遊休地を活用した発電所づくりという仕事をしていると、遊休地の活用に関する情報が多く入ってくるようになりました。
その中で、意図せず取得した土地として相続絡みの話やご相談も多くなったように思います。
日本国内に増加している遊休地、都心部では駐車場にする例が多く見られます。
都心部や郊外以外の山野と田畑は昔から変わらないところもありますが、少子高齢化の影響で田畑が遊休地になる場合が少なくないようです。
これは後継者がいないこともありますが、後継者がいてもその田畑を引き継げない人もいるでしょう。
そうこうしているうちに遺産の遊休地を相続すると、相続者は田畑をもてあますことになりかねません。
この場合、相続した遊休地の立地条件や面積にもよりますが、都心ではないので駐車場にすることはできません。
そのまま所有していると固定資産税だけを納付することになるので、何か良い活用法はないかと考えます。
この考えのひとつに、電力の自由化に関連する太陽光発電事業があります。
太陽光発電の場合、畳1枚程度の大きさの太陽光パネルの出力は大体200Wと考えると、100枚で20kWになります。
100枚の太陽光パネルの設置に必要な土地面積を畳にして120枚分として、畳2枚で1坪とすると60坪です。
大きな田畑だと優にこの10倍にはなりますから、600坪で200KW分の太陽光発電が可能という計算になります。
これは1時間あたりですから、1日に8時間の日照があると仮定すると1,600KWhの電力を生産することができ、1ヶ月の実働が25日間とすると40,000kWhです。
この電力は、100家庭分の電気量に相当します。
この電気を家庭に売りたいと思うと、電気事業法に適合する必要があります。
太陽光発電の場合、設備容量50kW以上のシステムは高圧・特高圧連系で自家用電気工作物に区分され、設置に係る手続きがひつようになります。
すなわち保安規定を届け出て、電気主任技術者を選任し、工事計画を届け出て、使用前自主検査と安全管理審査が実施されます。
ただし、保有する発電設備の出力が200万kWを超える卸売電気事業者にはなれませんから、卸売電気事業者に電気を買い取ってもらうことになります。
なお、現時点での卸売電気事業者は電源開発株式会社と日本原子力発電株式会社の2社だけです。
ここが問題点で、電力自由化以前であれば法律で決められている売電が可能でしたが、電力自由化が実施された後はそうとは限らないのです。
すなわち遊休地を利用する太陽光発電設備で生産する電気を買い取ってくれる電力会社との売買交渉が必要になります。
しかし心配することはないようで、それは新規の電力事業参入企業自体は実は自社ですべての電力を生産しているわけではないのです。
つまり新規参入企業は電力という商品を売ると同時に買わなければならないのです。
具体的にはたとえば○○電力会社が従来の売電価格が1kWhあたり33円だとすると、新規参入事業者は33円プラスαの価格で買い取るようです。
太陽光発電設備での電気を売ることは、今後も続くと思われます。
したがって相続した遊休地での太陽光発電事業はこれからますます有望だとも言えそうです。
電気やエネルギーに関わる者として、面白い時代になったと思います。