産業用太陽光発電に蓄電池を導入できる?メリットデメリットを解説

産業用太陽光発電に蓄電池を導入できる?メリットデメリットを解説

産業用太陽光発電単体では、発電した電気を蓄えられません。効率よく売電を行いたい方やピークカットなど自家消費型へシフトしたい方にとって悩みどころです。 そこで今回は、産業用太陽光発電へ蓄電池を導入する方法やメリット、デメリットについて詳しくご紹介します。産業用太陽光発電の運用を検討している方などは、参考にしてみてください。

産業用太陽光発電向けの蓄電池とは?

まずは、産業用太陽光発電向けの蓄電池の概要や特徴について解説していきます。

太陽光発電で発電した電気を蓄電・放電できる

産業用太陽光発電向けの蓄電池は、太陽光発電で発電した電気を蓄えることが可能です。
さらに売電に加えて工場や事務所、自宅などへ電力供給している場合は、蓄電池に蓄えた電気を任意のタイミングで自家消費できます。
なぜなら産業用太陽光発電向けの蓄電池(蓄電システム)は、小型の蓄電池と異なり制御システムも組み込まれているためです。たとえば自家消費分の電力需要が増加した場合は、自動的に放電するなど、需給バランスを自動監視してもらえます。そのため、電気料金削減硬貨を伸ばすことが可能です。

蓄電池の設置費用

産業用太陽光発電向けの蓄電池は、容量の少ない・低価格帯でも本体価格60万円程度、性能の高いもので100万円~200万円程度/台かかります。さらに設置工事と電気工事で30万円前後かかるため、蓄電容量の小さい蓄電池でも100万円程度の費用負担を検討しておくのが大切です。
なお、本体価格は、蓄電容量と蓄電性能、その他機能に応じて変わる傾向です。また、直流電気から交流電気への変換効率、寿命(充放電のサイクル)などの要素で本体価格が変わります。

蓄電池には種類がある

産業用や住宅用蓄電池の種類は、以下の通りです。

  • NAS電池 サイクル回数約4,500回
  • 鉛蓄電池 サイクル回数約3,150回
  • リチウムイオン電池 サイクル回数約4,000回
  • ニッケル水素電池 サイクル回数2,000回

サイクル回数は充放電を1サイクルとしたものです。具体的には、0%から100%まで充電後、0%まで放電を1サイクルとしたものを1サイクルと定めます。
NAS電池は、コンパクトかつ大容量、15年の長寿命という特徴があります。主にメガワットクラスの設備に適しています。ただし、作動させるために300度という高温に保つ必要があります。
鉛蓄電池も17年間もの長寿命です。一方、過放電や過充電で劣化しやすい性質を持っているため、充放電のタイミングに注意する必要があります。
ニッケル水素電池は、5年~7年程度で寿命を迎えます。また、高温環境で使用しない・大電流充電を避けるなどといった点を注意しないと、さらに劣化が進みます。そのため、一般的に他の蓄電池を用います。
リチウムイオン電池は、主にモバイル機器に使用されています。寿命10年程度と比較的短いものの、大容量化へ向けた開発も進んでいるのが特徴です。

家庭用蓄電池との違い

家庭用蓄電池と産業用蓄電池の主な違いは、蓄電容量と本体価格です。家庭用蓄電池は、住宅用太陽光発電向けの蓄電池や持ち運び可能な蓄電池を指します。一方産業用蓄電池とは、出力10kW以上の産業用太陽光発電へ用いられている蓄電システムのことです。
蓄電容量で比較すると家庭用蓄電池で10kwh程度、産業用蓄電池50kWhや100kWh超えといった差があります。また、本体価格に関しては、数十万円~数百万円単位で異なります。
実際に設置する場合は、産業用太陽光発電に合った産業用蓄電池を販売店や施工業者で選定してもらえるので、利用者による規格の確認や工事など不要です。

産業用太陽光発電へ蓄電池を導入するメリット

続いては、産業用太陽光発電と蓄電池の併用メリットを紹介しますので、参考にしてみてください。

売電量および収益アップ

産業用蓄電池の設置および太陽光パネルの過積載を行うと、損失していた電気も含めて売電することが可能です。
過積載とは、パワーコンディショナの出力を超える太陽光パネルを設置する運用方式のことです。過積載を行った産業用太陽光発電は、発電量および売電量の増加につながります。
しかし、パワーコンディショナの出力を超えた発電を行うと、発電量の一部が失われてしまいます。
そこで産業用蓄電池を導入した場合は、損失分の電気を一旦蓄電し、夜間など発電量の少ない時間帯に売電もしくは自家消費できるようになります。
産業用蓄電池の設置は、売電量アップや効率的な自家消費につながります。

