近年では、太陽光発電などと連携し、日々の生活にかかる電気代を削減することや、自然災害時の大規模停電に備える目的などで家庭用蓄電池への注目度がどんどん高くなっています。もともと、工場など大量の電力を必要とする大規模施設などで、非常用電源を確保するために導入される産業用目的で利用されてきた蓄電池ですが、東日本大震災を契機に一般家庭でもその需要が高くなってきているのです。
それでは、「家計にかかる電気代の削減が目指せる!」ということや「非常時でも最低限の電気が確保できる!」と言う点がメリットとされる蓄電池は、どのご家庭に導入したとしても最大限その能力を生かすことができるのでしょうか?もちろん、いつ発生するか分からない自然災害への備えとして導入を検討する場合には、誰が蓄電池を導入したとしても、とてもに心強い非常用設備になってくれると思います。しかし、「電気代削減」を主目的として家庭用蓄電池の導入を検討した場合、誰にとってもオススメ出来るとは言えないのが実情なのです。
そこでこの記事では、家庭用蓄電池の導入がオススメ出来る人と出来ない人の条件を考えてみたいと思います。
蓄電池の導入がオススメできない人の条件とは?
それではまず、家庭用蓄電池の導入があまりオススメできない人の条件について、いくつか考えてみましょう。上でご紹介したように、「万一の自然災害対策のため!」と考えて家庭用蓄電池の導入を検討している場合、どのような条件のご家庭でも基本的に蓄電池の導入はオススメです。
しかし最近では、家庭用蓄電池の導入目的が「家計にかかる電気代削減」を第一に考えているという方も増えており、そういった方の中にはあまり蓄電池の導入がオススメできないケースもあるのです。以下に、いくつか導入をオススメできないパターンをご紹介しておきますので、ご自身が該当しているかよく考えてみましょう。
①毎月の電気代が高くない人
近年、家庭用蓄電池を導入するご家庭が増加していることもあり、近所の知人が蓄電池の導入を行い「電気代が安くなった!」と聞いたから我が家も導入しようと決めたという方が増加しています。しかし、こういった感じに周囲の情報に流されて、ご自宅の状況をあまり考えずに蓄電池の導入を行うと、後から失敗してしまった…と後悔してしまう結果になることがあります。
そもそも、家計にかかる電気代はそれぞれのご家庭によって全く異なります。最近ではオール電化住宅なども増加しており、そういったご家庭とガスを併用しているご家庭では、かなり電気代に格差があるのです。例えば、あなたのご家庭で、毎月の電気代がそれほど高くないのであれば、蓄電池を導入したとしてもそれほどメリットを感じることはないと思います。
太陽光発電を導入していないご家庭などであれば、深夜帯の電気代が格安になる料金プランを活用して電気代削減を目指すのですが、もともと電気代がそこまで高くないご家庭であれば、蓄電池を導入したからといって大幅に電気代が安くなることはないのです。そのため、導入にかけたコストを取り返すのが難しく、導入したとしても蓄電池のメリットを感じられず後悔してしまう訳です。
②昼間に電気をほとんど使わないご家庭
①とも少し関連していますが、共働きなどで昼間は家に誰もいなくて電気をあまり使わない…というご家庭も蓄電池のメリットを感じにくいです。
太陽光発電を導入していないご家庭は、安い深夜電力を蓄電池に溜めておき、それを昼間に利用するというサイクルを作ることで電気代削減を目指します。したがって、昼間は家に誰もいなくて、ほとんど電気を使わないというご家庭であれば、蓄電池を設置したとしても深夜電力と昼間の電力の差額をうまく活用できなくなるため、あまり意味がないのです。
最悪の場合、蓄電池を導入したのに、今まで電気代が変わらない…なんてことになる可能性もあるでしょう。
③蓄電池の設置場所がない人
最近では、蓄電池の小型化、軽量化が進んでいますので、集合住宅に住んでいる方でも設置を検討する方が増えています。しかし、導入したくても蓄電池の設置場所を確保することが難しい場合も少なくないのです。
最近の蓄電池は小型化が進んでいると言われているものの、それでもそれなりの蓄電容量を持った機種であれば100kg以上の重量があります。中には、狭いベランダなどに無理やり設置しようと考える人もいるのですが、この場合、設置工事が大変になるうえ、設置後にさまざまなトラブルが発生してしまう危険があるのです。
屋内設置タイプも存在しますが、床が荷重に耐えられるかといった問題もありますし、狭い部屋に無理やり設置した場合、深夜の稼働音が気になり結局使わなくなってしまう…なんてことも考えられます。蓄電池の導入を検討した場合には、まず「設置に適した場所があるのか?」ということを考えましょう。
ここをおさえて!
