住宅などの建物で使用する電力を、屋根の上にある太陽電池で発電してまかない、そこで使用するクルマを電気自動車にして、その“燃料”も屋根の上の太陽電池で充電する―。
そんな先進的な環境システムがあれば、現在問題になっている電力不足や環境破壊などの問題は一気に解決することができそうです。
そんな夢のような仕組みを、現実に作ることはできるのか?
そんな疑問に対する答えとも言える取り組みが、ニュースとして入ってきました。
居酒屋チェーンで有名なワタミの関連会社が介護ビジネスに本格参入しているのはよく知られていることですが、この「ワタミの介護」は、ベンチャー起業で成功したワタミグループらしく、色々と面白い取り組みが実践されています。
例えば、ワタミの介護が運営している老人ホームで提供される食事は、やはり居酒屋チェーンの和民で提供されている食べ物のノウハウが活かされており、とても美味しいことで知られています。
単に美味しいだけではなく、和民では栄養のバランスやカロリーコントロールなどにも積極的に取り組んでいるので、老人ホームの食事としてはとても魅力的なものとなっています。
さて、そんなワタミの介護が次に取り組んでいるのが、環境です。
ワタミの介護が9月に大阪市内で開設する新しい老人ホーム「レストヴィラ弁天町」は、先進的な環境性能を採り入れた施設となっており、業界のみならず話題となっています。
このレストヴィラ弁天町は7階建ての建物なのですが、その屋上にはもちろん、太陽光パネルが設置されています。発電量の規模は11kWなのでそれほど大きなものではありませんが、ここで発電された電力は全部、この老人ホーム内の照明などに利用されます。
現段階での試算では、廊下や共用部分の照明は全てここからの電力でまかなえるそうです。
さらに、老人ホームでは送迎などのためにクルマが欠かせません。よく街中を福祉施設の名前が入ったクルマが走り回っているのを目にしますが、足が思うように動かない人も多いという事情を考えると、移動手段というのは老人ホームとして切って切れない関係にあります。
レストヴィラ弁天町では、この移動用車にもEV(電気自動車)を採用しています。車種はこの分野で先端を走る三菱の「アイ・ミーブ」。同社の軽自動車をフル電気自動車に改造したモデルで、すでに実用化、市販されています。宮崎あおいが登場するテレビCMでもお馴染みですね。
余剰電力が生まれる昼間などについては、その余った分を電気自動車の充電に活用するとのこと。それだけでは足りないと思いますので、足りない分は深夜電力を活用するそうです。
この他にも、館内照明には省電力の切り札として注目が集まるLED照明を採用。壁などの建材には間伐材(森林管理をする際に間引きをした木から生産される材木)を利用しているため、環境負荷は極限まで抑えられています。
ここまでやるかという環境型老人ホーム、今後はこうした施設がどんどん増えていくものと思われます。
環境意識があらゆる部分にまで浸透していることの証しなので、歓迎すべきことですね。