出力抑制実施時の損失を軽減

近年、太陽光発電の普及が進み、売電量も増加しています。そのため、各地域の電力需給バランスが、崩れるリスクも生じています。万が一需給バランスが崩れてしまうと、大規模停電につながります。
そこで各電力会社は電力の需給バランスを保つために出力抑制を適宜実施することになりました。出力抑制は電力需要に対して供給量が上回りそうな場合、太陽光発電をはじめ再生可能エネルギーや火力発電など、各発電所からの売電を一時制限する措置です。
出力抑制の実施時期は、一般的に5月~7月の間で制限される傾向です。出力抑制のスケジュールは、1日単位で定められています。
電力会社による出力抑制が実施されると、産業用太陽光発電も含めて電気を売電および発電できません。
産業用蓄電池を併用した場合は出力抑制の際に発電した電気を一旦蓄電し、抑制解除後に売電できるため、発電した電気の損失を防ぐことが可能です。設置予定地域もしくは中古太陽光発電所の設置場所で出力抑制が実施されている場合は、産業用蓄電池の導入もおすすめです。

自家消費型太陽光発電との相性がいい

産業用蓄電池は、自家消費型太陽光発電とも相性のいいシステムです。
工場や事務所の照明などへ産業用太陽光発電の電気を利用した場合、安定した電力供給が欠かせません。しかし、夜間に発電できませんし、電力需要の増加したタイミングで供給量を増やすこともできません。
産業用蓄電池と併用した場合は、電力消費量の少ない日に蓄電池へ蓄電しておき、消費量の多い日や夜間稼働の際に放電することで継続的な電力供給を実現できます。
このような電力の振り分け・調整を行えるのが、産業用蓄電池の強みです。

既存の太陽光発電システムへ設置可能

産業用蓄電池は、既産業用太陽光発電の大幅な改修工事不要で設置・接続できます。一般的に蓄電池のメーカーは、太陽光発電設備の互換性に関する試験も実施しています。そのため、大幅な改修や設備交換不要で、太陽光発電と蓄電池を接続できます。
また、設置済みの産業用太陽光発電と接続できるのは、設置コスト削減という点でも大きなメリットです。
ただし、蓄電池の一部には互換性のないケースもあるため、あらかじめ太陽光発電施工業者へ太陽光発電と蓄電池の互換性や工事内容、設置費用に関する確認を行うのが大切です。

ピークカットによる基本料金削減

高圧電力契約を交わしている建物へ産業用太陽光発電・蓄電池を活用する際は、ピークカットを実施できます。
高圧電力契約の基本料金は、1時間の平均使用電力「デマンド」のうち、年間で最も高いデマンドを基準に算出されます。たとえば、他の月より2倍・3倍のデマンドを記録してしまうと翌年の基本料金が、その分値上がりします。
産業用蓄電池は、このようなデマンドの更新による電気料金値上げを抑えられます。まずは、最大デマンドをあらかじめ設定しておきます。設定値を超える電力消費量が発生した際には、最大デマンドを超えないよう蓄電池でカバーする仕組みです。
高圧電力契約を交わしている個人投資家や法人の中でデマンドに悩んでいる時は、産業用蓄電池の導入もおすすめです。

産業用太陽光発電へ蓄電池を導入するデメリット

ここからは、産業太陽光発電と蓄電池の併用デメリットについて分かりやすく解説します。

蓄電池の本体および設置費用負担

産業用蓄電池の本体価格は、モバイルバッテリーや家庭用蓄電池より高く、なおかつ設置費用もかかります。一般的には100万円以上の予算が必要のため、手軽に導入可能な設備といえません。
産業用蓄電池の本体価格・設置費用を一括で負担できない場合は、蓄電池に関するローンもしくは補助金制度で対応できる場合もあります。
蓄電池向けのローンは、太陽光発電向けのソーラーローンや自治体独自の融資制度などで組むことが可能です。補助金制度は後述で解説します。

