こんにちは、石橋です。
昨今話題になることが多い「卒FIT」ですが、いよいよ2019年10月以降に、FIT(固定価格買取制度)の期間が満了になる住宅用太陽光発電が出始めます。
卒FITによって住宅太陽光発電の使い道は、「既存の電力会社に売電を続ける」、「新電力と新たに契約を結んで売電する」、「発電した電力を自家消費して電気料金削減に活用する」などの方法が注目されています。
特に蓄電池は日中に発電した電力を貯めておいて、必要な時に効率よく使うなどといった経済的なメリットがあるとともに、太陽光を自家消費するライフスタイルに転向するためのキーテクノロジーとして、国を中心として普及に力が注がれ始めています。
こうした中で、卒FITの該当者をターゲットにした新しいサービスが出始めています。
例えば、伊藤忠商事は東京電力ホールディングス傘下のTRENDEや、エフエヌ回路設計ブロックなどといった会社と共同で、家庭用蓄電システムと、蓄電池と太陽光発電の利用を前提にしたサービスを発表しました。卒FIT対象の住宅用太陽光発電のユーザーを対象にした専用電気料金プランの「あいでんき」です。
あいでんきには、伊藤忠とエヌエフ回路が共同開発した蓄電池「Smart Star L」に、イギリスのMoixa Energy Holdingsが開発したAIを利用した「GridShare Client」という電力最適化ソフトウェアを組み合わせて、各家庭の最適な蓄電池の充放電を可能にするという技術が使用されています。
この紹介だとザックリしすぎているので、もう少し内容を詳しくみていきましょう。
「Smart Star L」は2013年に発売されてから既に1万台以上の出荷実績がある蓄電池です。
この蓄電池の容量は9.8kWhで、停電時に住宅内の全てのコンセントに対して電力供給することができますし、200Vの出力が可能なことから、エアコンやIHI機器などにも利用できます。
そして、この蓄電池に組み合わせる「GridShare Client」という電力最適化ソフトウェアは、気象情報やユーザーの消費電力量、太陽光発電の発電量などを分析して、最適な消費量などを学習するという特徴があります。
この分析結果に照らし合わせて、家庭ごとにどれだけ蓄電すれば最もお得になるかなどを自動判断して、蓄電池の充放電を制御できるという仕組みです。この「Smart Star L」と、「GridShare Client」を利用することを前提とした電気料金プランが、あいでんきというわけです。
この電気料金プランは午前1時から午前5時までの電力料金を割安に設定しており、この時間の間で蓄電しておいて、その貯めておいた電力と太陽光発電を日中や夜間に効率よく使用することで、電気料金を削減できるとしています。
あいでんきは卒FITに備えたサービスの一例であり、他にも多様なサービスが発表されています。きっと、これからも様々な仕組みが考案されることだろうと思います。
様々な企業がそれぞれのサービスを掲げて卒FIT市場に参戦することで、新たな市場が生まれるとともに、今は高価である蓄電池が家庭に設置しやすい価格で提供されていくことを期待しています。