こんにちは、石橋です。
前回、これからの主流になるFIPについてのお話をしました。
前回だけでは収まりきらなかったので、今回はその続きのお話をしたいと思います。
前回の記事をお読みいただいたほうが話のつながりが良くなると思いますので、検索などで当記事にたどり着いた方は、ぜひ前回からお読みください。
【リンク】いよいよ本格化してきたFIPの時代、FITとの違いをこのタイミングで整理

今回お伝えしたいのは、FIPの考え方を具体的な仕組みとして実現するための方法論です。
FIPは再生可能エネルギーを「保護する対象」から「エネルギーインフラの1つ」として市場参加させる仕組みで、いよいよ太陽光発電などの再生可能エネルギーがインフラの一部として機能する時代の幕開けを感じさせてくれます。
太陽光発電の黎明期から第一線で仕事をしてきた私から見ると、「遂にここまで来たか」という印象です。
さて、FIPの環境下で再生可能エネルギーの事業者が考えるのは、電力をいかに高く売るかです。市場で販売する電力の価格は需給で決まるため、供給が少なくなる、もしくは需要が高まる、さらにはその両方が成立する環境で販売するのが最善です。
太陽光発電はお日さまが出ている時間帯に発電をして、お日さまが出ていない時は発電をしません。そのため、太陽光発電による電力供給をしている事業者からの電力は晴れている昼間に集中し、それ以外の時間帯には激減します。この差を利用するだけでも、販売する電力を価値を高めることができます。簡単に言えば、蓄電池を使って昼間に充電、夜間や悪天候の時に放電をして売る。これだけでも十分利益が出ます。
ここで登場した蓄電池、これがFIPの時代ではきわめて重要なゲームチェンジャーになります。何せ、これまでは貯めることができなかったために売電をする以外のビジネスモデルがなかったところに、「いつでも好きな時間帯に電力を販売できる」という選択肢が生まれたのですから、これは革命的です。
もちろん、この仕組み自体はかなり以前から考案されていました。「電力を貯めておけるのであれば色んな問題が解決するのに」と。しかし大規模なバッテリーを設置するという発想がなかったため、それを実現できる蓄電池はありませんでした。あったとしても途方もない高額なものになっていたことでしょう。そのため、構想はあっても長らく実現していませんでした。
今では系統用蓄電池といって、電力網に接続して使用する大規模な蓄電池も続々と登場しています。そのため、再生可能エネルギーと連携するわけではなく、単に安い時間帯の電力を貯めておいて単価が高い時間帯に販売するだけでも利益が生まれるビジネスモデルも登場しました。ちなみにこのビジネスモデルのことを、電力市場のアービトラージといいます。
時間帯による電気代の価格差を利用するだけでも利益が出るビジネスモデルなのですから、太陽光発電に蓄電池をセットにしたモデルの収益性が高いことも納得ですね。
FITまでの太陽光発電事業は「発電する」というところまででしたが、FIPでは「電力をコントロールする」ことによって収益性が高まります。そして、このコントロールを可能にしているのが蓄電池というわけです。ようやくすべての役者が揃った感がありますよね。私が「遂にここまで来たか」と感じたのは、そういうことです。
FIPによって再生可能エネルギーによる電力事業の環境が整ってきたことで、環境ビジネスは新たなステージに入ったと思っています。これまでは発電量をいかに増やすかに主眼が置かれていましたが、これからは「いかに価値のあるタイミングで電力を販売できるか」、これに尽きます。
蓄電池はそれを可能にするハード面でのゲームチェンジャーですが、単に蓄電池を設置しただけでは完全ではありません。蓄電池によって電力をコントロールできるようになったのですから、「どうコントロールするか」がポイントになります。
近年ではVPP(仮想発電所)といって点在している複数の蓄電池を1つの発電所のように束ねて運用する技術が実用化されており、これを可能にする技術・仕組みのことを蓄電池アグリゲーションといいます。ついでに紹介すると、その司令塔はアグリゲーターと呼ばれ、高度なIT技術によって需要予測やそれに基づく供給のコントロールを行っています。この時点でもうお分かりかと思いますが、これからの電力事業は、このアグリゲーションの質が収益を大きく左右します。AIの活用も進んでおり、AIが日々の電力需給を学習することで最適な制御を行う仕組みも実用化され、普及が始まっています。
いかがでしょうか?再生可能エネルギーを軸とした環境ビジネスの最前線は、もうここまで来ているのです。より良い未来が見えてきますよね。もちろん、私たち和上ホールディングスもその最前線でFIPの時代にふさわしい発電と蓄電、そして供給のあり方を磨き続けています。これはFIT時代から最前線で多くの経験を積んできたからこそできることであり、FITからFIPへの移行も違和感なく進められていると感じています。
最後は自社の宣伝のようになってしまいましたが、FIPの時代になって環境ビジネスは間違いなく次のステージに進み、以前は未来のことだと思っていたことが現実になります。そんな時代に乗り遅れない環境ビジネスの在り方を模索しながら、提供できる専門家でありたいと思います。