シャープと言えば液晶、そして太陽光発電です。
液晶事業については地デジ特需と呼ばれた需要がなくなってしまったので冴えませんが、それでもIGZOなど世界トップクラスの液晶技術を今も維持しているメーカーであることに変わりはありません。
それともうひとつ、シャープには大きな看板商品があります。
ご存じ、太陽光発電です。
シャープと言えば液晶と太陽光発電という時代が長く続いたので、今もそのイメージを持っている人は多いと思います。
では、今はどうなのか?
あまり知られていませんが、今もシャープは日本国内トップの太陽光パネルメーカーです。
アメリカのHISという調査機関のデータによると、2014年の世界シェアを見てもシャープは太陽光パネル分野において世界第7位の位置にあります。ちなみに2011年からのデータを見ると、6位→6位→3位→7位というランキングになっていて、常に世界トップ10に入っているのです。
他のメーカーはどうなのかと言いますと、京セラが10位前後をウロウロしている以外に、トップ10圏内で日本のメーカーを見ることはないので、やはりシャープの国際的な優位は依然と続いていることが分かります。
しかし、シャープはかつて世界シェアトップに長らく輝いてきた太陽光パネルのパイオニアです。早くから経営資源の集中を行ったことが成功して、世界の太陽光発電市場をリードしてきたグローバル企業なのです。
そもそもなぜシャープがここまで太陽光発電事業に力を入れてきたのかと言いますと、もうひとつの看板商品である液晶パネルの存在があります。
液晶パネルの製造ラインは太陽光パネルと似ている部分が多く流用しやすいので、同じ経営資源で勝負できる商品を探した結果が太陽光パネルだったのです。
理由はどうあれ、この経営戦略が成功していた時期があったのは事実なので、決して間違っていたわけではないと思います。
問題は、それから後です。
現在、世界の太陽光パネル市場は中国のメーカーが大きく幅を利かせており、「サンテック」「インリーソーラー」「トリナソーラー」などのブランド名、日本ではあまり馴染みがありませんが、いずれも世界ではトップ3に入るシェアを誇る太陽光パネルメーカーです。
そして、いずれも中国のメーカーです。
サンテックについては経営破綻があったので、今ではすっかりシェアを落としてしまいましたが、残りの2社については今もイケイケの状態です。安い生産コストと大量生産によって市場を席巻している状況は、今後も続くでしょう。
その一方でシャープが同様の戦略で世界に打って出られるかというと、なかなか難しいですね。
今後もシャープは太陽光発電事業を重視していく方針とのことですが、時代背景が変わった今、新しいイノベーションを起こさない限りは厳しい経営が続くのではないかと感じざるを得ません。