脱炭素経営を進めていくうえで欠かせないことといえば、環境関連の枠組みについて理解し、社内に取り入れていくことです。特にRE100とRE Actionは、自社の事業を長期的に成長および持続させるために重要だといえます。しかし、両枠組みは似た部分も多いため、違いや自社にどちらが適しているのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、RE100とRE Actionの特長や違いについて詳しくご紹介します。脱炭素経営に向けた取り組みを本格化させていきたい方や、環境関連の枠組みを理解した上で再エネ電源の検討などを進めていきたい方などは、参考にしてみてください。
RE100とRE Actionの違い
深刻化する地球温暖化問題の解決のため、世界中で脱炭素社会に向けた取り組みが行われています。ビジネスの世界においても、企業が事業活動の中で消費するエネルギーを再生可能エネルギーに転換することを促すイニシアチブとして「RE100」と「RE Action」があります。
「RE100」と「RE Action」にはどのような違いがあるのかを解説します。
対象の企業が異なる
「RE100」と「RE Action」では、その対象となる企業が異なります。「RE100」は世界的に認知されているような大手企業、「RE Action」は日本国内の団体や中小企業です。
再生可能エネルギー電力の目標が異なる
「RE100」と「RE Action」は共に、脱炭素社会に向けて消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーへ転換する取り組みを行っていますが、再生可能エネルギー電力の目標が異なります。
「RE Action」の目標は、2050年までに使用する消費電力を100%再生エネルギーに転換することです。
一方で「RE100」の参加企業は、期限を設けた目標を設定する必要があります。最小要件として、100%再生可能エネルギーへの転換を2050年までに達成、また2040年までに90%、2030年までに60%達成という中間の目標も設けられています。
運営事務局が異なる
「RE100」と「RE Action」では運営事務局も異なります。「RE100」は国際環境NGOがスタートさせたグローバルな企業の連合体で、The Climate Groupが運営を行っており、日本ではJCLP(日本気候リーダーズパートナーシップ)が窓口を担当しています。
「RE Action」はグリーン購入ネットワークやイクレイ日本などが協議会を構成して運営を行っており、事務局もグリーン購入ネットワーク内にあります。
RE100の特徴
RE100(Renewable Energy 100%)とは再生可能エネルギー100%を意味しています。国際的な企業連合である「RE100」の特徴について詳しく解説します。
対象企業は主にグローバル企業
「RE100」の対象は主にグローバル企業となっており、希望すれば参加できるわけではなく、下記の条件をクリアする必要があります。
- 事業で消費する電力が100GWh以上であること(日本企業は50Gwh以上)
- RE100の⽬的に利する国際的・地域的な影響⼒を持つこと
- 国際的または国内で認知度・信頼度が高いこと
- 主要な多国籍企業であること
これらの条件をクリアしていたとしても、次の業種については参加対象から外されています。
- 化石燃料
- 空港
- 軍需品
- ギャンブル
- たばこ
- 主要な収入源が発電事業である企業
目標は再生可能エネルギーを活用した電力調達
地球温暖化を防止するために、化石燃料エネルギーから再生可能エネルギーへの転換を行い、事業で消費する電力を2050年までには100%再生可能エネルギーで賄うことを目標としています。
具体的な再生可能エネルギーは、太陽光・水力・風力・地熱・バイオマスです。
RE100事務局へ連絡および申請手続きを進める
「RE100」への参加を希望する際には、RE100事務局に連絡し、申請手続きを行います。「RE100」の日本での窓口はJCLPが担当しています。
再エネ100宣言 RE Actionの特徴
2019年10月に日本独自の取り組みとして発足した「再エネ100宣言 RE Action」とは、どのような特徴を持っているのかを解説します。
対象企業は中小企業や団体
「RE100」はグローバルに活躍している大企業を対象としているため、条件を満たすことができない中小企業などは参加することができません。
そこで中小企業などを対象とした日本独自の枠組みとして「RE Action」が発足しました。「RE Action」に参加できる団体として、自治体・教育機関・医療機関・企業があります。
ただし、「RE100」の対象企業やメインの事業収入が発電・電力関連、全体の営業利益の50%以上が再生エネルギー設備事業の場合は、参加対象から除外されます。
