e fuel(イーフューエル)は、脱炭素化とインフラ設備のコスト削減という点で期待されているエネルギーです。運輸業やエネルギーの製造を行っている企業は、特に確認しておくべき内容です。
そこで今回は、 e fuelの意味や特徴、実用化に向けた動きについて詳しくご紹介します。脱炭素経営につながるエネルギーを開発している方や再生可能エネルギー事業を模索している方などは、参考にしてみてください。
e fuelとは何?
「e fuel」とは、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの電力で水を電気分解して水素(H2)を取り出し、二酸化炭素(CO2)と合成することで化石燃料の代替えになるよう開発された燃料です。
合成燃料には気体合成燃料と液体合成燃料がありますが、「e fuel」はCO2と再生可能エネルギー由来の水素(H2)により製造された液体合成燃料です。
燃焼するとCO2を排出しますが、大気中から回収したCO2や工場から排出されたCO2を元に作られているため、カーボンニュートラルな脱炭素燃料として注目されています。
e fuelの作り方
合成燃料の中でも「e-fuel」と呼ばれるのは、再生可能エネルギー由来の水素(H2)を用い、二酸化炭素(CO2)と合成して製造した燃料です。
具体的には、再生可能エネルギーの電力で水(H20)を電気分解して水素(H2)を取り出し、大気中や工場などから排出されたCO2と合成して製造します。
e fuelの実用化へ向けた動き
e-fuelの実用化に向けては、欧米諸国を中心にさまざまな国や企業が取り組んでいます。その中でも特に自動車メーカーは、電気自動車(EV)の普及に加え、e-fuelの開発にも力を注いでいます。
ドイツの自動車会社Audiは2017年に研究施設を設立し、e-gas(eガス)・e-diesel(eディーゼル)・e-gasoline(eガソリン)といったe-fuelの開発にいち早く取り組んでいます。2018年にはエンジンテストとして、e-gasolineの60リットル生産に成功しました。
ポルシェもeFuelsプロジェクトを推進しており、風力発電を用いたe-fuelの生産を開始するため、チリにe-fuelのパイロットプラントを建設しています。
日本国内においては、合成燃料の開発・実証について2030年までに高効率で大規模な製造技術を確立すること、2030年代には導入を拡大しコストを低減すること、2040年までには自立商用化を目指すことを経済産業省が示しています。
また、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどの民間の自動車メーカーもe-fuelの開発や関連技術の研究に積極的に取り組んでいます。
e fuelのメリット
国や大企業が研究開発に取り組んでいるe fuelには、どのようなメリットがあるのでしょうか。e fuelを活用する場合のメリットについて、詳しく紹介します。
エネルギーの密度が高く効率のいい燃料
液体の合成燃料であるe fuelは、石油由来の燃料と同等のエネルギー密度を持っています。水素ガスやEVと比べエネルギー密度が高いため、同じ体積や重量の燃料でもより多くのエネルギーを提供できます。
そのため燃焼時の効率が高く、熱エネルギーを最大限に利用できる優れた燃料だと言えます。
ガソリン車にも使用できるため既存のインフラ設備で環境負荷低減を実現
e fuelは合成の液体燃料で、ガソリンとエネルギー密度がほぼ同じです。そのため、すでにガソリン車でも使っている既存のインフラ設備を利用することが可能です。
EV車などと異なり、新しくインフラを整備する必要がないということは、環境負荷低減に貢献しているとも言えます。
不純物が少ないため貯蔵タンクの腐食を抑えやすい
一般に石油由来の燃料には硫黄や酸化物などの不純物が含まれており、貯蔵タンク内の金属に蓄積し、腐食を引き起こすおそれがあります。
しかしe fuelは合成の際に不純物が取り除かれるため、石油由来の燃料よりも不純物の含有量が少なく、貯蔵タンクの腐食を抑えやすいとされています。
液体燃料なので供給しやすい
水素ガスなどの気体燃料と比較しても、液体燃料であるe fuelは輸送や貯蔵などが容易だと言えます。
またガソリンなどと同様に、e燃料もタンクトラックやパイプラインなどを通じて需要地に供給することができます。
e fuelの課題
環境にやさしい次世代の燃料として注目されているe fuelですが、実用化には多くの課題が残されています。どのような課題があるのか、詳しく解説します。
燃料コストが高く実用的ではない
