ポジティブゾーニングの特徴!太陽光発電との関連性についても解説

ポジティブゾーニングの特徴!太陽光発電との関連性についても解説

国では、カーボンニュートラル達成に向けてさまざまなエネルギー政策を進めています。中でもポジティブゾーニングは、太陽光発電の設置運用を行う企業にとって大きく関係している取り組みです。しかし認知度の高い取り組みとはいえないため、詳細や影響についてよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ポジティブゾーニングの意味や特徴、太陽光発電事業への影響や対策について詳しくご紹介します。ポジティブゾーニングついて最近知ったもののよくわからないという方や、太陽光発電事業を検討している方などは、参考にしてみてください。

ポジティブゾーニングとは?

まずは、ポジティブゾーニングの意味についてわかりやすく紹介していきます。

自治体が再エネの導入区域を設定できる環境省の推進策

ポジティブゾーニングとは、環境省によって作られた政策の1つです。

自治体は、都市計画を作成する際にゾーニングという地域の区分けを行っています。具体的には、住宅地や工場区域など、用途に応じて整理します。

しかし、再生可能エネルギーのゾーニングに関する統一されたルールはありません。そこで環境省は、再生可能エネルギーの導入区域を積極的に進められるポジティブゾーニングという政策を作りました。

自治体側は再生可能エネルギーの促進区域を決定し、区域内で再生可能エネルギー事業を展開できるよう地元の合意形成に関するサポートを行います。また環境省令や環境配慮基準などをベースに、再生可能エネルギーの設置に適していない区域を調査し、再生可能エネルギー事業が展開されないよう対策を進めていきます。

改正温対法に関する取り組みの1つ

ポジティブゾーニングは、「地球温暖化対策の推進に関する法律(改正温対法)」の中で考えられた推進策の1つです。

地球温暖化対策の推進に関する法律は2021年5月に改正され、カーボンニュートラル宣言などを反映させた基本理念に変更したほか、企業や地域の脱炭素化推進といった新たな目標や目的が定められています。

自治体に対しては、温暖化対策実行計画の策定が義務付けられました。具体的には、再生可能エネルギーの導入量に関する目標やポジティブゾーニングの範囲です。

また企業は、自治体窓口へ再生可能エネルギー事業計画を提出して認可を受ければ、その他の許認可手続きを窓口一本で進められます。

脱炭素先行地域との違い

ポジティブゾーニングと脱炭素先行地域では、再生可能エネルギーの地域区分に関する方法で異なる部分があります。

脱炭素先行地域とは、全国100ヶ所に指定された脱炭素を優先的に進める地域のことです。具体的には、2025年までに脱炭素化へ向けた具体的な対策を完成させ、2030年に達成させるという内容です。

街や区といった小さなエリアが指定されているので、ポジティブゾーニングより範囲の小さな枠組みといえます。また自治体主導ではなく、企業の二酸化炭素排出量をゼロにさせる方向性なので、考え方も異なります。

一方、ポジティブゾーニングは自治体全体の脱炭素化を進める政策で、指定されるエリアが脱炭素先行地域より広いケースもあります。

なぜポジティブゾーニングが設定された?

ポジティブゾーニングの意味を把握したあとは、設定された理由について確認していきましょう。

森林伐採といった環境負荷を抑えるため

環境省は、再生可能エネルギー設備の設置に伴う森林伐採といった環境問題および負荷を抑えるため、ポジティブゾーニングを作成しました。

2050年の脱炭素目標を達成するには、メガソーラーをはじめとした大規模な再生可能エネルギー設備の設置も欠かすことができません。しかし山林の開拓や森林伐採なども必要になるため、生態系に影響を及ぼす可能性があります。

自治体側が生態系の保護すべきエリアや環境負荷を抑えるべきエリアなどを確認し、ポジティブゾーニングを設定すれば、環境負荷の軽減につながります。

地域住民との合意形成を進めるため

ポジティブゾーニングは、地域住民と企業の合意形成をスムーズに進めるために制定されたという側面もあります。

たとえば、メガソーラーを設置するには広大な遊休地や山林などを造成しなければいけません。しかし地域住民の中には、「外部の人が勝手に土地を荒らしている」、「開発したあとの影響がわからず怖い」といった感情を抱く住民も出てしまいます。

そこで自治体がポジティブゾーニングを行い、再生可能エネルギー設備の設置や運用を行っても問題ないエリアであることを地域住民に示せば、理解が得られる可能性が高くなります。

経済産業省主導の取り組みではエネルギー目標達成が難しい

経済産業省や国主導の取り組みだけでは脱炭素目標の達成が難しいため、自治体に対してポジティブゾーニングをはじめとしたさまざまな取り組みや義務を定めています。

2012年にFIT制度が設立されたことで、太陽光発電の導入量は急激に増加しました。しかし、各地域の環境や地盤状況を無視した開発などでトラブルや事故が発生し、太陽光発電の導入量にブレーキもかかっています。

自治体独自でポジティブゾーニングを行えば、地域住民や環境への影響を抑えながら再生可能エネルギーを誘致できますし、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギー設備の導入量増加につながる可能性があります。

各省庁でさまざまなエネルギー基本計画へ参画

各省庁では、ポジティブゾーニング以外にもさまざまな再生可能エネルギー政策や基本計画を立ち上げています。

国交省の場合は、全国の空港に再生可能エネルギーを導入し、2.3GWクラスの設備運用を検討しています。経済産業省では、2030年までに太陽光発電の導入量を増やす目標を策定し、累積導入量を88GWと試算しました。

環境省は、2.1GWの太陽光発電を2030年度までに導入することを発表したり、民間企業へ自家消費型太陽光発電の設置を推進したりと、積極的に太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入を進めている状況です。

