出しない環境価値(証書)」を受け取る。
・該当するPPAは、オフサイトPPAとオンサイトPPA
バーチャルPPA ・「CO2を排出しない環境価値(証書)」のみ受け取る方式。
・PPA業者は需要家である企業へ電力を供給せず、卸電力市場へ売却。
・企業は現在契約している小売電気事業者から電力を購入。
・電力に関するやり取りは直接行われないため、バーチャルPPAと呼ばれる。

一般的なオフサイトPPAは、以下の流れで電力を購入します。

  1. PPAおよび発電事業者が太陽光発電で発電
  2. 電力は需要家と契約している小売電気事業者へ売却や送配電網を用いた送電
  3. 需要家は既存の小売電気事業者から太陽光発電で発電した電力を購入もしくは送電される

PPAおよび発電事業者が太陽光発電で発電

電力は需要家と契約している小売電気事業者へ売却や送配電網を用いた送電

需要家は既存の小売電気事業者から太陽光発電で発電した電力を購入もしくは送電される

需要家(PPA利用者)である企業は、発電事業者へ太陽光発電の電気代と送配電ネットワークに関する使用料を支払う仕組みです。

しかし、電気事業法の関係から国内におけるオフサイトPPAは、以下2つのケースのみ認められている状況です。

  • 自社やグループ会社で設置した太陽光発電を既存の送配電網を通じて自社の建物へ送電、小売電気事業者を通じて部分的に購入
  • 他社が設置した太陽光発電の電力を小売電気事業者を通じて購入

他社が設置した太陽光発電から発電された電気は、送配電網を通じて送電してもらうことができません。そのため、自家消費を行うには自社やグループ会社で設置、自家消費より無償設置を優先する場合は他社サービスの利用を検討する必要があります。

オフサイトPPAの種類と国内の状況については、次の項目で分かりやすく紹介します。

日本のオフサイトPPAは自社の太陽光発電を運用

オフサイトPPAは、3種類の供給方法に分かれています。

社内融通型 自社の敷地外に設置した自社の太陽光発電設備で発電した電気を既存の送配電網を用いて自社へ送電、小売電気事業者による部分供給
グループ内融通型 自社の敷地外に設置されたグループ会社の太陽光発電から発電された電気を既存の送配電網を用いて自社へ送電、小売電気事業者による部分供給
グループ外融通型 自社の敷地外に設置された他社の太陽光発電設備から発電された電気を既存の送配電網を用いて自社へ送電、小売電気事業者による部分供給
※現在利用できない

2021年時点で利用可能なオフサイトPPAは、自社で導入もしくはグループ会社で導入した太陽光発電を用いた方法です。つまり、社内融通型とグループ内融通型の2種類です。

社内融通型とグループ内融通型は、どちらも自社設備です。

初期費用は、通常の太陽光発電投資と同じく負担しなければいけません。しかし、送電および自家消費できるのが大きな強みです。

一方、PPA業者など他社の太陽光発電を無償で設置してもらう場合は、直接電力供給してもらえません。現在の法規制では、他社の設備を自社の敷地内に設置することは可能なものの、電力を小売電気事業者から購入しなければいけないためです。

そのため、無償設置のPPAによる自家消費は、現状難しい状況です。

オフサイトPPAを検討する時は、自社設置による自家消費とPPA業者による無償設置および自家消費不可のいずれかを選択する必要があります。

なお、オフサイトPPAで太陽光発電の電力を使用する場合は、電気事業法の自己託送制度に沿って設備の準備や手続き、自家消費する必要があります。また、電力を売電してしまうと、自己託送制度の条件から外れてしまうため、発電・送電できません。

オンサイトPPAとは設置場所などが異なる

オンサイトPPAとの大きな違いは、太陽光発電所の設置場所と電力の購入方法です。

オンサイトPPAは、PPA利用企業の敷地内に太陽光発電所が設置されます。また、PPA業者所有の太陽光発電から発電された電気は、小売電気事業者を介さず、直接PPA利用企業の工場や事業所へ送電される仕組みです。

オンサイトPPAの方がシンプルな仕組みですが、自社の敷地面積を超える設備を設置できません。対して、オフサイトPPAは自社の敷地外に太陽光発電所を設置するため、事前に設備規模と合った土地を購入しておくことで、敷地面積の問題をクリアできます。

自己託送と厳密には違う

厳密には敷地外からの送電を「自己託送」、電力購入を電気小売り事業者からの「部分供給」(PPA業者からの購入)と区分します。そして、敷地外からの送電や部分供給、PPA契約を「オフサイトPPA」と呼びます。

