長期脱炭素電源オークションとは?対象や仕組みについて解説!

長期脱炭素電源オークションとは?対象や仕組みについて解説!

経済産業省の資源エネルギー庁では、火力発電所の経年劣化による故障や原子力発電所の停止、燃料費高騰による電力供給力の低下に対応するため、脱炭素型の電源を普及促進させる制度「長期脱炭素電源オークション」の開始を目指しています。同制度は、2023年度から始まる予定で、一定の容量を満たす再エネ電源に対して支援が行われます。

そこで今回は、長期脱炭素電源オークションの概要や要件、太陽光発電を導入したい事業者にとってのメリットや課題について詳しくご紹介します。太陽光発電事業を展開するために補助金制度や支援制度を探している方や、脱炭素経営に向けて支援制度を活用していきたい方などは参考にしてみてください。

長期脱炭素電源オークションとは?

長期脱炭素電源オークションとは、2023年中にスタート予定の新たな制度です。世界的な環境問題である地球温暖化を防止するために、世界各国が温室効果ガスを発生させないクリーンエネルギーへの転換を目指しています。

日本においても2050年までのカーボンニュートラルを表明しており、長期脱炭素電源オークションは脱炭素電源への新規投資を促すことや、電気の安定供給のための電力不足の改善を目的としています。

オークションにて入札を行い、落札された電源に対して原則20年の長期にわたり収入の予見可能性を与えることで、脱炭素電源に対する巨額の新規投資を促します。

長期脱炭素電源オークションが実施される背景

現状でも再生可能エネルギーを支援する制度として、FIT制度(固定価格買取制度)やFIP制度(フィードインプレミアム)があります。

なぜ新たな長期脱炭素電源オークションを開始する必要があるのでしょうか。長期脱炭素電源オークションが実施される背景について詳しく説明します。

電力の安定供給に関するリスクが生じている

近年、供給可能な電力量の上限に電気需要量が迫る「電力ひっ迫」のリスクが高まっています。電力需要が供給量を超えた場合には、電力会社が電気を供給しているエリア全体が停電となるブラックアウトを起こす可能性があるのです。

電力の安定供給のためには、発電量と需要量のバランスを合わせる「同時同量」が原則となっており、バランスが崩れると周波数に乱れが生じ、大規模停電へとつながるおそれがあります。

FIT制度やFIP制度により再生可能エネルギーの普及は進んでいますが、再生可能エネルギーは天気や天候などに発電量が左右されるため、発電コントロールが難しいのが現状です。

そのため再生可能エネルギーを活用するには、火力発電などの発電量コントロールが可能な既存の発電所が「同時同量」のバランス保持のためには大切です。

しかし、火力発電所などの既存設備の老朽化により電源の廃止が増える中、脱炭素の流れにより火力発電所などCO2を排出する設備への新規投資の停滞が起こっており、電力供給量の低下が問題となっています。

脱炭素電源は収支の見通しが難しい

日本が掲げている2050年のカーボンニュートラルの目標達成には、急速に大規模な再生可能エネルギー発電所を増加させる必要性があります。

大規模な新規発電所の新設には巨額の投資が必要ですが、電力の自由化による競争の激しさや、FIT制度の売電価格の下落などにより投資回収の見通しが難しくなっています。

そのため、原則20年の長期にわたり収入の予見可能性を付与することで、脱炭素電源に対する巨額の新規投資を促すための「長期脱炭素電源オークション」が実施されます。

長期脱炭素電源オークションの要件

長期脱炭素電源オークションでの入札にあたっては、定められた要件を満たす必要があります。対象の電源や入札容量など、詳しい要件について解説します。

対象の設備は再エネ電源と一部の火力発電

長期脱炭素電源オークションは、発電時や供給する際にCO2を出さない脱炭素電源への新規投資を目的としています。

カーボンニュートラルの目標を達成するために、再生エネルギー・原子力発電・蓄電池などの脱炭素電源が対象となっており、蓄電池以外は新設・リプレース案件が対象です。

火力発電については、水素やアンモニアの混焼する設備や、バイオマスを専焼する設備への改修であれば対象に含まれます。

最低入札容量は10万kW

長期脱炭素電源オークションには入札容量の要件もあり、対象の電源により最低入札容量が変わります。

再生可能エネルギー発電や揚水発電、既設の火力発電をバイオマス専焼へ改修する場合などの新設・リプレース案件については、最低入札容量が10万kWとなっています。

既設の火力発電であっても、バイオマスではなくアンモニアや水素の混焼への回収案件については、最低入札容量は5万kWです。蓄電池については最低入札容量が1万kWとなっています。

募集容量と上限

2021年度の市場で最も多い割合を占めているのは化石電源で、約1.2億kWと全体の調達量の7割を占めています。

1.2億kW分の化石電源のすべてを脱炭素電源へ転換する場合、年平均にすると600万kW程もの導入が必要です。

しかし、近年の技術イノベーションにより効率的な導入ができる可能性も加味し、2023年度の初回においてはスモールスタートで、募集容量は400万kWとなっています。

電源の種別によって一定の上限枠が設けられており、既存の火力電源の改修案件、蓄電池と揚水発電の上限はそれぞれ100万kWとされました。

2024年度以降についての募集容量は、初回の落札電源の状況やイノベーションの動きを考慮しながら検討されることになるでしょう。

入札価格の算定方法は応札価格

長期脱炭素電源オークションでは、入札を行う事業者が電源の応札容量を自身で定め、kW当たりの価格で入札に参加します。

入札価格の低い事業者の案件から落札されていき、募集容量を上回るまで案件が順番に落札されていきます。

入札参加者が自ら定めた価格が適用となるマルチプライスオークションとなっており、入札参加時に定めた価格に応札容量を掛けた金額を元に、容量支払いを受け取ることができます。

入札価格には、建設費・系統接続費・廃棄費用・運転維持費などを織り込むことが可能です。

長期脱炭素電源オークションは、大規模な再生可能エネルギーの新設発電所を目的とした支援制度となっています。中小規模の再生可能エネルギー電源でも活用できる支援制度について紹介します。

企業向けには国の補助金制度で負担を軽減可能

日本政府が目指す2050年のカーボンニュートラルの達成のため、企業に向けても再生可能エネルギーの導入を促す下記のような国の補助金制度が設けられています。

  • ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
  • 再生可能エネルギー事業者支援事業費(ソーラーカーポート)・価格低減促進事業
  • 需要家主導による太陽光発電導入促進補助金

住宅用太陽光発電の補助金は自治体独自で実施されている

住宅用の太陽光発電の導入には、自治体が独自で行っている下記のような補助金制度があります。

東京都:災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業

埼玉県:住宅における省エネ・再エネ設備導入支援事業補助制度

堺市:スマートハウス化等支援事業補助金

公募を行っている期間・対象の条件・補助される金額などは各自治体によって異なるため、太陽光を設置する地域の補助金について確認する必要があります。

長期脱炭素電源オークションは大規模発電所を設置したい事業者におすすめ!

長期脱炭素電源オークションとは2023年開始される、脱炭素電源への新規投資を促すことや、電気の安定供給のための電力不足の改善を目的とした新たな制度です。

オークションにて入札を行い、落札された電源に対して原則20年の長期にわたり収入の予見可能性を与えることで、脱炭素電源に対する巨額の新規投資を促します。

このように、長期脱炭素電源オークションは大規模発電所を設置したい事業者におすすめの制度でした。

2050年のカーボンニュートラルに向けて、積極的に脱炭素経営や再生可能エネルギーへの投資を検討している企業も多いでしょう。

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