【2023年度版】電力会社の値上げ申請と実施時期は?影響についても

【2023年度版】電力会社の値上げ申請と実施時期は?影響についても

大手電力会社10社のうち7社で、電気料金の値上げを申請したと発表しました。物価高の影響を受ける個人だけでなく企業にとっても、電気料金の値上げは大きな痛手といえます。ただ、「電気料金の値上げ申請といっても、どのようなプランが値上げされるのか」、「法人向けプランも対象なのか」など、値上げの詳細についてわからない事業者もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、電力会社から発表された値上げ申請がいつから実施されるのか、その詳細や注意点、対策について詳しくご紹介します。高圧・特別高圧電力契約の値上げについて気になっている方や電気料金負担を軽減させながら事業を継続する方法を模索している方などは、参考にしてみてください。

電力会社は規制料金の値上げ申請を実施

まずは、規制料金に関する詳細や2023年時点の申請状況について1つずつ確認していきましょう。

規制料金は大手電力会社のみ運用

低圧電力向け電気料金プランのうち規制料金は、大手電力会社でのみ取り扱っています。規制料金とは、2016年4月1日の電力自由化以前から提供されている電気料金プランのことです。代表的な規制料金プランは、従量電灯制です。

電力自由化以降に提供されている自由料金プランとは異なり、値上げやサービス内容変更などの際に国の認可を受けなければいけません。

そのため、電気料金の高騰が続く時期では、自由料金より割安になりやすい側面もあります。

値上げ申請は認可が下りている

大手電力会社で行われている規制料金の値上げ申請は、2023年3月時点で許可されています。以下に値上げ申請を行った大手電力会社や値上げ時期を紹介します。

電力会社 値上げ情報
北海道電力 値上げ申請済み:2023年6月1日に値上げ予定
値上げ率:平均34.87%
東北電力 値上げ申請済み:2023年4月1日に値上げ予定
値上げ率:平均32.94%
東京電力 値上げ申請済み:2023年6月1日に値上げ予定
値上げ率:平均29.31%
中部電力 値上げ申請なし:託送料金の値上げ、2023年4月から
値上げ幅:平均的な家庭の場合、109円
北陸電力 値上げ申請済み:2023年4月1日に値上げ予定
値上げ率:平均45.84%
関西電力 値上げ申請なし:託送料金の値上げ、2023年4月から
値上げ幅:平均的な家庭の場合、92円
中国電力 値上げ申請済み:2023年4月1日に値上げ予定
値上げ率:平均31.33%
四国電力 値上げ申請済み:2023年4月1日に値上げ予定
値上げ率:平均28.08%
九州電力 値上げ申請なし:託送料金の値上げ、2023年4月から
値上げ幅:平均的な家庭の場合、250円
沖縄電力 値上げ申請済み:2023年4月1日に値上げ予定
値上げ率:平均28.08%

規制料金の値上げ申請を行っている大手電力会社は、10社中7社です。特に値上げ率の高い規制料金は北陸電力で、平均45.84%もの負担増加が予定されています。

規制料金の値上げ申請を行っていない関西電力と九州電力、中部電力は、託送料金の値上げを実施する予定です。託送料金とは、電力の送配電にかかるコストのことです。他の規制料金と比較すると値上げ幅は小さいものの、少なくとも電気料金の負担増加につながっています。

値上げ申請の背景

大手電力会社の多くが規制料金の値上げ申請を行う背景には、電力の供給力や需給バランス、ウクライナ侵攻など複数の要因が関係しています。特にウクライナ侵攻による影響は、電気料金や物価高などの大きな原因です。

日本のベース電源は、火力発電所と原子力発電所です。しかし原子力発電所のほとんどは、東日本大震災以降に稼働を停止しています。

そのため、2023年時点のベース電源は火力発電所です。火力発電所のタービンを回すためには、燃料を調達しなければいけません。日本の場合は、石油、石炭、天然ガスといった燃料を輸入に頼っているため、国際価格の変動によって大きな影響を受けてしまいます。

そんな折、2022年にロシアによるウクライナ侵攻が始まってしまい、天然ガスと石油、石炭の国際価格は上昇し続け、大手電力会社の燃料調達コストも高止まりの状態です。

これまで燃料調達コストの多くは大手電力会社で負担していたものの、業績悪化につながっていました。また、これ以上電気料金が据え置かれ続けてしまうと、事業の継続が困難になってしまいます。そこで大手電力会社の多くは、規制料金の値上げに踏み切りました。

