こんにちは、石橋です。
環境ビジネス企業の代表者として、最近気になる話題があるので、今回はそれを取り上げてみたいと思います。
その気になる話題とは、PFASです。
2024年の10月頃から、日本全国各地の水道水からPFASが検出された、というニュースが相次ぎました。最近あまり話題になっていないような気もしますが、これって実はとても深刻なことだと個人的にショックを受けています。
事の発端は、岡山県吉備中央町の水道水です。同町の水道水から有害物質であるPFASが検出されたことが報道され、実は同町の水道では2020年から4年連続でPFASが検出されているとのことです。実はさらに前に、神奈川県横須賀市の米軍基地からPFASが検出されており、この当時も少しニュースになったことを記憶しています。
さて、このPFASとは何者なのでしょうか。PFASと書いて「ピーファス」と読むこの物質は、有機フッ素化合物の一種です。この物質自体に直接的な毒性はないのですが、いったん生成されると自然界でほとんど分解されないため、「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」との異名を持ちます。水や油をはじく特性があるので、いわゆるテフロン加工に広く用いられているPTFEにも応用されています。テフロン加工以外にもシャンプーなどにもPFASは広く利用されており、化学製品の中では優等生のように扱われてきたところがあります。しかし、そのPFASがフォーエバーケミカルであることが問題視され、近年では規制の動きが起きています。もちろん日本でもすでに規制対象になっています。
そのPFASが、水道水から検出されたというのですから、穏やかではありません。しかも、最初に問題になった吉備中央町だけでなく、全国各地の水道も調べてみたら出るわ、出るわ。私の会社、和上ホールディングスの本拠地である大阪でも検出されたそうです。ただし、大阪市の水道水から検出されているPFASについては基準値を大幅に下回っており、「安心して飲んでいただける」としています。
まだPFASの毒性について明確な科学的な研究結果が出ていないので軽々には言えない部分があるのですが、癌の発症に関わっていることはすでに研究で指摘されています。ニュース報道では「PFAS汚染」といった文言を見かけることがありますが、まだそこまで公害のようなものではないことは、付け加えておきたいと思います。
私がこのPFAS問題について強く思ったのは、井戸水や天然水といわれる水が、今や安全とは言い切れないんだという事実に対する衝撃です。自然が美しいところに行くと湧水があって、その中には飲める湧水もあったりします。地元の人が名水どころをよく知っていて、それを汲みに来るなんていう光景もありますよね。「やっぱり自然の水はおいしい」という感じで、こういう水を重宝している人も多いと思います。しかし、それが安全とは限らないということになったわけです。
PFASは自然界でほとんど分解されないと述べました。そのため、PFASが土壌内に存在すると、湧水にもそれが混ざってしまい、体内に入って蓄積すると癌の原因に…というわけです。すでに井戸水や湧水にはピロリ菌が含まれていて胃がんの原因になることは指摘されていますが、今や見た目にきれいに見える自然の湧水であっても、軽い気持ちで飲んだり持ち帰って使ったりしてはいけないのかな、と感じます。
何だか寂しいような、怖いような。これも自然界に存在せず、分解もされない物質を作って自然界に排出してしまった人間の責任ではあるのですが。