しかし、経済産業省では、オフサイトPPAを自己託送とみなしています。そのため、オフサイトPPAと自己託送を同一の意味として捉えることも可能です。

オフサイトPPAに関する用語は複雑かつ多いため、「オフサイトPPA」と「自己託送」どちらかの呼び名で統一し、仕組みの理解を進めるのがおすすめです。

託送料金が発生

オフサイトPPAでは、自社の敷地外に設置した太陽光発電所から発電した電気を既存の送配電網を利用して、自社の事業所や工場へ送電します。

そのため、送電サービスに対する利用手数料「託送料金」というものが発生します。託送料金の相場は、電力会社によって異なります。

たとえば、東京電力の託送料金は、基本料金としてW数1kWにつき555円50銭かかります。さらに電力使用料として電気量料金1kWhにつき2円59線かかります。

オフサイトPPAのコストを抑えるには、託送料金の低い電力会社やプランを探すのがポイントです。

オフサイトPPAの導入メリット

オフサイトPPAの導入メリット

オフサイトPPAの意味を理解したとは、導入メリットについても確認していきます。太陽光発電の電力供給量を増やしたい企業や再生可能エネルギー導入による企業価値アップを目指す企業は、特に注目です。

自社の敷地外で発電した電気を自家消費できる

自社の敷地外で太陽光発電所を運用できるだけでなく、発電した電力を利用できるのがオフサイトPPAのメリットです。

一般的な産業用太陽光発電の場合、遠方の敷地外へ設置してしまうと自社の設備へ送電するのが極めて難しい状況です。

一方、オフサイトPPAは、自己託送制度に則って電力を自家消費できます。固定買取価格は毎年下落しており、売電収入のみのビジネスモデルからの転換を図ることが大切です。

オフサイトPPAは、売電から自家消費という近年の流れに合った運用方式でもあります。

電力の供給量を増加させることが可能

太陽光発電の出力および電力供給量を増やせるのは、オフサイトPPAの特長です。オンサイトPPAは送配電網のコストを避けられる反面、敷地面積を簡単に増やすことができません。そのため、太陽光発電所の出力を増やすことができない場合もあります。

オフサイトPPAは自社の敷地外で太陽光発電所を設置するため、新たに広大な土地を取得することも可能です。

電力の供給量を大幅に増やし、自家消費量の増加を図りたい企業にとってオフサイトPPAは、導入メリットの多い方式です。

RE100基準電力の利用など企業価値アップにつながる

オフサイトPPAの導入によってRE100加盟につながる可能性があります。RE100はRenewable Energy 100%の略称で、企業の事業活動で利用しているエネルギーを100%再生可能エネルギーでまかなうことを目標とした国際的な枠組みです。

RE100では、再生可能エネルギーの利用率増加を目指し、RE100基準電力の供給を求めています。

FIT制度の承認を受けた太陽光発電所で発電した電気は、化石燃料で発電した電気を含む電力市場へ一旦売却され、その後需要家(消費者)が購入します。そのため、太陽光発電所の普及促進につながっているものの需要家(消費者)は、化石燃料を含むエネルギーを購入している構図です。

そのため、RE100基準電力として認められていません。

一方、オフサイトPPAは、FIT制度と関係なく、太陽光発電の運用を始められます。さらに太陽光発電で発電した電気を直接需要家である自社へ送電できるため、再生可能エネルギーという環境価値を維持した状態で利用することが可能です。

このようなRE100基準電力の供給は、企業価値アップにつながります。

企業全体で電気代削減を実現できる

オフサイトPPAの導入では、電気代削減効果を期待することが可能です。

自社の太陽光発電を敷地外へ設置した場合は、遠方から自社の事業所や工場へ送電でき、自家消費を実現できます。さらにオンサイトPPAと異なり、設備規模を拡大しやすい環境で電気代削減効果を伸ばせるのが嬉しいポイントです。

他にも電力会社からの買電量を減らせるため、再エネ賦課金の負担を減らせるのがメリットの1つです。

自家消費型太陽光発電で、企業全体の固定費削減を狙っている企業は、オフサイトPPAを含めた設置運用方法を検討してみてはいかがでしょうか。

オフサイトPPAの課題

オフサイトPPAの課題

続いては、オフサイトPPAの課題や注意点について紹介します。

インバランス料金の負担

自社で太陽光発電を遠方へ設置する場合は、インバランスという点でデメリットがあります。自社もしくはグループ会社所有の太陽光発電で発電した電気を自社の工場などへ送電する場合、事前に送電量の計画を送配電事業者(電力会社)へ提出しておく必要があります。

