2024.09.03
カーポートの建ぺい率緩和条件とは?カーポートと建ぺい率の関係性についても解説
こんにちは、『ソーラーカーポート専門店 とくとくショップ』です。今回は、カーポートと建ぺい率の関係性について、分かりやすくまとめてみたいと思います。
「建ぺい率」という言葉は、建築関連の仕事を生業としている方でなければ、日常生活の中で耳にする機会は少ないと思います。建ぺい率の意味を簡単にご紹介すると、「敷地面積に対する建築物が占める割合」のことで、日本国内に建築物を建てる際には、法で定められた建ぺい率に基づいて建てなければならないとされているのです。一般的には、注文住宅の購入を決めた際、土地探しを行う時に建ぺい率に注意しなければならないと解説されることが多いのですが、実はカーポートは、建築基準法上は「建築物」に該当するため、建ぺい率を計算する時の対象に含められてしまいます。
したがって、カーポートと建ぺい率の関係性をきちんとつかんでおかなければ、カーポートを設置しようと思ったとき、建ぺい率オーバーでカーポートが置けない、カーポートのせいで住居の面積に影響が出てしまう…なんてことになりかねません。そこでこの記事では、カーポートと建ぺい率の関係性を詳しく解説します。なお、カーポートの設置時に一定条件を満たすことで、建ぺい率の緩和措置を受けることができますので、その辺りの内容についてもご紹介します。
目次
そもそも建ぺい率とは?
それではまず、カーポートの設置を検討している方が抑えておかなければならない「建ぺい率」について、これがどのような物なのかについて解説します。建ぺい率は「敷地面積に対する建築面積の割合」のことを指しいて、「敷地の面積に対して真上から見た建物の面積の割合」などと解説されることが多いです。イラストで見ると非常に分かりやすいので、以下に掲載します。
例えば、敷地面積が100㎡の土地が建ぺい率50%だった場合、家を建てられる面積が50㎡までに制限されるといった制度です。こう聞くと「自分の土地なのに、なんで自由に建物を建てられないのだ?」と不満に感じてしまう方もいますが、この制限は主に地域防災を目的に指定されています。敷地面積ギリギリの大きさの建築物を建ててしまうと、万一火災が発生した際には、すぐに隣接する家に延焼してしまう可能性があります。また、地震などにより建物被害が生じたとしても、その被害を最小限に抑えるには、敷地にある程度余裕のあるスペースを確保しておくことが大切とされているのです。さらに、日当たりや風通し、プライバシー保護といった住環境の確保なども考慮されています。
ちなみに、建ぺい率の計算は、上のイラストに記載されているように「建築面積÷敷地面積×100」という式で求めることが可能です。
建ぺい率の上限は用途地域が関係する
建ぺい率は、全ての土地で統一された上限が設けられているわけではありません。実は、建ぺい率の上限は、地域や行政によって変わるもので、用途地域に応じてそれぞれの自治体が上限を指定する仕組みになっています。日本国内の土地は、建築基準法により用途地域が定められていて、それぞれの地域ごとに建てることができる建築物の種類や用途が決められています。
そして、用途に合わせて快適な環境を整備する目的で、建ぺい率や容積率などが上限規制を受けるようになっているのです。用途地域ごとの建ぺい率の上限は、以下の表で確認してみてください。
引用:国土交通省資料より
各地域の建ぺい率の上限は、上の表にある値から行政が選択して指定する形となっています。ご自宅の土地に適用される建ぺい率が何%になるかは、市町村役場や区役所の都市計画課で確認することができます。
カーポートは建築基準法上は「建築物」に分類される
ここまでの解説で建ぺい率がどういったものなのかはある程度分かっていただけたと思います。ただ、上の解説を見ると、住宅を上から見た時の面積と敷地面積が関係するもので、カーポートは関係ないのではないか…と思ってしまった方もいるかもしれませんね。しかしその考えは大きな間違いです。
実は、カーポートというのは、建築基準法上は「建築物」に分類されるため、建ぺい率を算出する際の建築面積に含まれてしまうことになっているのです。建築基準法では、以下の4つの要件すべてを満たすものを建築物としています。
- 土地に定着している
- 工作物
- 屋根がある
- 壁もしくは柱がある
カーポートは、「屋根と柱で構成される非常に単純な構造物」と解説されています。ただ、強風や地震などにより倒壊しないよう、基礎を設けてしっかりと土地に定着させます。また、車を風雨や紫外線、飛来物から守るために屋根が設けられ、その屋根を支持するため1~4本程度の柱が建てられています。
これからも分かるように、柱と屋根のみで構成されるカーポートですが、建築基準法上、建築物に該当する要件を満たしているため、建ぺい率の算出基準となる建築面積に含める必要があるわけです。なお、この記事内では詳しい解説は省きますが、カーポートは容積率の算出にも関係します。
カーポートは、建築基準法に定められた建ぺい率や容積率と言ったルールを守らなければならないため、新築時に建ぺい率いっぱいまでの住居を建てると、カーポートやガレージを後付けすることができなくなってしまいます。またその逆に、カーポートを設置する場合には、確保できる居住面積に上限が出てくるので注意しなければならないのです。
なお、冒頭で触れたように、カーポートの設置時には、一定の条件をクリアすることで建ぺい率の緩和措置を適用することが可能です。知らないと損をするルールですので、次項でその辺りを解説していきたいと思います。
カーポート設置時の建ぺい率緩和措置とは?
