東京都では、2022年度に太陽光発電の義務化に関する案を発表しました。都内に住んでいる方にとっては大きなトピックであり、自宅に太陽光発電を設置しなければいけないのか、費用負担はどうなるのかなど、さまざまな疑問が湧いているのではないでしょうか?
そこで今回は、太陽光発電の義務化に関する内容や実施時期、対策について詳しくご紹介します。都内に住んでいて住宅用太陽光発電を設置していない方や太陽光発電の義務化に関するニュースを見て他の自治体も対象なのか気になる方は、参考にしてみてください。
太陽光発電は義務化される?
太陽光発電の義務化については、国と自治体で考え方や動きに違いがあります。そのため、複雑な状況になっていて、太陽光発電投資を始めている方やそうでない方どちらにとっても分かりにくい状況です。
そこでまずは、東京都や京都府などの条例案や事例、国や全自治体の動きについて確認していきます。
国は検討しているが見送り
国・政府では、住宅向けの太陽光発電設置台数増加に向けた目標設定を行ったり設置義務化に関する議論を交わしたりしていますが、義務化に関する法的な規制や制度は確立していません。
太陽光発電義務化に向けた議論が交わされる理由は、温室効果ガス排出量削減やカーボンニュートラルを実現するためです。そこで政府は、二酸化炭素排出量0で住宅に設置しやすい太陽光発電の義務化を含めたさまざまな対策を考えています。
直近では、2021年8月に国土交通省と経済産業省、環境省による脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会という会合で、新築戸建てへの太陽光発電設置義務化について検討されていました。
他には公共の建物へ太陽光発電を設置義務化といった検討も行われており、2030年前後に実施される可能性はあります。
東京都は独自に義務化案を発表
国では太陽光発電義務化の法律や制度を確立していませんが、東京都で同時の義務化案を2022年1月に発表しました。東京都発表の案は、都内の新築戸建てに対して太陽光発電の設置を義務付ける条例案で、2022年度中の制定を目指している状況です。
義務化の対象者は施工業者などの事業者で、個人に課されない方針です。また、太陽光発電を設置しない事業者は、ペナルティとして事業者名を公表されるという罰則も検討されています。
都内に住んでいる方は、太陽光発電の設置費用負担も含めて住宅メーカーへ相談してみてはいかがでしょうか。
京都府は条例として再エネ設備の義務化を追加
京都府の場合は、2020年に「建築物への再エネ設備の導入義務制度」という条例を制定しました。
条例の内容は、延べ床面積300㎡以上2,000㎡未満、2,000㎡以上の建築物に対する再生可能エネルギー設備の設置義務です。具体的には、太陽光発電の設置義務ということではなく、宅配ボックス配置による再配達コストの削減や電気自動車用の充電設備設置、低フロンの設備導入など、さまざまな対策が含まれています。
京都府で事業を立ち上げる方や引っ越す方などは、条例の内容を確認しておくことをおすすめします。
群馬県は一定規模以上の太陽光発電などの義務化
群馬県では、「ぐんま5つのゼロ宣言」という条例を制定し、その中に一定規模以上の設備に対する再生可能エネルギー設備設置義務化について定めています。延べ床面積2,000㎡以上の建築物を新築もしくは増改築する場合は、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を設置する必要があります。
2022年度中に全自治体で義務化はなし
全自治体で2022年度中の太陽光発電および再生可能エネルギー設備に関する設置義務化は、予定されていません。企業の中で新たに工場や事務所を建てたり改修工事を行ったりする場合は、管轄の自治体で再生可能エネルギー設備に関する条例を定めているか確認しておくのが大切です。
また、個人の場合は、住宅への太陽光発電設置義務化に関する条例案が作成されているか確認してみるのも重要です。条例案や条例は、各自治体のHPから確認でるので、チェックしてみてください。
太陽光発電は2030年に義務化される?
