こんにちは、石橋です。
連日のように攻撃の応酬が起き、緊迫度を増している中東情勢。
これがいよいよシャレにならない展開になってきたので、引き続きこの件についての考察をしてみたいと思います。
先日、私はこのブログでイスラエルとイランが交戦状態になったことについて、日本のエネルギー問題に絡めて警鐘を鳴らしました。中東の石油に大きく依存している日本はこのままでいいのか?というお話です。
もちろん、いいわけありません。エネルギーの大部分を、こんな政治的・軍事的に不安定な地域に依存していいわけがないんです。イスラエルのことを「シオニスト」と呼んで、そのシオニストを滅ぼすことを国是としているイランと、それに軍事的に対抗しようとするイスラエル。しかもイランはイスラム教の中でもシーア派の国で、周辺にあるスンニ派のイスラム教国とも仲が悪い状態です。これだけ周りが敵だらけのイランが自分たちの国を守るために考えたのが、核開発です。どれだけメチャクチャなことをやっても核兵器があれば国は存続できる、そのことを北朝鮮がしっかり証明しています。
かくしてイランは核開発を進め、過去に何度もそのことで合意があり、合意違反があり、イスラエルによる空爆などがありました。ざっくり挙げただけでもこれだけ色々なことが起きているのに、今後も平和であるはずがありません。そしてついに、イランは伝家の宝刀を抜こうとしています。それは、ホルムズ海峡の封鎖です。
ホルムズ海峡をイランが封鎖するというのがどれだけ大きな意味を持つのかは、地図を見ると一目瞭然です。

この赤い丸印を入れたところが、ホルムズ海峡です。イランにとっては国の南側にある海で、反対側の半島がせり出しているため、このあたりだけとても狭くなっています。ここにイランが軍隊を派遣して船を通さないようにすれば、ホルムズ海峡は封鎖状態になります。イランにとってはそれほど難しいことではありません。
そんなホルムズ海峡の奥には、サウジアラビアやクウェート、イラクの港があります。ここから膨大な石油が輸出されていて、その量は世界の流通量の約2割。つまり、イランがその気になればホルムズ海峡を封鎖し、世界の石油のうち約2割を流通させないようにできてしまうわけです。
流通量が2割減ったことで価格が2割高くなる・・・というほど話は簡単ではありません。実際には投機筋の思惑もあってもっと高騰するでしょう。すでに原油先物の高騰は始まっているので、その悪夢が現実になる可能性は十分あります。
これがどれだけヤバいことなのかは、もう説明不要でしょう。仮に今回何らかの外交的な解決ができたとしても、リスクがなくなるわけではありません。またイスラエルとイランは対立するでしょうし、イランが他の中東諸国と戦争状態になる可能性だってあります。
こんなことが現実に起こり得る以上、先日の記事でも述べたように日本はエネルギーの中東依存から脱却しなければなりません。そもそも中東から輸入しているエネルギーは化石燃料であり、二酸化炭素を大量に排出します。安定供給されるかどうかも怪しくて、しかもエコとは程遠いエネルギー。それに対して太陽光など再生可能エネルギーは国産が可能で、しかもエコ。このどちらを選ぶべきかは、もう答えが出ているんです。
もちろん、今すぐできることではありません。AIに関連したデータセンターの増加など、日本は今後電力需要が増加し続ける見通しです。しかもデータセンターなどコンピューターの安定稼働には質の高い安定的な電力が必要です。それには再生可能エネルギーだけだと不足なので、それを補うために原子力があります。
事故のせいで原子力発電に対する風当たりが強くなり、日本の原発は世界トップクラスの安全性を確保されています。私は再生可能エネルギー企業の代表者ですが、エネルギー安全保障の観点から再生可能エネルギーと原子力のベストミックスが適切だと考えています。しかも日本には核燃料サイクル技術があって、原子力をさらに有効利用できる環境が整いつつあります。
太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの開発と普及をさらに進め、原子力と補い合うエネルギー供給体制を構築し、日本に迷惑ばかりかける中東の石油依存を脱却することを本気で考える時が来ています。
イランのホルムズ海峡封鎖はとんでもないリスク要因ですが、むしろ現実になったほうが日本が目覚めるんじゃないかとすら思っています。