タレントの猫ひろしが、自身が取り組んでいるマラソンでロンドン五輪への出場を決めました。お笑い芸人の猫ひろしが、なんとオリンピック代表選手になったのです。
そこまでの道のりは決して平坦ではなかったと思いますが、よくここまで頑張ったものだと思います。祝福したいと思います。
しかし、ここでひとつ大事なことがあります。
猫ひろしは日本からオリンピック代表選手になったのではなく、カンボジアの代表選手としてロンドンに行くのです。
なぜ、カンボジア?
この経緯はよく知りませんが、要するに日本だとマラソン選手の層が厚いので、選手層が薄い(と思われる)カンボジアに活路を見出したのでしょう。
もちろん、カンボジアにも有力選手はいます。猫ひろしがそれらの選手と比べてどちらが優っていたかというのは、正直なところあまり差がありません。
それならばカンボジアは自国の選手をそのままオリンピックに送り出せば良いと思うところですが、ここで何やら「妙なもの」が見え隠れします。
それは、猫ひろしがロンドン五輪に出ることによって動く、多額のマネーです。
今回のことで、おそらくカンボジアの当局は日本からの取材やなにがしかの「実入り」を期待しているのではないかと思うのは、ちょっとひねくれすぎでしょうか。
というのも、猫ひろし自身は今回のオリンピック出場でかなり稼ぐことになるらしく、早くもスポンサーがついているとか。
持ちタイムは2時間30分くらいなので、これは到底世界で戦うレベルではありません。
それでも国籍を変えてまでカンボジアからオリンピックに出場するというのは、どうも腑に落ちません。
しかも、これは最近知ったことなのですが「トレーニング上の理由」で、猫ひろしは日本で生活をしているそうです。全然カンボジア人になってないじゃん!
ところで、こうしたことはスポーツ界全体で起きています。
例えば、高校野球。
今年メジャー入りを果たしたダルビッシュ、楽天のマー君こと田中将大など、これらの選手は関西出身です。しかし、所属していた高校は東北や北海道にあります。野球留学という名目でこのように遠方の高校に行くのですが、要するに関西は層が厚く甲子園に出るのが難しいので、こうした地方の高校に移って甲子園を目指しているのです。
これは不祥事なので高校名は伏せますが、先日ある高校野球の名門校で野球部員が飲酒などをしていた様子がブログにアップされていたという事件がありました。
この高校の野球部にいたっては、部員の大半が大阪出身です。つまり、大阪ではなくこの地方のほうが甲子園に出やすいということで、わざわざ遠方に進学しているのです。
どうしても甲子園に出たい野球部員と、甲子園に出ることで知名度を上げたい地方の名門校。両者の思惑が一致した結果、今のように遠方への進学が当たり前になっているのです。
その結果、何が起きたか。
「どうせ地元の子なんてほとんどいない」ということで、これまでのように地域を挙げた応援をすることは少なくなり、高校野球が国民的行事ではなくなってきています。
その証拠に、先日の選抜高校野球についても、テレビやラジオの生中継はなかったではありませんか。以前であれば高視聴率を期待して生中継されていたのに、です。
上記のようなことが横行していることによって、ファンが白けてしまったことと無関係であるはずがありません。
今回の猫ひろしのような前例ができてしまうと、今後同じようなことをする人が多くなるのではないかというのが、私の危惧です。
高校野球のように、オリンピックも白けムードになって盛り上がらなくなってしまうのは、何とも寂しい限りです。
今でも、新興国や一部の「熱心な国」が必要以上にメダルにこだわって必死になっている姿というのは、「アマチュアの祭典」というムードとあまりにかけ離れています。
こういう姿や、彼らの母国の異常な熱狂ぶりを見ていると、何だか白けてしまうのは私だけではないはずです。