ニュースや環境関連メディアでは、太陽光発電の義務化時期について予想しているケースがあります。代表的な例は、2030年に太陽光発電の設置が義務化されるのではないかという予想です。
2030年と予想されている主な理由は、2030年までの温室効果ガス削減目標や脱炭素化などの目標を国や自治体で定めているためです。つまり、2030年の温室効果ガス削減目標を達成するには、スピーディに再生可能エネルギー設備の導入や環境問題への取り組みを促進させる必要があります。
ただ、住宅への太陽光発電設置義務化案や工場やビルなどへの再生可能エネルギー設備設置に関する法律は、2030年に定められるかどうかわかりません。また、事業者や個人の費用負担増加や設置できない環境における対処法など、課題が山積みです。
特に費用負担の増加という点は、太陽光発電を設置したくない・興味ないという層などからの反発を招くリスクもあり、慎重に検討していく必要もあります。
太陽光発電が義務化されたらどうすればいい?
太陽光発電の設置について義務化されていないことを把握したあとは、もし義務化された場合に備える方法やポイントについて確認しておきましょう。太陽光発電は、個人や企業にとってメリットのある設備ですが、コストや基本的な知識を身に着けた上で検討するのが大切です。
費用を把握しておく
太陽光発電を設置する場合は、初期費用と維持費用がかかります。初期費用は、太陽光パネルや架台、パワーコンディショナなどの本体価格と設置工事にかかる費用の総称です。
住宅の屋根に取り付けるタイプの小規模な太陽光発電は、一般的に初期費用150万円~です。(※出力4.5kWの住宅用太陽光発電)
なお、初期費用に関しては、補助金制度で負担軽減できる場合があります。最近では、電気を売電しない自家消費型太陽光発電に対する補助金制度が主流です。また、国では太陽光発電単体の補助金制度を実施していないので、蓄電池やHEMSなど他の設備との併用で補助金を交付してもらえる状況です。
一方、維持費用は、太陽光発電の保守点検や経年劣化などによって使用できない、性能の低下した設備の交換や修理費用を指しています。
太陽光発電はメンテナンスフリーではありませんので、経年劣化していきますしメンテナンスしなければ故障してしまいます。維持費用は、小規模な太陽光発電で1年に3万円前後、パワーコンディショナなどの設備機器の交換や修理で数10万円かかる傾向です。
太陽光発電の仕組みを理解する
太陽光発電で効率よく発電するには、仕組みについて理解しておくのも大切です。
太陽光発電の発電量は、以下のような要素で大きく変わります。
- 太陽光パネルやパワーコンディショナなどの性能
- 太陽光パネルの設置角度や向き
- 温度
- 設置場所の日照時間
- 影になる障害物の有無
太陽光パネルの発電性能は、メーカーや商品によって異なります。また、太陽電池に使用されている素材によっても変わるため、商品ごとの発電効率(%)を比較したり施工業者へ確認したりしながら選ぶのが大切です。
設備の性能以外は、日照時間や天候、障害物や温度など、環境に左右されます。
日照時間が長く晴れの多い地域は、太陽光発電に適した場所です。また、太陽光パネルは高温に弱いため、夏場の気温上昇が抑えられている場所であれば、発電性能を低下させずに稼働できます。
蓄電池の併用についても検討する
太陽光発電で発電した電気を効率よく消費したり売電したりするには、蓄電池の併用が重要です。蓄電池とは、文字通り電気を蓄えて、好きなタイミングで使用できる設備のことです。
太陽光発電向けの蓄電池は、太陽光発電設備と連携でき、設定や環境に合わせて蓄電や放電を自動で制御できます。
太陽光発電と蓄電池を組み合わせた運用における主なメリットは、消費電力の少ない時間帯に蓄電しておき、夜間など消費電力の多い時間帯に消費することで、電気代の削減効果を伸ばせるという点です。
太陽光発電は電気を蓄えておけないため、その場で消費しなければ損失してしまいます。蓄電池を設置しておけば、電気の消費量に合わせて蓄電・放電が可能となります。
太陽光発電のメンテナンスは義務化されている!