先ほど解説したように、カーポートは建築基準法上は建築物となってしまうため、建ぺい率を計算する際の建築面積に含まれてしまいます。そのため、カーポートを設置しようと考えている方の施工条件などによっては、施工可能なカーポートの大きさ(広さ)に制限ができてしまう場合があるのです。
ただし、建ぺい率の上限については、カーポートの設置に限らず、法で定められている一定の条件を満たすことで「一部を建築面積から排除できる」という緩和措置が用意されているのです。
そこでここでは、カーポートの設置を検討している方がおさえておきたい、建ぺい率の緩和について分かりやすく解説します。
「高い開放性を有する構造の建築物」は建ぺい率の緩和が受けられる
建築基準法施行令第二条第一項第二号で、以下のように緩和措置について定められています。
国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、当該建築物又はその部分の端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。
この定めにより、カーポートのような「高い開放性を有する構造の建築物」については、一部を建築面積に含めなくても良いとされているのです。ただ、「国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物」に該当するためには、細かな条件をクリアしなければいけません。全てのカーポートがこの緩和措置を受けられるわけではないため、設置するカーポート選びの際にどのような条件を満たす必要があるのかを理解しておかなければいけません。建ぺい率の緩和を受けるために満たさなければならない条件は、以下の通りです。
「高い開放性を有する構造の建築物」とは?
国土交通大臣が「高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物」に該当するためには、外壁や柱、天井、階数などについて、以下のようにそれぞれに細かな条件が定められています。
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第二条第一項第二号の規定に基づき、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造は、次に掲げるものとする。
一 外壁を有しない部分が連続して四メートル以上であること
二 柱の間隔が二メートル以上であること
三 天井の高さが二・一メートル以上であること
四 地階を除く階数が一であること
引用:国土交通省資料より
公的な文書の書き方なので、内容が分かりにくい…と感じる方も多いと思うので、以下でもう少し噛み砕いて各条件をご紹介します。
- 外壁について
「外壁を有しない部分が連続して四メートル以上であること」が条件となります。一般的なカーポートは、屋根と柱だけで構成されるため、この条件は基本的に該当する製品が多いはずです。ただ、外壁を有するガレージタイプのカーポートやオプションとしてサイドパネルを設置した場合、外壁を有するとみなされてしまい、条件から外れる可能性があります。 - 柱の間隔について
建ぺい率の緩和条件は、柱についても規定されています。カーポートなどの柱は、「間隔が二メートル以上であること」とされています。柱の間隔が2メートル未満の場合、開放性を有するとは判断されなくなり、建ぺい率の緩和が受けられなくなります。なお、一般的なカーポートについては、柱の数が多くありませんし、密に柱を建てることもないため、特に気にしなくてもこの条件は満たすことができると思います。 - 天井の高さについて
カーポートは屋根の下面が天井という扱いです。この天井については「高さが二・一メートル以上であること」が条件となります。1cmでも、この高さの基準を下回ると、建ぺい率の緩和が受けられなくなります。なお、カーポートは、車を保護するために設置する設備なので、ほとんどの製品は2.1m以上の高さを持っています。したがって、この条件に関しても、特に気にしなくても良いでしょう。 - 階数について
建ぺい率の緩和は「地階を除く階数が一であること」という条件も満たさなければいけません。この条件を分かりやすく言うと、1階建ての建築物であるという意味です。カーポートは、車を守る目的で屋根機能を持たせるための設備なので、2階建て以上の構造になることはありません。つまり、一般的な製品であれば、ほとんどの場合、この条件はクリアできるはずです。
カーポートを設置する際、上記の4つの条件を全て満たしていれば、建ぺい率の緩和が受けられます。基本的には、ほとんどの製品は4つの条件を満たすことができますが、大きなサイドパネルを設置する、ガレージタイプやカーポートバルコニーを設置するといった場合に、緩和措置が受けられない可能性が高いので注意しましょう。
建ぺい率はどの程度緩和されるの?