e fuelは再生可能エネルギーの電力を用いた、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)の合成燃料です。しかし合成する燃料であるCO2の回収や分離、H2の製造と輸送にコストがかかります。
現在のところ、1リットルあたりの製造コストは200〜700円と言われており、ガソリンと比較しても大きなコストの差があります。そのため、実用化するには製造コストを下げることがとても重要になります。
e fuelの製造技術はまだ発展途上であることから、将来的な技術の進歩によりコスト競争力が向上する可能性があります。
二酸化炭素の貯留技術と施設の拡充が必須
地球温暖化に対し、国際社会全体でカーボンニュートラルの実現に向けてe fuelが新しい燃料として期待されています。そのためには、CO2排出を削減することが求められており、CO2の貯留技術が必要です。
CO2貯留技術は、燃料の製造やその後の使用過程で発生するCO2を回収・分離し、地下や他のストレージ方法で安全かつ永久的に貯留する技術を指します。
CO2を貯留することで、燃料のライフサイクル全体でのCO2排出量を削減することが可能になることから、貯留技術を高めていく必要があります。
またe fuelの製造技術はまだ実験段階であり、今後商業生産を行っていくには、製造施設を拡充することが必要不可欠です。
生産効率が低い
e fuelの解決すべき大きな課題の一つが、生産効率の低さです。e fuelの製造にはCO2からO2を取り除くことや、CO2からCOに転換させるために大きなエネルギーが必要で、最適な触媒を新たに開発する必要があります。
そのため生産効率の向上に向けた研究開発が進んでおり、新たな技術やプロセスの開発が行われています。技術革新や工程改良により将来的には生産効率が改善され、e fuelの実用化や普及が進むことが期待されています。
今すぐ導入可能なクリーンエネルギーは非FIT型太陽光発電!
新しい技術であるe fuelの実用化にはまだ時間が必要ですが、今すぐにでもクリーンなエネルギーを導入したいと検討している場合には、非FIT型太陽光発電の導入がおすすめです。非FIT型太陽光発電を導入するメリットについて説明します。
環境価値+電力を活用できる
国民が費用を一部負担しているFIT制度を活用する太陽光発電と異なり、非FIT型太陽光発電は100%再生可能エネルギーであると認定されており、環境価値が高いエネルギーであると言えます。
非FIT型太陽光発電を導入することで、環境価値が高い電力を全て自社で消費できます。さらに環境意識の高い会社であると評価されますし、値上げが続いている電気料金の削減にもつなげられます。
自家消費によって二酸化炭素排出量を削減
非FIT型太陽光発電は、基本的に発電した電力を全て自家消費します。自家で発電した電力を利用することで、電力会社からの買電の量を減らすことができます。
電力会社での発電方法の中には、CO2を排出する化石燃料を使った火力発電なども含まれることから、太陽光発電による自社消費により二酸化炭素の排出量の削減につなげることができます。
企業価値の向上につながる
地球温暖化が世界的にも深刻な状況になっていますが、企業が経済活動をする中でエネルギーを使用することは避けられません。そのため、企業もCO2削減などの環境対策を積極的に行っていくことが求められています。
非FIT型太陽光発電を導入し、自社で使用するエネルギーを可能な限りクリーンな電力にすることで、環境対策に積極的に取り組んでいるというアピールとなり、企業価値の向上につなげることができます。
e fuelは次世代エネルギーとして注目!太陽光発電事業とも関連性が高い!
e fuelは化石燃料に代わる次世代エネルギーとして注目を浴びています。合成燃料であるe-fuelの製造には、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー由来のH2が必要です。
技術革新や工程改良により将来的には生産効率が改善され、e fuelの実用化や普及が進むことが期待されていますが、実用化がまだ難しいのが現状です。環境経営を検討している場合には、今すぐ導入可能なクリーンエネルギーである非FIT型太陽光発電がおすすめです。
弊社とくとくファーム0では、需要が高まっている非FIT型太陽光発電設備の売買仲介および運用サポートを行っています。FIT制度に頼らない太陽光発電は、環境価値という点でも優れています。
環境経営・脱炭素経営に興味をお持ちの方は、この機会にお問い合わせフォームやお電話からお気軽にご相談ください。