太陽光発電の設置は義務化されていないものの、設置したあとのメンテナンスについて義務化されている点に注意が必要です。続いては、太陽光発電のメンテナンス義務化に関して紹介していきます。
メンテナンス義務化の内容
2017年4月1日、改正FIT法によって出力10kW以上の産業用だけでなく10kW未満の住宅用太陽光発電もメンテナンス義務化の対象へ変わりました。
たとえば、以下のようなチェックや点検が必要とされています。
- 太陽光パネルの汚れや傷
- パワーコンディショナの汚れや動作状況
- 架台の腐食や接合部分の汚れや錆
- 接続箱や集電箱、配線の端子
メンテナンス後は、点検報告書の作成や保管などといった管理も行うのがポイントです。太陽光発電のメンテナンスや修理、交換などは、太陽光発電の施工業者で対応してもらえるため、メンテナンスにかかる負担は抑えられます。
弊社とくとくファームは、中古太陽光発電所の売買仲介だけでなく、購入者向けにメンテナンスサービスや修理交換なども対応しています。中古太陽光発電の導入を検討している方は、ぜひ1度お問い合わせください。
メンテナンスしなかった場合は罰則
改正FIT法に記載されているメンテナンス項目を行っていない場合は、罰則規定に沿ってペナルティが課されてしまいます。太陽光発電を設置・運用する時は、保守点検サービスまで対応してくれる施工業者や販売店へ相談するのが大切です。
メンテナンス項目を満たしていない場合は、FIT認定の取り消しなどといった措置を実行されてしまう場合があります。
中古太陽光発電の設置については義務化なし!
最後は、中古太陽光発電の設置義務化に関する状況を解説します。
引き続き自由に購入を検討可能
中古太陽光発電については、新規設備と同じく自由に設置したり撤去したりできます。
中古太陽光発電とは、1回以上稼働された太陽光発電所のことです。主な強みは、高い固定買取価格で売電できる点です。また、新規設置と異なり既にFIT認定を受けた設備なので、購入後すぐに稼働および売電を始められます。
前オーナーの管理状況によっては、劣化していたり破損していたりしている可能性があります。そのため、物件を1つ1つ管理およびチェックしているサービスへ相談するのが、設備トラブルを避ける上で重要です。
なお、弊社とくとくファームの場合は。中古太陽光発電物件の設備状況をチェックし、詳細について購入希望者へお伝えします。
野立て太陽光発電などを売却可能
売電の収支バランスや管理の手間などから太陽光発電を手放したい時は、自由に売却や廃棄を検討できます。
売却可能な太陽光発電は、野立て太陽光発電です。野立て太陽光発電とは、平地や山間部に設置された太陽光発電のことです。
一方、住宅やビルの屋根に設置された太陽光発電は建物ごと引き渡す必要があるため、売却の難しい設置状況です。そのため、設備を手放すには、解体業者へ依頼し、撤去・廃棄する必要があります。
太陽光発電の売却を考えている時は、売買仲介サービスへ売却可能なのか設置状況を説明するのが大切です。
個人や企業は太陽光発電の義務化に備えて準備しておくのが大切!
国では、太陽光発電の設置義務化に関する議論を交わしているものの、2022年時点で義務化されていません。ただし、東京都など一部自治体では、住宅への太陽光発電設置義務化に関する条例案を作成していますし、企業向けに太陽光発電の設置義務化を条例として定めている自治体も存在しています。
住宅の新築やリフォームを検討している方やオフィスや工場への太陽光発電設置を検討している方は、今回の記事を参考に太陽光発電の設置方法やサービス、条例について確認してみてはいかがでしょうか?
弊社とくとくファームは、中古太陽光発電の購入や売却に関する仲介、サポートサービスを提供しています。中古太陽光発電の購入後は、運用や保守点検に関するアフターフォロー、売却後は無料の税務処理など、売買契約後にかかる手続きや作業についてもサポートいたします。
中古太陽光発電に興味があるもののまだよく分からない方や太陽光発電を手放したいけど廃棄費用を捻出できない方は、弊社HPの問い合わせフォームもしくは無料の個別セミナーからお問い合わせ・予約ください。