2050年までに自社の使用電力を100%再エネ電力にする
「RE Action」では、2050年までに自社で使用する消費電力を100%再生エネルギーにすることを目標としています。2019年に発足した枠組みですが、現在では日本国内の中小企業を含めた230団体以上が「RE Action」に参加しています。
参加団体は、再生可能エネルギー促進に関する提言活動のへの賛同・実践に取り組むよう求められています。
再エネ100宣言 RE Action事務局へ連絡
「RE Action」に加盟するには、公式サイトから参加申し込みを行い、申込書の提出などが必要です。また、参加団体は自社の事業活動で消費した電力量と、再生可能エネルギー率の進捗について、毎年RE Action事務局へ報告を行うことが求められています。
RE100とRE Actionで共通している再エネ電力の調達
対象企業は異なるものの、持続可能な社会の達成のために、2050年度までに事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーへ転換するという目標は共通しています。
再生可能エネルギー電力の調達方法には。太陽光・水力・風力・地熱・バイオマスがあります。その中でも導入しやすい再生可能エネルギーについて詳しく解説します。
再生可能エネルギーの中で太陽光発電がおすすめ
自社の事業で消費するための再生可能エネルギーとしておすすめなのが太陽光発電です。
太陽光発電は太陽光をエネルギー源としています。企業の事業所が入っているビルや工場の屋根などに設置可能なので、基本的にどの地域にも導入しやすい再生可能エネルギーと言えます。
太陽光発電は非FIT型でかつ全量自家消費が重要
太陽光発電の設備には、固定価格買取制度であるFIT型と、固定価格買取制度を適用しない非FIT型があります。自社で消費する電力を再生可能エネルギーに転換するためには、太陽光で発電した全量を自家消費する非FIT型を導入します。
非FIT型はFIT型と比べて環境価値も高く、発電した全量を自家消費することで、燃料費の価格高騰の影響を受ける電気料金の節約にもつながります。
全量自家消費型太陽光発電ならデマンドカットも可能
企業が電力会社と契約する大口の産業用電気料金の場合、年間の最大電力使用量であるデマンドを基準として基本料金が決まります。
そのため、通常期には電力をあまり使用していなかったとしても、繁忙期や空調設備の利用が増える冬場や夏場などに使用量がピークになり、結果的に基本料金が高くなってしまうことも起こります。
しかし自家消費型の太陽光発電を導入すれば、デマンドカットができ、電気料金を大幅に削減することが可能となります。
国の補助金制度を活用しやすい
2050年のカーボンニュートラルへの達成に向け、日本では国家、企業をあげて取り組んでいます。そのため、脱炭素経営の推進となる自家消費型太陽光発電の導入には、環境省・経済産業省・地方自治体などの補助金を活用しやすくなっています。
枠組みの加入前でも企業価値アップにつながる
「RE100」と「RE Action」に参加していることは、環境対策に積極的に取り組んでいる姿勢をアピールすることができ、企業のイメージアップにも貢献します。
たとえ枠組みの加入前であったとしても、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入・投資を行っていることが環境経営に繋がり、企業価値が高まる可能性も大きくなるでしょう。
RE100とRE Actionには共通点も多いが参加条件など違いもある
「RE100」と「RE Action」は参加できる条件などに違いがあります。しかし、持続可能な社会の実現に向けた脱炭素への取り組みとして、自社事業で消費する電力を100%再生可能エネルギーへ転換する、という目標などは共通しています。
自社で消費する電力を再生可能エネルギーへと転換するためには、太陽光で発電した全量を自家消費できる非FIT型を導入することが重要です。
今回の記事を読み「RE Action」などの枠組みへの参加を検討している方、環境経営に興味をお持ちの方は、全量を自社で消費可能な自家消費型太陽光発電の導入をおすすめします。
和上ホールディングスは、創業から30年の実績およびノウハウにもとづき、自家消費型太陽光発電の企画から設計図の作成、機器の調達や設置工事、設置後の保守運用まで一括でサポートしております。
また、和上ホールディングスの自家消費型太陽光発電サービスには自己託送型もあるため、自宅や店舗から離れた場所に設置した太陽光発電から電気を送電し、電気料金削減効果や非常用電源として活用することも可能です。
自家消費型太陽光発電の導入を検討中の方や環境経営を始めたい方は、ぜひお気軽にお電話やメールフォームからお問合せください。