自由料金は値上げ申請不要なので、すでに値上げされている

大手電力会社や新電力の自由料金については、規制料金と異なり、国の申請不要でサービス内容や値上げ・値下げなどが行われています。

また2023年時点で自由料金の多くは、基本料金と電力量料金の値上げ、燃料費調整額の値上げ、電力量料金のみ値上げなど、プランによって違いはあるものの値上げ方向で変更されている状況です。

さらに一部のプランでは新規受付停止といったケースもあり、電気料金プランの乗り換えが難しい状況に変わりつつあります。

高圧・特別高圧電力の電気料金も見直される

高圧・特別高圧電力向け電気料金プランについても、低圧電力と同じく見直されています。関西電力以外の9社は、高圧・特別高電力の電力量単価値上げ、燃料費調整額の上限見直し、電気料金の計算方法変更といったさまざまな変更を2023年4月頃に行う予定です。

そのため、法人は春以降の電気料金値上げに備えて、どれだけ負担が増えるのか、対策によっていくら固定費を削減できるのかを計算したり、準備を進めたりしておく必要があります。

政府では値上げに伴う負担軽減措置を実施

政府では、今後予定されている電気料金やガス料金の大幅な値上げによる国民負担を軽減するために電気・ガス価格激変緩和対策を発表しました。

内容は、低圧と高圧電力向け電気料金とガス料金を一定期間値引きしてもらえるというものです。

各料金は、2023年1月使用分から値引きされています。たとえば、規制料金の電気使用量200kWhなら値引き額は1,400円です。2023年9月まで適用されるので、その間に固定費の予算を確保したり電気料金の削減方法についての方針を決めたりしやすいといえます。

種別 料金
低圧の電気料金 2023年1月分~8月分:電力量料金1kWhあたり7円の値引き
2023年9月分:電力量料金1kWhあたり3.5円の値引き
高圧の電気料金 2023年1月分~8月分:電力量料金1kWhあたり3.5円の値引き
2023年9月分:電力量料金1kWhあたり1.8円の値引き
ガス料金 2023年1月分~8月分:電力量料金1㎥あたり30円の値引き
2023年9月分:電力量料金1㎥あたり15円の値引き

なお、特別高圧電力向け電気料金は値引きの対象外です。特別高圧電力を契約している場合は、より節電や省エネ対策などへ注力する必要があります。

電気料金値上げへの対応策

電気料金の規制料金、高圧・特別高圧電力を利用している方は、これから値上げの影響を受けてしまいますし、自由料金を利用している方はすでに影響を受けています。

特に企業の場合は1ヵ月あたりの電気料金の負担が大きく、値上げによる影響を少しでも避けたいところです。

そこでここからは、企業が取り組める電気料金の値上げ対策を紹介していきます。

全社を挙げて節電活動に取り組む

すぐに始められる電気料金削減方法といえば、全社を挙げた節電活動です。電気使用量を抑えられれば、その分電気料金を削減できます。

また、高圧電力契約の中でも500kW未満の場合は、最大デマンド値を抑制することが可能です。デマンドとは30分ごとの電力使用量を指しています。最大デマンド値とは、過去12ヵ月のデマンド値の最も高い値のことです。電気料金の基本料金は、最大デマンド値をベースに決められます。なお、契約電力500kW以上の場合の基本料金は、電力会社と需要家の間で協議によって決められる仕組みです。

以下に、主な節電方法を紹介します。

  • 照明の使用時間を短縮する
  • 照明の明るさを調整
  • 空調の温度設定を調整して電力使用量を削減
  • クールビズなどで空調の使用頻度を抑える
  • オフィスにブラインドを導入して空調の利用頻度を抑える
  • OA機器の明るさを抑える