それでは、先ほどご紹介した建ぺい率の緩和条件全てを満たした場合、どの程度の緩和が受けられるのかについても簡単に解説します。
上で紹介した4つの条件を満たすことができれば、カーポートが「開放性を有する構造の建築物」とみなされることになり、「当該建築物又はその部分の端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。」という緩和措置が受けられます。
具体的には、上のイラストのように、カーポートの端から1m後退した内側の部分を建築面積として加算することになります。なお、この緩和措置については、自治体によって微妙に異なる部分もあるので、事前に確認しておきましょう。
ちなみに、カーポートの容積率に関しても、「敷地内における建築物の延床面積の5分の1を限度として延床面積に算入しない」という緩和措置が用意されていますが、この辺りについてはまた別の機会に解説します。
カーポートを設置する際の注意点について
それでは最後に、自宅の駐車場にカーポートの設置を検討している方に向け、事前に確認しておかなければならない注意点をいくつかご紹介します。
カーポートの設置は、建ぺい率との関係性など、法律への適合性を確認しなければいけませんが、それ以外にも確認すべきポイントがたくさん存在します。ここでは、カーポートの設置前に確認したい代表的なポイントをご紹介します。
カーポートの大きさについて
カーポートは、駐車する車のサイズや台数、敷地面積などにより、必要となる大きさが変わります。なお、カーポートの大きさについて注意しなければならないのは、カーポート設置時点のことだけを考慮して大きさを決めてはいけないということです。カーポートは、設置してから15年程度は継続的に使用することが想定される設備です。15年間の時間があれば、車の趣味が変わる可能性がありますし、家族構成などにも大きな変化が生じている可能性があります。例えば、カーポート設置時は、夫婦二人だったため小型のものを設置したけど、数年したら子供が生まれファミリーカーに買い替えなければならなくなるなんてことは普通にあり得ます。
つまり、カーポートは、その時点で必要な大きさで選ぶのではなく、将来的なことも考慮して十分な大きさの製品を選ばなければならないのです。そうしなければ、カーポートの高さのせいで、買い替えできる車の車種に制限が生じる…なんてことになりかねません。他にも、大きな車に乗り換えたら、ドアの開け閉めが困難になる…なんて話を聞く機会も多いです。
カーポートの強度について
カーポートは、全てが同じレベルの強度を持っているわけではありません。例えば、ホームセンターが販売するカーポートは、他のメーカー品よりも安価だということで注目されているのですが、安い反面、耐風圧強度が主要メーカーの製品よりも低くなっています。つまり、台風の上陸が多いなど、強風の影響が大きいエリアに住んでいる方の場合、こういったカーポートを選んでしまうと、強風に耐えられずカーポートが倒壊する…など、後悔する結果が待っている可能性があるのです。この他にも、冬場の積雪量が多い地域では、耐積雪強度が高い物を選ばなければいけません。
日本は、諸外国と比較すると、国土が狭いと言われますが、それでも地域によって気候条件にかなりの違いがあります。したがって、カーポートを選ぶときには、価格を重視するのではなく、お住まいの地域の気候に合ったものを選ぶ必要があると考えてください。
カーポートの設置場所について
カーポートは設置する位置についても、いくつか注意しなければならないポイントがあります。例えば、設置場所を間違えると、以下のような問題に発展する可能性があります。
- カーポートの近くに大きな木があり、落ち葉などが屋根の上に溜まり掃除が大変になる
- 窓の近くにカーポートを建てた場合、空き巣の侵入経路として使われる恐れがある
- カーポート屋根が隣家に向かって下がっている場合、雨水や落ち葉などのゴミが隣家の敷地に入ってトラブルになる可能性がある
