再生可能エネルギーへの関心が高くなっています。
しかし、マスコミなどの論調を見ていると、再生可能エネルギー=太陽光発電というイメージが強いように思います。
事実、フィードインタリフと呼ばれる余剰電力買取制度は、太陽光発電によって作られた電力の買取を前提としています。しかし、地球上には太陽光発電以外にも、たくさんの再生可能エネルギーがあります。
ここでは、そんな中の地中熱をご紹介します。
地中熱というのは地下奥深くにある熱のことです。
地下奥深くにはマグマが対流しているので、その熱が地面の中に貯め込まれています。その温度は相当なもので、だからこそ温泉がわき出るのです。
どこを掘っても地中熱があるというわけではなく、その高度もさまざまです。ちょっと掘っただけで熱に当たるところもあれば、どこまで掘っても全然熱がないところもあります。
ここでご紹介するのは、地下30メートルにあった地中熱のお話です。
長野県長野市にある、富士通の長野工場。ここでは富士通の主力製品であるハイテク製品が日々生産されています。
ハイテク製品というのは実にデリケートなので、ちょっとした温度や湿度の変化で品質が変わってしまうことがあります。しかし、富士通の製品というのは誰が見ても優秀です。
つまり、富士通の工場はその品質を維持するための空調が保たれているのです。
工場は24時間稼働しているので、空調も24時間稼働です。
それを考えると、電気代も相当なことになりそう…と素人考えでも心配になります。
そのために太陽光発電、というのも良いのですが、それだけだと焼け石に水で、大量に消費される電力の足しにはならないそうです。
そこで注目されたのが、地中熱です。
太陽光は夜間になるとゼロになってしまうという欠点がありますが、地中熱は24時間いつでもグツグツと煮えたぎっています。
この工場では地下30メートルまで掘ったところで地中熱を発見し、そこからの熱で空調をしています。ここで注目したいのは、地中熱を電力にするのではなく、熱交換という仕組みを使って地下と地上で温度をやり取りすることで空調をするということです。
この技術はヒートポンプと言って、和上住電が販売・施工しているオール電化住宅でもエコキュートという商品名で導入されるものです。
この地中熱ヒートポンプの採用によって、工場内の温度と一定に保つことに成功。
今では工場で使用する電力の3%削減に成功したそうです。たった3%と思われるかも知れませんが、工場で使用される電力の量を考えると、3%でも年間で47000リットルの原油削減、120トンものCO2削減が出来るのです。
このヒートポンプ技術、そして工場内の空調に利用するという仕組みも、全てが日本で開発されたものです。
今後は富士通の工場で順次導入が進められていくそうですが、同様に他の日本企業でも採用されていくといいですね。