一定の設置スペースが必要になる

産業用蓄電池を設置する際は、数m単位の設置スペースを確保しておく必要があります。産業用蓄電池のサイズは、横と奥行きで1m程度、高さ2m程度です。人が入るスペースを考慮すると、2m以上のスペースは必要です。
さらに産業用蓄電池の重量は100kg、200kg程度のため、数百kgの重量に耐えられるコンクリートの床に設置する必要があります。このように産業蓄電池の設置は、サイズと重量に注意する必要があります。
設置スペース以外には、以下の要素も考慮しておくのが重要です。

  • 直射日光を避ける
  • 高温多湿を避ける
  • 塩害地域の設置を避ける

産業用蓄電池は熱を発するため、湿度が低く風通しのよい場所への設置を検討しておきます。

太陽光発電と同じく経年劣化

産業用蓄電池は、太陽光発電と同じく経年劣化していきます。
設置から10年経過した時点の蓄電容量は、一般的に70~80%程度まで低下します。さらに過放電や過充電など、負荷のかかる利用方法でも劣化していくため、充放電の際に注意が必要です。
過放電や過充電の意味は、以下の通りです。

  • 過放電 充電率0%の状態で放置
  • 過充電 充電率100%の状態でさらに充電

産業用蓄電池の蓄電容量などに異変を感じた場合は、早めに交換工事を依頼するのがポイントです。また、設置までに収支や初期費用回収に関するシミュレーションを行い、設置可能な状況か情報を整理するのが大切です。

蓄電池に関する補助金制度はある?

最後に産業用蓄電池の補助金制度について確認していきます。

2021年時点で国による補助金制度がある

産業用蓄電池に関する国の補助金制度は、2021年時点で存在します。国による補助金制度「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金」は、産業用含む蓄電池の設置者を対象にした制度です。
補助金額は1kWhあたり7万円です。補助金制度に関しては、2021年12月24日まで実施予定です。ただし、実施期間中に補助申請金額が予算額に達した場合は、その時点で終了となります。
「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金」の詳細・申請については、各太陽光発電施工業者や販売店へ相談してみてください。

自治体によっては独自の補助金制度を実施

自治体によっては、独自の補助金制度を実施している場合があります。
以下に東京都の補助金制度をいくつか紹介します。

東京都中央区事業所用自然エネルギー・省エネルギー機器等導入費助成(令和3年度)
補助金額 一般助成、1kWhあたり10,000円(上限100,000円)
東京都武蔵野市令和3年度武蔵野市効率的なエネルギー活用推進助成制度
補助金額 1万円×1kW(上限6kWまで)
東京都港区創エネルギー・省エネルギー機器等設置費助成制度
補助金額 1kWhあたり40,000円(上限200,000円)
東京都江東区地球温暖化防止設備導入助成
補助金額 設置時に発生した経費の5%(上限100,000円)
東京都羽村市創省エネルギー化助成制度
補助金額
高密度蓄電池システムの優先施工者は蓄電池単体で50,000円、併用蓄電池80,000円
一般施工者の蓄電池単体35,000円、併用蓄電池50,000円

補助金額や上限額、対象者、補助金の条件は、自治体によって異なります。申請の際は、各自治体の制度概要や条件、申請方法を確認しながら、準備を進めてください。
補助金制度の中には、産業用ではなく家庭用蓄電池や住宅での設置のみ補助金対象としている制度もあります。自身の設置場所や用途に合っているか、あらかじめ確認するのが大切です。

産業用太陽光発電と蓄電池の併用はメリットの多い組み合わせ

産業用太陽光発電単体では、発電した電気を売電もしくは自家消費することが可能です。しかし、発電した電気を蓄えたり任意のタイミングで放電したりできません。
産業用蓄電池を併用した場合は、蓄電・放電だけでなくピークカットを行えます。
たとえば、出力抑制実施時やパワーコンディショナの出力を超える発電時は、発電した電気を一旦蓄電しておき、出力抑制解除後や発電量の少ない時間帯に自家消費もしくは売電できます。
初期費用が100万円以上かかるため、補助金制度もしくはソーラーローンを活用してみるのも大切です。また、設置スペースや環境を確認しておきます。
設置予定地の出力抑制が気になる方や最大デマンドの削減を行いたい方などは、今回の記事を参考に産業用蓄電池の導入も検討してみてください。
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