工場や倉庫の場合は簡単に空調の温度を調整できないものの、オフィスなら消費電力を抑えられる可能性があります。

省エネ性能の高い事務用機器や生産設備の導入

省エネ性能の高いOA機器や生産設備、事務用機器を導入してみることが、消費電力および電気料金の削減につながります。

以下に省エネ性能の高い製品へ切り替えられるケースを紹介します。

  • 白熱電球をLED照明に変える
  • 人感センサー付き照明を導入
  • コンプレッサーにインバータを導入
  • キュービクルに台数制御といった制御設備を追加
  • 省エネ性能をアップさせるためには、さまざまな設備投資や古い機器の交換など、手間と費用もかかります。そのため時間や資金に余裕がないと、実行するのは難しいといえます。
  • 設備投資にかかる負担をなるべく抑えながら電気料金を削減したい時は、次の項目で紹介する全量自家消費型太陽光発電を検討してみてください。

    全量自家消費型太陽光発電の導入

    全量自家消費型太陽光発電を導入すれば、電気使用量の削減量が小さい場合や、これまでと同じ電気使用量でも電気料金を削減できます。

    全量自家消費型太陽光発電は、太陽光発電で発電した電気を自社のオフィスや倉庫、工場など、あらかじめ接続させておいた設備や建物内で使用することができます。

    自家消費した分の電気料金は電力会社に支払う必要がなくなるため、節電より大幅な電気料金削減効果を得られるでしょう。

    全量自家消費型太陽光発電が特におすすめの理由

    最後は、全量自家消費型太陽光が電気料金削減策としておすすめの理由を紹介していきます。

    電気料金削減効果が高い

    電気料金の削減効果が高い点は、全量自家消費型太陽光の強みです。節電の場合は、電気の使用量を抑える必要があります。省エネ機器は、電気使用量の削減につながるものの大幅な削減が難しいところです。

    一方、全量自家消費型太陽光の場合は、通常どおりに機器を使用しても電気料金削減効果を得られますし、太陽光パネルの設置枚数によっては年間30%から50%程度の電気料金を抑えることが可能です。

    弊社和上ホールディングスでは、全量自家消費型太陽光発電の設計から施工、運用保守までサポートしています。また、電気料金削減事例もご紹介いたしますので、お気軽にご相談ください。

    補助金制度で導入費用を抑えられる場合も

    全量自家消費型太陽光発電の導入費用は、補助金制度を利用することもできます。

    たとえば、「新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業」という国の補助金制度は、ソーラーカーポート、ソーラーシェアリング、水上型太陽光発電導入時に導入費用から2分の1もしくは3分の1に相当する補助金を交付してもらえます。(上限1,000万円)

    また、「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」なら自家消費型太陽光発電と蓄電池の導入で、導入費用から3分の1程度の補助金を受けられます。

    このように法人向けの補助金制度は多数実施されているので、経済産業省や資源エネルギー庁から補助金制度の内容を確認してみてください。

    脱炭素経営につながり企業価値アップ

    全量自家消費型太陽光発電を導入すれば二酸化炭素排出量を大幅に削減できるため、脱炭素経営や企業価値アップにもつながります。

    多くの投資家や企業は、脱炭素経営やカーボンニュートラル、環境対策といった点に力を入れている企業を評価し始めています。

    全量自家消費型太陽光発電は、導入および稼働するだけで二酸化炭素排出量を直接削減できます。また、数10kWという比較的小規模の太陽光発電でも、年間数万kgの二酸化炭素削減効果を見込めます。

    脱炭素経営の足掛かりとして、全量自家消費型太陽光発電は取り組みやすい方法といえます

    値上げ申請は家庭向け電気料金プランで実施される!

    値上げ申請は、大手電力会社10社のうち7社で実施される予定です。また、値上げ申請の対象プランは、従量電灯制といった規制料金です。高圧・特別高電力向け電気料金プランは、値上げ申請とは別に電気料金やサービス内容が見直されます。

    電気料金の値上げによる負担を少しでも軽減させたい方や電気料金負担だけでなく脱炭素経営についても悩んでいる方は、今回の記事を参考にしながら全量自家消費型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか?

    弊社和上ホールディングスでは、全量自家消費型太陽光発電の企画から設計、施工、保守運用まで一括サポートしています。お客様のご要望や予算に応じて、設置方法(地上設置、屋根設置など)や太陽光パネルの枚数、メーカー、太陽光パネルの設置角度など、さまざまな点からご提案することが可能です。

    少しでも太陽光発電の電気料金削減効果に関心をお持ちの方は、メールフォームやお電話からお気軽にご相談ください。

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