- カーポートのせいで隣家の日当たりが悪くなる
このように、カーポートの設置後に問題が発生する可能性があるのです。カーポートの設置は、自分たちだけの利便性を考慮して設置すれば良いと考える方が多いのですが、隣家との位置や距離によっては隣人の住環境に大きな影響を与えてしまう可能性があります。したがって、カーポートの設置を検討した時には、専門業者に近隣の方に迷惑をかける可能性がない設置位置を選んでもらうようにしましょう。また、実際に設置を決めた際には、事前に隣家の方に一言挨拶をしておくのがおすすめです。
カーポートの用途について
最後のポイントは、カーポートの利用用途についてしっかりと検討するというものです。カーポートの用途と聞くと、「雨や雪で車が汚れるのを防ぐ」「雨の日でも濡れずに乗り降りできる」「紫外線などにより車が劣化するのを防ぐ」など、主に駐車場に屋根機能を持たせることができる点をメリットに考える方が多いかもしれませんね。中には、「カーポートは屋根機能以外の用途はないのでは?」と考えている人がいるかもしれません。
実は、昨今のカーポート業界では、単に駐車場の屋根として活用できる製品だけでなく、駐車場に発電機能をもたらしてくれるソーラーカーポートなるものが登場していて、国や地方自治体などもソーラーカーポートの設置を推進するようになっているのです。
ソーラーカーポートは、その名称からイメージできるように、カーポートの屋根の上に太陽光パネルを設置する、もしくは太陽光パネルを屋根材として利用する製品のことを指しています。このタイプのカーポートは、通常のカーポートと同じく、雨や雪、飛来物などから車を守る、乗り降りの際に雨に濡れずに済むという、今まで通り屋根として働いてくれます。そしてそれだけでなく、屋根の上の太陽光パネルにより発電し、日々の生活にかかる光熱費削減や災害による停電時の非常用電源として活用することができるのです。本体価格に関しては、ソーラーカーポートの方がかなり高額になりますが、発電機能を有していることから、中長期的に見た場合には、ソーラーカーポートの方が安くつくのではないかと言われています。
このように、カーポートには、今まで通り「駐車場の屋根」としてだけ利用できる製品以外に、発電機能を有するソーラーカーポートや屋上機能を有するカーポートバルコニーなど、さまざまな製品が登場しています。したがって、カーポートの設置を検討した時には、どのような用途で駐車場のスペースを活用したいのかをよく検討してみるのがおすすめです。
まとめ
今回は、カーポートの設置に関して、意外に見落としている方が多い、建ぺい率との関係性について解説しました。
過去に注文住宅を建てた経験がある人であれば、建ぺい率がどのような物で、どんな制限があるのか、ある程度は理解できているかもしれません。しかし、多くの方は、建ぺい率という言葉の意味すら知らなくて、これがカーポートの設置工事に関係するなんて思いもしないという状況かもしれませんね。ただ、記事内でご紹介したように、建築基準法上は、カーポートも建築物に該当し、建ぺい率の算出をする際の建築面積に含まれてしまうのです。
新築時にカーポートを設置する場合は、確保できる居住面積に影響を与えますし、後付けでカーポートを設置するなら、建ぺい率オーバーにならないのかをしっかりと確認しなければいけません。
カーポートは、柱と屋根のみで構成される非常に単純な構造物で、簡易車庫などとも呼ばれています。そのため、小難しい法律がカーポートに関係してくるとは全く考えていない方が多く、DIYでカーポートを設置した場合には、知らずに法律違反を犯してしまっているケースもあるのです。ソーラーカーポート専門店とくとくショップでは、経験豊富なスタッフがお客様に最適なカーポート製品のご提案を行っています。もちろん、法律知識なども豊富なスタッフが現地調査を行いますので、お気軽にお問い合わせください。
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