東日本大震災の後遺症は一向に癒えていないと言えます。
阪神・淡路大震災は都市直下型で、幸い原発への悪影響はありませんでしたが、3.11の福島原発事故があまりにも大きいので、当初は脱原発、卒原発の声があがりました。
事実、全国にある原発のすべて54基は現在では稼働を停止しています。
皮肉なことですが、そうなると増え続ける必要な電力はCO2を大量に排出する火力発電に頼らざるを得なくなり、地球温暖化防止を謳った京都議定書遵守どころではなくなってしまいました。
そこでクローズアップされたのが新エネルギー・再生可能エネルギーの推進で、その一例が太陽光発電で発電された電気の固定価格買取制度です。この制度は太陽光発電に限らず再生可能エネルギーによる発電のすべてに及んでいます。
では、果たして新エネルギー政策は拡大・充実・促進されているか?となると、いささか疑問だと言えそうです。
もちろんこれらの政策は進められていますが、一方で原発再稼働の動きも現実味を帯びているのが実状です。
しかも、例を太陽光発電にとりますと、勇ましい掛け声で始まった固定価格買取価格は、毎年低下し、一部にはこの制度への否定的な声も聞かれます。
直近の報道によりますと、再生可能エネルギーによる電気の買取は、小規模の木質バイオマスを優遇するようです。
再生可能エネルギーによる発電では、太陽光発電がすでにかなりの実績をあげていますが、どうもそれが正当に評価されていないような感じを受けるのは、思い過ごしでしょうか。
言い換えれば、太陽光発電に関する当事者としては、現行の新エネルギー政策は、歯がゆい感じが否めません。
原発再稼働を否定するわけではありませんし、実際に日本の電力需要量を見ると、原発は必要でしょう。
しかし、同じく新エネルギーによる電力生産量を増やすことも重要であり、将来的な電力生産では、再生可能エネルギー発電の比率を可能な限り高めることでCO2排出量を削減して地球温暖化を食い止めなければならないことは、明らかなのです。
この観点から見ると、現在の新エネルギー政策に関する国レベルでの議論や推進は不活性だと言えるのではないでしょうか。つまり本腰が入っていないような気がするのは、私だけでしょうか?
政権交代があった時にブレまくっていたのは仕方ないとして、今はもう安定政権なのですから、もっと中長期的な視野に立ったエネルギー政策が必要な段階に来ていると思います。