企業は国や自治体の動きを見逃さず、太陽光発電の導入について検討してみるのが大切です。

企業は太陽光発電導入にあたってどうすればいいのか

太陽光発電の導入を検討している企業は、ポジティブゾーニングの設定されたエリア確認だけでなく、設置場所の環境やFIT認定などについて定めておく必要があります。

そこでここからは、太陽光発電導入にあたってまず決めておくべきポイントを確認していきましょう。

設置場所を決める

太陽光発電を安全かつ効率的に運用するには、設置場所の環境を慎重に見極める必要があります。

1つは、ポジティブゾーニングや自治体の条例によって制限されていない地域から設置場所を検討していくことです。自治体の条例によって制限を受けている地域は、災害やその他の理由から危険とみなされています。

他には、災害ハザードマップで設置候補地の災害リスクを把握しておくことも重要です。日本は災害大国でもあるため、河川の氾濫による水害、地震被害、津波、火山、風災など、さまざまな被害に見舞われやすい環境です。

そのため、国や自治体の災害ハザードマップなどで設置候補地のリスクを確認しておけば、設置後の事故リスクや有効な防災対策を整理できます。

FIT認定を受けるかどうか決めておく

太陽光発電を運用する前にFIT認定を受けるか決めておくことは、太陽光発電事業において重要なポイントです。

FIT制度とは、再生可能エネルギー由来の電力を一定期間固定単価で買い取ってもらえる制度です。出力10kW以上の産業用太陽光発電の場合は、FIT認定年から20年間固定単価で電力を買い取ってもらえます。

アグリゲーターと契約して電力供給量の調整を行ったり、インバランスコストを支払ったりといった負担を避けたい場合は、FITの方がいい場合もあります。

一方、非FIT型太陽光発電はFIT認定を受けないため、制度の変更や規制による影響を受けずに済みます。また、自家消費を優先させたり、アグリゲーターを介して電力供給を行ったりするなど方針変更しやすく、なおかつさまざまな活用方法を検討できます。

非FIT型太陽光発電とFIT型の違い

FIT型太陽光発電は固定買取価格で売電可能というシンプルな方式なので、FIT型による運用を前提として考える企業も多いかと思います。

一方の非FIT型太陽光発電は、中長期的に考えてメリットの多い運用方式で、かつさまざまなメリットを得られます。

それでは、非FIT型太陽光発電とFIT型の違いについてわかりやすく紹介していきます。

非FITは「環境価値+電力」を扱える

非FIT型太陽光発電は、FIT認定を受けていないというだけでなく、環境価値という点でも大きな違いがあります。

非FIT型太陽光発電を運用する場合、日本卸電力取引所(JEPX)や相対取引で環境価値を売却することが可能です。

FIT型の再生可能エネルギーで発電された電力の買取コストは、大手電力会社に負担してもらえます。また買取コストの一部は、再エネ賦課金でカバーされています。

そのため、FIT型の再エネ電力に含まれる環境価値は、再エネ賦課金の負担という形で国民に付与されています。

つまり、FIT型太陽光発電で発電された電力には環境価値が残らず、火力発電や原子力発電と同じく電力としての価値しかありません。

非FIT型太陽光発電に電力会社の買取義務は発生しないため、「環境価値+電力」を保ったまま自家消費や売電を進められます。

FIT制度より高い単価で売電できる可能性がある

非FIT型太陽光発電で小売電気事業を行う場合は、FIT型太陽光発電より高い単価で売電できる可能性があります。

FIT型太陽光発電の買取価格は常に一定です。たとえば2023年度にFIT認定を受けた場合は、1kWhにつき10円(出力10kW以上50kW未満)の単価で20年間売電できます。

一方、非FIT型太陽光発電の電力価格は市場の需給状況によって変動するため、固定買取価格より高い単価で売電できるケースもあります。

より企業価値を高められる

非FIT型太陽光発電を設置すると、FIT型太陽光発電より企業価値を高められる場合があります。

前段で解説したように、FIT型太陽光発電で発電した電気には環境価値が残されていません。そのため、「環境価値+電力」の必要なRE100(Renewable Energy 100%)という国際的イニシアチブへ加盟できません。

非FIT型太陽光発電を設置した場合は環境価値を保った電力を扱えます。RE100や「再エネ100宣言 RE Action」といった、非FIT電力の必要な枠組みに加盟申請することが可能です。

環境関連への枠組みに加盟できれば、その分自社のイメージアップにつながるだけでなく、企業や投資家からの評価アップといったメリットも得られます。

これからはポジティブゾーニングを把握した上で再エネ事業を進めよう!

ポジティブゾーニングは、環境省によって作成された再生可能エネルギー推進策の1つです。再生可能エネルギーの導入区域を自治体が独自に設定できるのが、ポジティブゾーニングの特徴といえます。

脱炭素化へ向けて再生可能エネルギーの導入を検討している方や、脱炭素経営の方法を模索している方は、今回の記事を参考にしながら非FIT型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか。

弊社とくとくファーム0では、非FIT型太陽光発電の電力や設備の導入支援を行っています。非FIT型太陽光発電由来の電力を必要としている場合は、太陽光発電事業者から電力供給してもらうためのサポートを行います。また太陽光発電設備を設置したい場合は、非FIT型太陽光発電物件の売買仲介、新規設備の設計から設置工事まで対応いたします。

非FIT型太陽光発電に関して少しでも気になる方は、お電話やメールからお気軽にご相談ください。無料の個別セミナーでは、脱炭素経営や太陽光発電事業に関する基本を丁寧に説明いたします。

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