三本の矢でのエネルギーミックスで再エネを取り上げたはずですが、2015年4月、総理大臣の発言で、原発ゼロ政策が公式に放棄されています。
その後、間髪を入れず日本原子力規制委員会は、鹿児島県の川内原発1・2号機の安全審査報告書を承認しました。
想定外という言葉は今では当たり前ですが、想定外を想定しているとする新たな安全審査で適合の判定を受けたのは九州電力の川内原発が初めで、早ければ今冬に再稼働される見通しとのことです。
これで、2030年代までにすべての原発をなくすとされた「原発ゼロ」政策は、過去の歴史の中に消えることになりました。
さらに原発再稼働に向けた動きが各地で着々と進んでいます。例えば九州電力の川内原子力発電所は地震や津波のリスクに加え、火山の噴火というリスクがあります。ところが再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査では、噴火リスクは大丈夫であると判断し、安全対策は新規制基準を満たしていると結論づけられました。
これは2011年の東日本大震災以前に関係者が過去の歴史から考えられる危険性が指摘されていたのを無視したのと共通していると感じるのは考えすぎでしょうか。
2014年9月末、御嶽山が突然噴火し、戦後最悪の火山噴火事例になっています。
川内原発周辺の火山による噴火を危険ではないと誰が保証できるのでしょうか。
川内第1、第2原発を視察した経済産業大臣は原発再稼働の必要性を声にし、万が一の事故の際には「国が責任をもって対応する」と発言していますが、この万が一の事故が怖いのです。
ここで話の角度を変えますと、九州電力は再エネの固定価格買い取り制度で予想以上に大規模な太陽光発電の潜在性が高まったことで、電力会社に義務付けられているはずの「買い取りを中断」すると発表したニュースが話題になりました。
その理由は太陽光発電など再エネでの電力が送電線に集中すると、周波数が乱れて停電を引き起こす恐れがあるためだそうですが、これは何の手も打たずに安易に事を運ぼうとする意図が丸見えです。
再エネを底上げする工夫をしないで、火山噴火のリスクもうやむやなままで、周辺自治体の反対の声を無視して原発再稼働に走るのは、想定外を想定していないとしか言いようがありません。
これは九電だけの問題ではなく、電力会社はもっと真剣に太陽光発電をはじめとする再エネ電力を重要視する態度が必要なのではないでしょうか。
3.11の福島第1原発事故後の課題が山積し、収束が見通せない今、原発再稼働に踏み切るべきではなく、もっと太陽光発電をはじめとする再エネ電力の底上げに工夫する姿勢を示してもらいたいものです。