万が一、事前に計画していた送電量と実際の送電量に差が生じた時は、インバランス料金という費用を送配電事業者へ支払います。

送電を行う際は、インバランス料金の負担を増やさないよう、送電量に関する計画値と実績値の差を抑えるのが大切です。

需要家(電力消費)の保護が必要

自社ではなくPPA業者へ太陽光発電の無償設置を依頼する場合は、電力価格に注意が必要です。PPA業者へ太陽光発電設置を依頼する時は、無償で設備を設置運用してもらえます。送電はしてもらえないものの、電気小売事業者を通じて電力を購入できます。

しかし、電力価格に関する規制や需要家の保護などが不足しているため、相場を超える高額な電力価格を提示される可能性もあります。

太陽光発電の無償設置を重視していない場合は、自社やグループ会社で太陽光発電を購入・設置するのが大切です。

グループ外融通が認められていない

オフサイトPPAの課題であり複雑な原因の1つが、グループ外融通について認められていないためです。

自社やグループ会社で設置した太陽光発電は、自社の事業者への送電や小売電気事業者を通じた部分供給どちらも認められています。しかし、他社設置のグループ外融通は、小売電気事業者を通じた電力購入のみしか認められていないため、自家消費できません。

2021年時点でオフサイトPPAは、グループ外融通という点でも不完全な制度です。

オフサイトPPAを検討する時は、PPA業者など他社による無償設置と自社設置との違いや自家消費の可否を理解しておくのが重要です。

非常時に電力を供給できない可能性

オフサイトPPAは、非常用電源という点でデメリットがあります。

自社の太陽光発電と事業者や工場間に接続されている送配電網が、災害によって切断・故障してしまうと送電できません。そのため、BCP対策としてオフサイトPPAを選択し内容が良い場合もあります。

非常用電源として太陽光発電を活用したい時は、自社の敷地内で自家消費型太陽光発電と蓄電ユニットを設置するのがおすすめです。

敷地内の設置では、電力会社の送配電システムを介さず自家消費できます。

オフサイトPPAの補助金制度

オフサイトPPAの補助金制度

環境省では、オフサイトPPAに関する補助金制度を実施していました。

「オフサイトコーポレートPPAによる太陽光発電供給モデル創出事業」は、1次公募と2次公募の2回に分かれており、2021年7月9日に公募終了しました。

同補助金制度の対象設備は、太陽光パネルやパワーコンディショナ、監視制御装置など太陽光発電システム一式です。補助金交付額は、対象設備の経費に対して3分の1で、上限1億5,000万円とされています。

2022年もオフサイトPPAに関する補助金制度を実施してもらえる可能性があるので、定期的に環境省や自治体HPを確認してみるのも大切です。

オフサイトPPAの事例

オフサイトPPAの事例

セブン&アイ・ホールディングスとNTTは、2021年6月28日にオフサイトPPAに関する契約を結びました。

NTTグループのNTTアノードエナジーが、出力約0.8MWの千葉若葉太陽光発電所を千葉県千葉市に設置しました。セブン&アイ・ホールディングスは、同発電所で発電された電力を20年間使用する予定です。

同発電所の電力は、首都圏のセブンイレブン40店舗へ電力供給され、不足分を他の再生可能エネルギーでカバーされます。また、不足分は、NTTで供給している他の再生可能エネルギーが活用される予定です。

企業価値アップや電気代削減にオフサイトPPAはおすすめ!

企業価値アップや電気代削減にオフサイトPPAはおすすめ!

オフサイトPPAは、自社の敷地外に太陽光発電を設置し、既存の送配電網を活用しながら自社へ送電したり小売電気事業者を通じて部分供給したりできます。

自社もしくはグループ会社で太陽光発電を設置した場合は、電力の送電および自家消費も検討できます。自社の敷地面積以上の太陽光発電を設置し、電気代削減効果を伸ばしたい時は、特にメリットがあります。

PPA業者など他社の太陽光発電は、小売電気事業者を通じた供給および購入しか選択できません。ただし、太陽光発電設備を無償で設置してもらえるため、自家消費より初期費用の負担軽減を優先している企業にメリットがあります。

自社の敷地に太陽光発電を設置できない方や太陽光発電の無償設置に関心を持っている方は、今回の記事を参考にオフサイトPPAを検討してみてはいかがでしょうか。

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