蓄電池の導入がオススメできないケースをまとめると、電気代削減を主目的に考えているものの、「家庭の状況を考えると電気代削減効果が少ない」と考えられるケースです。家庭用蓄電池は、あくまでも『電気を蓄えておくことができる設備』であり、設備自身が発電できるような代物ではないのです。したがって、普段のライフスタイルを考えた時に、電気代がそこまで高くない…というケースでは、導入コストをかけるだけの電気代削減効果が得られない可能性が高いのです。
既に太陽光発電設備は導入済み…といったケースでは、さまざまな蓄電池の使い方ができますので、大きなメリットが得られると思うのですが、太陽光発電を設置していないご家庭で「電気代削減」を目的に蓄電池の設置を検討した場合、しっかりと料金的なシミュレーションをしておかなければならないと覚えておきましょう。なお、どのようなご家庭でも、災害時の非常用設備としては役立ちますので、導入をオススメできないケースでも、何らかのメリットがあるのは確かです。
蓄電池の導入がオススメできる条件とは?
それでは、家庭用蓄電池の導入がオススメ出来るケースも簡単にご紹介しておきましょう。まず第一に言えるのは、「災害時の停電に備えたい!」と考えている方であれば、家庭用蓄電池の導入が非常にオススメだと言えます。他にも、以下のようなケースの方は、家庭用蓄電池が非常に役立つと思います。
①太陽光発電を設置している人
太陽光発電設備を設置しているご家庭であれば、後付けで家庭用蓄電池を導入することでさまざまなメリットが得られます。
太陽光発電は、電気を創る事ができる設備なのですが、太陽光エネルギーを電気に変換するというシステムから、日射のない夜間などは発電することができません。したがって、太陽光発電のみで運用している場合、必然的に夜間の生活に必要な電気を電力会社から購入しないといけないのです。しかし、蓄電池を導入することで、昼間に発電した電気のうち余剰分を貯めておくことができるようになり、夜間の生活に必要な電気は蓄電池から供給するというサイクルが作れるわけです。つまり、極端に言うと、『太陽光発電+蓄電池』という体制を作っておけば、普段の生活に必要になる電気全てを自家発電で賄うことも可能だということです。そうすれば、日々の生活にかかる電気代は大幅に削減することができます。
この特徴により、卒FITを迎えたご家庭では、家庭用蓄電池を導入し、今まで売電していた電気を自家消費に回すという使い方が増えているのです。
②電気代が高くて困っているご家庭
太陽光発電を導入していないご家庭でも、普段の生活にかかる電気代が高くて困っている…という方であれば、蓄電池の導入が救世主になり得ます。
上でもご紹介しましたが、家庭用蓄電池を導入すれば、電気料金の安い深夜電力を活用して蓄電し、電気の使用量が増加する昼間に安い電気を使うというサイクルを作ることができます。こういったサイクルを作れば、今までと電気の使用量は同じでも、昼間と夜間の電気代の差額分、電気代を安くすることが可能なのです。実際に、とくとくショップで蓄電池の導入を行ったお客様の中には、蓄電池の導入で月々の電気代が2万円程度削減できたという事例も存在します。
まとめ
今回は、年々その注目度が高くなっている家庭用蓄電池について、導入が向いていない人・向いている人の条件について簡単にご紹介してきました。この記事でご紹介したように、自然災害による停電対策を考えた場合には、家庭用蓄電池の導入はどういった方にとってもオススメの商品と言えます。
しかし最近では、家庭用蓄電池を上手に活用して「電気代削減を目指す」といった希望を持っている方が増えており、家庭用蓄電池の販売サイトなどでも電気代削減効果を前面に押し出して展開するような企業も増えています。しかし、家庭用蓄電池の導入目的が日々の電気代削減ということであれば、ご自身のご家庭が蓄電池を導入することでどの程度の電気代削減効果が得られるのか、よくシミュレーションしておかなければいけません。実際に、上述したような条件のご家庭であれば、考えていたような電気代削減効果が得られず、導入したことを後悔してしまう…というケースもあるのです。
家庭用蓄電池は、その需要の高さから多くのメーカーが開発・販売を手掛けるようになり、販売開始当初よりもかなり安価に導入できるようになっています。しかし、それでも決して安い金額ではありませんので、「何のために導入するのか?」「導入すれば本当にその目的を達成できるのか?」ということを慎重に検討すべきです。
なお、蓄電池の導入による効果は、実際に導入した人の声を調べることで、いろいろな情報を仕入れることが可能です。以下にとくとくショップで蓄電池を導入した方の声をまとめていますので、ぜひそちらもご参照ください。