こんにちは、石橋です。
大阪は緊急事態宣言解除の可能性が出てきましたね。ワクチン接種も近々に始まるようで、いよいよアフターコロナが現実味を帯びてきています。
さて、今回は気になるニュースがあったのでそれについてコメントしたいと思います。
そのニュースとは、福島県に再生エネルギー100%の工業団地が計画されているというものです。ニュースソースは読売新聞ですが、おそらく他社からも同様の報道があるでしょう。
いわき市と浪江町に太陽光発電と風力発電を電源とする工業団地を作って、そこで生産活動をする計画だそうです。これって、「和製マスダールシティ」のようなものですね。マスダールシティのことをご存じない方のために軽く解説すると、中東のアブダビにあるスマートシティのことです。こちらも再生エネルギー100%を旗印に世界に冠たる環境都市モデルを作る!という巨大プロジェクトです。アブダビは産油国なので潤沢なオイルマネーがあります。つまり化石燃料の恩恵に受けているわけですが、そんなアブダビだからこそ石油の時代が終わった後のことを考えての戦略だと思います。すでに脱・石油、脱・炭素は世界的に動き始めているのでこの計画自体は崇高なものです。
しかし、実際のマスダールシティは工事が大幅に遅れており、当初の予定だった2025年の街びらきは到底不可能だといわれています。世界初の実験だけに、なかなかうまくいかないことも多いのでしょう。もしかすると計画がとん挫してしまう可能性すらあります。
そこにきて、この再エネ100%の工業団地計画です。マスダールシティみたいになってしまうと環境負荷を高めるだけで逆効果ですし、失敗の前例を作ってしまうと「やっぱりダメなのか」となってしまいますよね。だからこそ、やるからには本気で取り組んで結果を出してほしいと思います。
しかも、この工業団地が計画されているのは、福島県の中でも原発事故の影響を今も受けている地区です。そんな場所だけに先進的な環境都市を作ることは世界へのメッセージになりますし、環境立国を目指す日本の戦略にもかなうものです。
何でもこの工業団地内ではトラックなど物流もFCV(燃料電池車)になるそうで、脱炭素社会の急先鋒となります。これがうまくいけば最高だと思いますが、なかなか難しい面もあるでしょう。
環境ビジネスに取り組んでいる立場からまず心配になるのは、莫大なコストです。国が進めるプロジェクトなので予算をつければお金はあると思いますが、その元を取れるのかどうかです。世界に冠たるスマートシティを作るのであれば採算性があって持続可能なモデルでなければなりません。お金持ちの道楽で終わらせてしまってはいけないのです。
このプロジェクトは2030年の街びらきを目指しているそうなので、現時点では10年近くの時間があります。今後の技術革新も含めてこの計画がどうなっていくのか、しっかり注視していきたいと思います。