こんにちは、石橋です。
早いもので6月も終わりを迎えようとしていますが、この6月も実にいろいろなことがありました。
アフターコロナをいよいよ本格的に意識し始めてきたことを感じる昨今ですが、私の目を引いたのは「あの人」でした。
「あの人」とは、アメリカの大手EVメーカーであるテスラのCEOを務めるイーロン・マスク氏です。EVのことをあまり知らなくても同氏の名前は全世界に広く知れ渡っているので、名前だけでも聞いたことがあるという方は多いでしょう。
テスラはEVメーカーなので、EVに関連する話題でイーロン・マスクの名前が挙がるのであれば不自然ではないのですが、同氏の名前はEV以外のところでも見聞きすることが多く、それだけ知名度、影響力ともに凄まじい人物であることが分かります。
そんな同氏の言動は、私も注目しています。
再生可能エネルギーを事業としている者としてEVの動向は気になりますが、それ以外にもいろいろな発言をしてくれるので、興味本位も手伝ってどうしても注目してしまいます。
金融市場でもそれは同様で、同氏の発言は時に相場に大きな影響を与えることがあります。しかもそれがテスラ株だけではなく、株式市場以外の、たとえば仮想通貨市場にも影響を与えました。
その「第一幕」となったのは、同氏が仮想通貨による取引に対して親和的で、テスラ車の購入にビットコインを使えるようにすると発言したことです。その前から同氏は自身のツイッターでビットコインや仮想通貨に対する親和的な発言をしており、「これからの決済手段として重要」という趣旨の発言を何度もしていました。
特に何かを発表したわけではないのに、同氏のツイッターアカウントに「#bitcoin」というハッシュタグを入れただけで仮想通貨市場は大きく反応し、ビットコインが急騰したこともありました。特に何も発言していないのにこれだけの反応をするのですから、何か発言したらそれ以上の反応を見せるのも無理はありません。
そしてその発言が現実になったのが、ビットコイン決済導入の発表です。しかもテスラはそれに加えてビットコインを大量に購入し、そのことも市場を驚かせました。当然これは、ビットコインの急騰を招きました。
その後、テスラは保有しているビットコインを一部売却します。その理由は「ビットコインなど仮想通貨の流動性を示すため」とのことだったので、市場はよりポジティブに捉えることとなりました。
そして「第二幕」は逆のベクトルで発生します。今度は同氏が「ビットコインのマイニングで大量に消費される電力の問題が解決しない限りビットコインによる決済を停止する」と発表したのです。EVメーカーなので環境負荷の高いものを決済手段に使うべきではないと考えたようです。
しかしこれ、元からビットコインがどんな仕組みで運用されているのか知っていたはずなので、市場関係者の中には「発言によって乱高下する仮想通貨市場で利益を狙っているのでは」といううがった見方もあるようです。
この発言は、私にとっても聞き捨てならないものでした。仮想通貨のテクノロジーや今後に向けての将来性は私も認めるところで、そこに期待している部分もあります。
しかしそれがあまりにも巨大になってしまったばかりに、ビットコインの存在を支えるブロックチェーンが大量の電力を消費してしまっているというのは皮肉です。実際にはビットコインのマイニングはロシアの寒冷地や中国の奥地など冷却のコストがあまりかからない場所、さらに水力発電による電力を調達しやすい場所が多くのシェアを占めているので、実は環境負荷がそれほど高いとまではいえないのですが、イメージを変えるまでには至りませんでした。
仮想通貨に人類が期待していることは間違いないので、それがいかに環境と共存できるか。これは今後の人類に課された宿題といえます。和上ホールディングスは再生可能エネルギーのさらなる発展と普及に貢献するべく事業を進めていますので、それが仮想通貨との共存に資するものであればいいなと思います。
もちろん仮想通貨側も消費電力を削減する仕組みの構築など、できることはまだまだあるでしょう。この両者がいかにうまく歩み寄って理想的な形を作れるかが、仮想通貨の命運を握っていると考えています。